英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
21 / 113
~ライトフォーマー周辺~

昔話に華が咲く?

しおりを挟む
「僕はラファール。ラファール=フォーゼ。お兄さん達の名前は何て言うの?」

 僕の言葉に定期便馬車の護衛をしてた騎士の兄さん達が、名乗ってない事に気付く。

「済みません。名乗り忘れてました。私はユーファン。ユーファン=フラーク」
「俺はゼルツだ。ゼルツ=ラファン」
「ガンガル=フィズ」
「ヴァルス=バーンな」

(ユーファン兄は深緑の髪に青緑の瞳で眼鏡めがねあり、ゼルツ兄は藍色の髪に赤紫の瞳、ガンガル兄は黒髪にダークグリーンの瞳でヴァルス兄は赤茶の髪にオレンジの瞳か。よし、覚えた。多分)
 因みにウィルヴァルおじさんは金髪に琥珀の瞳だ。
 兄さん達の顔を一人一人見て名前を呼ぶ。

「ユーファン兄にゼルツ兄、ガンガル兄とヴァルス兄、だね。じゃあ明日からの道中頑張ろうね!そういえば、皆武器は剣で良いの?今なら得意武器の申告あれば、僕も入手して教えられるけど……ユーファン兄とガンガル兄は得意武器、剣じゃないよね?」
「えっ、見ただけで分かるんですか?」
「癖、出てるか?」
「何となく重心とかがズレてるっぽい?ユーファン兄は暗器?ガンガル兄は今はないっぽいけど普段は背中に掛ける物かな?」

 僕の言葉に呆然とする四人。
(ああ、一応他の二人の騎士も知ってるんだな)

「あははっ、何この子、こえぇわぁ~!」

 笑いながら言うゼルツ兄。顔と言葉が合ってない。ウィルヴァルおじさんは相変わらずニヤニヤしてる。

「良い機会だ。この道中、ラファールにしっかり教えてもらうぞ!ラファール、ビシバシ鍛えてくれ!」
「僕これでも未熟なんだけどなぁ~」
「おいおい、お前ん所の基準で考えんな?お前は巨鳥のディール、帝王リ・ガングァを一人で倒せる実力者だろ。しかもあれ、7才でだったか?」

 ウィルヴァルおじさんの言葉に固まる四人。この世界でリ・ガングァは、ドラゴンと同じぐらい有名で、強い魔物だ。リ・ガングァは毒羽根を飛ばし炎を吐き出す、言わば小型の鳥型ドラゴンだ。
 ただ、小型と言っても一個体は10~15メーゼ(※メーゼ=mなので10~15m)以上あり、翼を広げたら30メーゼ以上になるぐらいの大きさだ。その上こっちの魔法をその大きな翼で吹きと飛ばしたり巨体に似合わぬ俊敏さで避けたりする特性を持ち、かなり厄介な魔物だ。
 その性格は獰猛で、ディールの中でも出合いたくない魔物の上位に君臨する魔物で、見付けたら即討伐隊を組み、最低でも15人以上のパーティーを組めと言われる凶悪魔物だったりする。

「ほっ……本当ですか?隊長……」

 ユーファン兄がウィルヴァルおじさんに恐る恐る聞いている。

「俺ぁ見たぞ。このラファールが、他でもない俺の騎士任命式に貰った騎士の剣で、一人リ・ガングァをぶっ倒した所をなぁ」
「はあ?隊長の剣で?!」
「騎士の剣……」
「おいおい、マジでか?!」

 ゼルツ兄、ガンガル兄、ヴァルス兄の順に声をあげ、ユーファン兄が疑問を口にする。
 何せ騎士の剣は魔法剣でもなく、極々普通の一般の剣で、そこらの一般の剣より見映えが良いってだけの剣だ。実戦向きではあるが、あくまで下級や中級クラスまでの実戦向きだ。リ・ガングァのような強くてでかい魔物向きじゃない。

「……何故、隊長の剣で?」
「ああ、それな、ラファールの兄貴が『魔力剣だから勝てただ何だと後々下らん言い掛かりを付けられると面倒だ。騎士の剣でも勝てる事を証明してやる。誰かラファールに貸す気のある奴はいないか?』って言ってきたから、じゃあ俺のでどうだとなった訳さ!」

 貸す方も無謀だよなと心の声が聞こえそうだ。普通なら確実に折れたり曲がったりするからね。

「その頃ウィルヴァルおじさんはまだ隊長じゃなかったけどね。他の騎士達は騎士の命を貸せるかって言ってたけど、証人になった他の十数名の騎士達は元気?ウィルヴァルおじさん以外あんま見ないんだけど?」
「ああ、半数近くはあの後辞めたなぁ。騎士でいる自信を無くしたとか言ってな。まぁ自分よりっこい子供に実力の違い見せ付けられたからって辞めるような奴ぁ遅かれ早かれ辞めただろうよ。因みに俺の剣は、リ・ガングァを倒しても折れなかった剣って事で替えてくれって奴が何人もいたが、当然替えてなんぞやるもんか!俺を羨む前に貸さなかった自分の落ち度を嘆けってんだ」

 フフンッと胸を張るウィルバルおじさん。退治したのは僕だけどね。
 ユーファン兄が真面目な顔で僕と向き直り、頭を下げる。

「私は剣と、暗器では遠距離型投擲とうてきナイフ、仕掛け針、魔銃弾銃です。剣以外も鍛えていただける物がありましたら鍛練を宜しくお願いします」
「俺は剣と二刀流小太刀、時々弓を扱う。俺も剣含めて出来る物の指導を頼む」
うけたまわります♪大丈夫、僕剣以外の武器も一通り全部叩き込まれたからね」
「「「「一通り……」」」」
「相変わらずお前の兄ちゃんすげぇなぁ……。お前に教えたの、あの兄ちゃんだろ?」
「うん、勿論!僕の兄さんは僕の大好きな自慢の兄さんさ♪」
「教わって身に付いたラファールも凄いけどなぁ」
「ありがとう。兄さんは僕の目標だからね♪」

 ラファス兄は父さんがスパルタだったから、リ・ガングァを5才で倒したらしいんだよね。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...