英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
17 / 113
~ライトフォーマー周辺~

壊れたからといって捨てるのは間違いです

しおりを挟む
「ねぇ、ラファール。このヘグルス変換機器って壊れてる可能性が高いんだよね?」

 兄さんが深刻そうな顔で僕に聞いてくる。
(何か……嫌な予感しかしないんだけど?)

「まぁね。兄さんが未だに体調が優れないっていうのなら機器が壊れてる可能性の方が高いと思うけど?」
「じゃあ、買い替えた方が良いよね?」
「……」

(だから中央大陸に行くって言って……まさか、この大陸で買い替えるつもりか?つもりなんだな、この兄さん……)
 僕が心底呆れた声を出す。

「一応聞くけど何処で買い替えるつもりなの?」

 僕の質問に当然のようにあっさり答える兄さん。いやいや、当然のように答えんな?

「え?勿論ここか、王都辺り?」
「うん。チェリクここには売ってないよ」
「じゃあ王都ならあるよね?そこで買い替えよう」
「……で、買い替えてどうする気?」

 僕の言葉に不思議そうな顔をする兄さん。

「え?勿論使うつもりだよ。だって、中身取り換えればいいって話だよね?」

(やっぱそう思ったのか。それがとんでもない間違いだとも気付かずに……。本っっ当、単純馬鹿だよな、この兄さん)

「するのはいいけどそれしたら、兄さん全く……身動きすら出来なくて寝たきり状態になるよ?」
「えっ?!何で?!」

(ちっとは頭使えよこのお馬鹿!)

「兄さんが持ってるヘグルス変換機器の中身、移し替えると中央大陸の土砂がこの地の魔力に触れて上書きされるから。普通、違うヘグルスの物があれば、強くて多いヘグルスに呑まれて上書きされるから、ヘグルス変換機器の中に収めて上書きされないようにするんだよ。それを取り出すって事は、今いる場所のヘグルスに上書きされるって事。ここのヘグルスは9だから、中央の出身者が身動き出来るとは思えないけど?今兄さんが身動き出来るのは、壊れているけどそのヘグルス変換機器があるお陰。今この大陸で、捨てたり買い替えたりすれば、間違いなく立ち上がる事すら困難になるからね。僕が行き先を中央にしたのはその為だけど、取り換えたければしてもいいよ?その代わり、僕達は兄さん放って先行くだけだから」

 兄さんは僕の言葉に青くなるけど、僕が放って行くのは当然だ。立ち上がる事すら困難な健康体なんて邪魔なだけ。しかも理由が理由だし。そもそも、壊れた原因がやっちゃいけない最低限の取り扱いによる悪さでだし。
 ヘグルスによる寝たきり健康体なんて、馬鹿馬鹿し過ぎて誰も相手にするか!と思うのは僕だけじゃない。絶対これ、常識だから。

「あのさ、それ、俺の場合は大丈夫なのかな?」

 セレヴィスが心配そうに聞いてくる。が、地の魔力が高い場所のヘグルス変換機器の場合は全くと言っていい程問題ない。因みにここのヘグルス出身者なら、ヘグルス変換機器が無くても何処だろうと行ける。
 ただし、その場合、身体が軽過ぎて立ち回りとかが難しくなるけどね。軽過ぎて止まんないとかで。逆にそれに慣れてきたら今度は出身地が辛くなるし。
 なので、慣れたヘグルスが一番良いから、皆自分の出身地の土砂をヘグルス変換機器にセットして持ち歩くんだよ。

「問題ないよ。セレヴィスの場合は市販のヘグルス変換機器でも壊れないから」
「何それ、何で~?!」
「当然じゃん。魔力の高い所から低い所行って壊れる方がおかしいし。兄さんの場合、初級魔法しか使えないのにいきなり上級魔法唱えたようなもんなんだから。途中で魔力切れ起こしてぶっ倒れるのと同じだよ。ってか、普通は先ず一番にヘグルスを気にして行動するから。しなかった兄さんの方がおかしいし」
「おっ、おかしいって……」
「言っとくけど、中央だと常識も常識、言わなくとも皆知ってて当たり前な事なんだからね。知らないで過ごしてる兄さんに吃驚だよ」
「そういうラファールは詳し過ぎない?何でそこまで知ってるの?」
「中央にも知り合いいるし、自分の常識不足を棚上げすんな」

 僕の言葉に落ち込みだした兄さん。全く、安全に旅する気あるのか?と思いたくなる。結局兄さんは壊れたヘグルス変換機器をそのまま持ち歩き、中央大陸で買い替える事にしたようだ。本っ当にお馬鹿って質が悪いよね。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

処理中です...