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~王都への道中と王都エルム~
観光前の一悶着
次の日、アーヤとセス、それにもう一人の旅の連れである兄さんと一緒にウィルヴァルおじさんの案内で王都を観光……する筈だったんだけど、何故か、ウルファナル陛下が朝からウィルヴァルおじさんの家にやって来て、お忍び参加しに来たっぽい。
「私はラルの歳の離れた友人で、ウィルヴァルと同じ王城に勤めていて、名をウファルと言う。昨日王都を観光すると聞いてな、私も同行させて貰おうと思い来た。参加しても良いだろうか?」
陛下には、ウファルを名乗る時は僕もラルでいいよと言ってある。個人としてならいいけど、陛下の立場でそれされると、僕等の素性を探ろうとする馬鹿が増えそうなのと、媚びて来るのが増えそうだからね。
あ、アーヤが陛下の略名聞いて固まった。でも、それも少しの間だけ。さすがアーヤ、順応性が高い。あれ、完璧陛下って気付いてるけど、陛下がそう名乗らないから一個人で済ませたな。アーヤは名前の通り、冷静に物事を判断する。それは誰に対しても、だ。旅の連れの兄さんとは大違い~♪
「じゃあ、一応僕が紹介するね。この子はアーヤ。アキーシィヤ=テイル。で、こっちはセス。セレヴィス=クレーン。二人共、僕と同じ村の子だよ」
「宜しく頼む」
「「こちらこそ、宜しくお願いします」」
アーヤとセスが、声を揃えて頭を下げる。
うむ。セスは全く気付いてないけど、だからといって教える訳にはいかない。まぁ、聞かれたらちゃんと答えるけどね。
「ちょっとラファール!僕の紹介忘れてる?!」
ああ、いたね。そういえば。
「自分で言いなよ。大人なんだから」
いつも僕達(主に僕)の事を子供子供言うんだから、自分ですればいいんじゃないか?陛下だって自分で名乗ってるんだから。
「まさか、もう僕の名前忘れたの?!」
いいや?一応はちゃんと覚えてはいるよ?僕記憶力悪くないし。
「ラルは余程、彼をお気に召さないようだな?」
ウルファナル陛下が聞いてくる。
「それは勿論。だってこの兄さん、思考が甘やかされまくったどこぞの貴族、みたいな感じだもん。僕、世の中嘗めまくった考えの人って大っ嫌いだから」
「ちょっ……何それ酷い!僕は真剣に考えてるよ!」
そのあんたの“真剣”が嘗めた考えだって言ってんだよ。
僕が溜め息一つ吐く。
「その人助け精神、甘くないとでも思ってんの?」
「人助けの何が悪いのさ!」
「実力が伴ってからにしなよ。あと常識と」
「それって僕が馬鹿みたいじゃないか!」
いや、実際馬鹿だよ?みたいじゃなくて、馬鹿なんだよあんたは。そもそも、馬鹿じゃない人間がヘグルス変換機器壊すかっての。
「人助け精神……悪くはないが……」
陛下が呟き、それを聞いて兄さんが賛同を得たとばかりに僕に言う。
「ほら!ウファルさんだってこう言ってるじゃないか!ラファールみたいな子供には、まだまだ分からないんだよ!」
兄さん偉そうだなぁ~。
「あまり助けてばかりだと、相手の成長を妨げる事になる。それに、それを受け続ければそれが当然となり、受けれなくなれば不満の元になるし、特定の相手だけになれば他からの不満も上がる」
「……ええっと、それは……」
「それに、助ける相手の基準は?目の前にいる者だとすれば、もっと劣悪な環境にいる者はどうなる?二人、目の前にいたとして、どちらがより助けなければならない相手か、何を見て決める?」
「……」
あ、兄さん困ってらぁ。
「甘やかすだけでは意味がない。助けると言うのであれば、後々の事も考慮しなければ助けにならない場合もあるぞ。ラルが言いたいのはそういう事だ」
さすが陛下。僕の事もよく分かってるなぁ。
「ラルは子供だが、普通の大人よりも様々な経験を積んでいるし、耳の痛い事も言うが、本心隠して褒め称える大人よりは信頼出来るし、最善の対策も練りやすい。大人なら、怒鳴るより余裕を持って対応した方がラルもそれなりの対応をすると思うが?」
陛下、機嫌悪くなってるなぁ。この兄さんが僕に偉そうだから、馬鹿な連中でも思い出したのだろう。
例えば、僕が文官の落とした請求書類に思わず指摘したら、子供が口出しすんなって怒鳴って来たんだけど、それを知って陛下が調べさせたら大問題発覚したとか。だって明らかにおかしかったんだよ、相場が。
「ラルに甘いと言われるなら、ラルの納得いく答えを出す事だ。そうすればラルも名を躊躇う事なく呼ぶだろう。ラルにとって名は信頼の証であり、神聖な物だから」
僕に名を呼ばせたければ、信頼されるよう努力しろって暗に言ってるんだろうけど、この兄さん気付いてるかなぁ?……気付いてない方に僕一票~。
「おぉ~い。何やってんだぁ?そろそろ行くぞ」
「ウィルヴァルおじさん、馬車の準備は?」
「出来てるから呼びに来たんだよ。ラル、もしもの時は頼んだぞ?」
