英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~王都への道中と王都エルム~

一部を下げて全体を上げるとより一層励みます

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 1ゼティルムに、再びその時の優秀者を選び終わり、次の遊び相手が集まり出すその中に、四人の内ヴァルス兄とゼルツ兄がいた。勿論、ウィルヴァルおじさんが連れて来た同じ隊の騎士達も少しはいるようだ。

「ヴァルス兄、ゼルツ兄、いらっしゃい~♪僕の遊び相手として早速の参加ありがとう~。1ゼティルム見てて分かっただろうけど、本気でやらなきゃ訓練にならないからね、殺す気でどうぞ。悪いけど僕、これまでも大怪我どころか怪我らしい怪我すらした事ないので、甘く見てると逆に大怪我するよ。充分気を付けてね?」

 僕が周りにも聞こえるように二人にいい放つ。これは二人に言う、というよりも、僕を知らない周りに言ってるようなものだ。

「知ってる。俺達も、リ・ガングァを一人で討伐するような芸当が出来るラファール相手に手を抜くなんて無理だ」

 ヴァルス兄が僕の意図を読み取り応じてくれる。

「ガンガルとユーファンは次で出る気だってさ。ラファールは俺達が相手でも、勿論捕まる気はないんだろ?」

 分かってるね、ゼルツ兄。
 知り合いだからと手心を加える気は僕にない。本気で来る相手に失礼だからね。

「勿論♪知り合いだからで捕まえられるなら、僕は毎回捕まらなきゃいけなくなるよ。僕にとってこれは遊びだけど、勝負事で負ける気なんて一切ないから、そこんとこ宜しくね?」

 ヴァルス兄とゼルツ兄が顔を見合わせ楽しそうな視線を僕に返してくる。

「「勿論だ」」



 結果は予想通り、僕の圧勝。
 ヴァルス兄とゼルツ兄含む、ウィルヴァルおじさんが今日、後から連れて来た隊の騎士達と合流させ、他の隊も集まってもらってから、その場で僕は言葉を放つ。

「皆、もうちょっと持久力付けなきゃね。連携大事にするのはいいけど一人抜けたらバランス悪いし、個々の鍛え方が甘過ぎる。連携中心に置き過ぎると、一対一に持ち込まれたら即、潰れるよ。ディールの中には仲間を呼ぶ奴や、群れでいるディールだっているんだから。この大陸のディールは結構容赦ない連中が多いから、魔法で霧を発生させて襲い掛かったり、ブレス吐いて散り散りにしたりと、人をバラけさせて攻撃するディールが多いから、個々の能力の底上げしないと生き残れないよ」

 僕とウィルヴァルおじさんが陛下に報告して、このままだと使い捨ての無駄死にになると告げたのは、これがあるから。
 そして陛下も僕とラファス兄に同行してる際、これを嫌と言う程体感してるから。
 ああ、勿論僕達との旅で、陛下が怪我を負わされたりした事は一度もないからね。

「死にたくなければパーティーや大勢での移動……なんて、それこそ甘~い考えだからね?大勢いるならバラせばいい。それがこの大陸での弱いディールの考えだし、弱いと言っても他の大陸と比べたら強い部類だし、頭も良いから一般人じゃあ太刀打ち出来ない類いのディールだよ」

 ウィルヴァルおじさんに後から連れて来られた隊の騎士達皆が、僕の言葉を聞き、段々血の気が引いていく。
 そして、その場にいた他の隊の騎士達も、ウィルヴァルおじさんに連れて来られた騎士達の事情を察する。

「お前等の隊が突然解体されて、俺の隊に入れられたのは、そういう理由だ。このままお前等があの隊に居続ければ、近い将来そういったディールに遭遇した場合、お前等の隊は全滅するか、良くて数名命辛々生き延びれるかだ。騎士でいる限り、ラファールの言ったディールとは必ず出合う。そん時に一人でも多く生き延びさせる為、俺達隊長格は、必死でお前達を鍛え上げてるんだよ」

 ウィルヴァルおじさんが騎士達を安心させる為に僕の言葉に補足をし、他のこの場に居合わせた隊長格はウィルヴァルおじさんの言葉に頷く。

「……私達は、知らずに今まで隊の連携重視訓練をしていた訳ですか……」

 ユーファン兄が、血の気のなくなった顔で呟く。

「だから、ウィルヴァルおじさんが兄さん達の隊を引き継いだんだよ。ウィルヴァルおじさん言ったでしょ?僕は陛下と面識あるって。今日陛下と会ったから、ウィルヴァルおじさんと二人で昼過ぎに報告させて貰った。陛下は、自身の騎士の命を軽んじられるのが大っ嫌いでね?それはもうすっごく怒ってたよ。だからこそ、この仕事の早さなんだよ。愛されてるよね、兄さん達」

 僕の言葉にこの場にいた騎士達が驚き、半信半疑でいる者もそこそこいた為、記録石を使いその時の記録を見せる事で証明し、事実と分かった騎士達全てが歓喜する。
(うむ。この為に記録石に映像と声を残した訳じゃないけど、結果オーライ。これでかなりやる気が上がった筈だ。遊びも気合いが入りそう~♪)
 僕は陛下を持ち出し、騎士が一番喜ぶ言葉を教えてあげた。これで陛下への敬愛も信頼も上昇するし、これからの訓練にも一層力が入る筈。
 次に来た時はかなりの底上げが出来て、僕の遊びもより面白味を増す筈さ♪

「さて、陛下の意志も伝えた事だし、遊びの続きを始めよう!陛下の為に、思う存分頑張ってよね!」

 そして、その後の遊びと称した訓練は、これまでの訓練よりも気合いとやる気に満ち溢れ、充実した日となった。



 ~ちょっとしたオマケ話~
「ラファール、その記録石くれ!」
「嫌だよ、この石めっちゃ純度高いんだから」
「そこを何とか!!」
「駄目だって」
「家宝にするから!」
「やれないって。これ渡したら、陛下の花嫁候補連れて来れないじゃん!」
「じゃあ、その後!その後で良いから!!」
 食い下がるウィルヴァルに辟易するラルでした。
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