「了解。ウファル兄も行こう。セスは今回王都初めてだから、色んな場所の案内宜しくね、ウィルヴァルおじさん」
「おうよ、分かってらぁ♪」
「私はラルの歳の離れた友人で、ウィルヴァルと同じ王城に勤めていて、名をウファルと言う。昨日王都を観光すると聞いてな、私も同行させて貰おうと思い来た。参加しても良いだろうか?」
陛下には、ウファルを名乗る時は僕もラルでいいよと言ってある。個人としてならいいけど、陛下の立場でそれされると、僕等の素性を探ろうとする馬鹿が増えそうなのと、媚びて来るのが増えそうだからね。
あ、アーヤが陛下の略名聞いて固まった。でも、それも少しの間だけ。さすがアーヤ、順応性が高い。あれ、完璧陛下って気付いてるけど、陛下がそう名乗らないから一個人で済ませたな。アーヤは名前の通り、冷静に物事を判断する。それは誰に対しても、だ。旅の連れの兄さんとは大違い~♪
「じゃあ、一応僕が紹介するね。この子はアーヤ。アキーシィヤ=テイル。で、こっちはセス。セレヴィス=クレーン。二人共、僕と同じ村の子だよ」
「宜しく頼む」
「「こちらこそ、宜しくお願いします」」
アーヤとセスが、声を揃えて頭を下げる。
うむ。セスは全く気付いてないけど、だからといって教える訳にはいかない。まぁ、聞かれたらちゃんと答えるけどね。
「ちょっとラファール!僕の紹介忘れてる?!」
ああ、いたね。そういえば。
「自分で言いなよ。大人なんだから」
いつも僕達(主に僕)の事を子供子供言うんだから、自分ですればいいんじゃないか?陛下だって自分で名乗ってるんだから。
「まさか、もう僕の名前忘れたの?!」
いいや?一応はちゃんと覚えてはいるよ?僕記憶力悪くないし。
「ラルは余程、彼をお気に召さないようだな?」
ウルファナル陛下が聞いてくる。
「それは勿論。だってこの兄さん、思考が甘やかされまくったどこぞの貴族、みたいな感じだもん。僕、世の中嘗めまくった考えの人って大っ嫌いだから」
「ちょっ……何それ酷い!僕は真剣に考えてるよ!」
そのあんたの“真剣”が嘗めた考えだって言ってんだよ。
僕が溜め息一つ吐く。
「その人助け精神、甘くないとでも思ってんの?」
「人助けの何が悪いのさ!」
「実力が伴ってからにしなよ。あと常識と」
「それって僕が馬鹿みたいじゃないか!」
いや、実際馬鹿だよ?みたいじゃなくて、馬鹿なんだよあんたは。そもそも、馬鹿じゃない人間がヘグルス変換機器壊すかっての。
「人助け精神……悪くはないが……」
陛下が呟き、それを聞いて兄さんが賛同を得たとばかりに僕に言う。
「ほら!ウファルさんだってこう言ってるじゃないか!ラファールみたいな子供には、まだまだ分からないんだよ!」
兄さん偉そうだなぁ~。
「あまり助けてばかりだと、相手の成長を妨げる事になる。それに、それを受け続ければそれが当然となり、受けれなくなれば不満の元になるし、特定の相手だけになれば他からの不満も上がる」
「……ええっと、それは……」
「それに、助ける相手の基準は?目の前にいる者だとすれば、もっと劣悪な環境にいる者はどうなる?二人、目の前にいたとして、どちらがより助けなければならない相手か、何を見て決める?」
「……」
あ、兄さん困ってらぁ。
「甘やかすだけでは意味がない。助けると言うのであれば、後々の事も考慮しなければ助けにならない場合もあるぞ。ラルが言いたいのはそういう事だ」
さすが陛下。僕の事もよく分かってるなぁ。
「ラルは子供だが、普通の大人よりも様々な経験を積んでいるし、耳の痛い事も言うが、本心隠して褒め称える大人よりは信頼出来るし、最善の対策も練りやすい。大人なら、怒鳴るより余裕を持って対応した方がラルもそれなりの対応をすると思うが?」
陛下、機嫌悪くなってるなぁ。この兄さんが僕に偉そうだから、馬鹿な連中でも思い出したのだろう。
例えば、僕が文官の落とした請求書類に思わず指摘したら、子供が口出しすんなって怒鳴って来たんだけど、それを知って陛下が調べさせたら大問題発覚したとか。だって明らかにおかしかったんだよ、相場が。
「ラルに甘いと言われるなら、ラルの納得いく答えを出す事だ。そうすればラルも名を躊躇う事なく呼ぶだろう。ラルにとって名は信頼の証であり、神聖な物だから」
僕に名を呼ばせたければ、信頼されるよう努力しろって暗に言ってるんだろうけど、この兄さん気付いてるかなぁ?……気付いてない方に僕一票~。
「おぉ~い。何やってんだぁ?そろそろ行くぞ」
「ウィルヴァルおじさん、馬車の準備は?」
「出来てるから呼びに来たんだよ。ラル、もしもの時は頼んだぞ?」
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「おうよ、分かってらぁ♪」
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