英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~港町エルト・デ・ルム~

宿屋にて、メカエンジニアの仕事依頼

   カランカラーン♪
 宿屋の扉に掛かるベルが鳴り響き、宿屋の店主が声を出す。

「いらっしゃい……って、ラファール?!ラファールじゃないか!」

 僕の顔を見て、嬉しそうに笑う店主のおじさん。

「へへっ、久しぶりだねおじさん」
「久しぶりだなぁ。あれ?今日は兄ちゃんと一緒じゃないのかい?」

 首を傾げるおじさんに僕は頷く。

「うん。今回は僕が主体の旅だから、一緒じゃないよ」
「そうか……。その子は前にも来た事がある子だね。他の二人もラファールの連れかい?部屋数はどうする?」
「成り行きで今回は四人。ん~、海側隣部屋で二つ。いい?」

 僕の問いにニンマリ微笑む店主のおじさん。

「ああ、構わんよ。今回の滞在中の宿と、朝晩の飯も付けてタダ・・にしてやる」
「ちょ……何でそんな?!ダメです!責めて僕の分だけは取って下さい!!」
「兄さん……割って入んな。……で?条件は?」

 詰め寄ってきた兄さんを押し退け、僕はおじさんとの会話を再開させる。

「ああ、店にある物の点検修理をお願いするよ。最近ちょっと調子の悪い物があるんだよ。ただ、その時その時で違うから何とも言えないんだよ」
「OK。交渉成立って事で!兄さん何か文句ある?」

 僕が兄さんに問うと、兄さんがハッとした様子で僕に言う。

「君だけを働かす訳にはいかないよ!」
「じゃあ聞くけど、兄さん機械の類い弄った事ある?」
「うっ……なっ、ないけど、頑張れば何とかなるよ!うん」
「――で?壊したら・・・・どうする気?それを僕が修理するの?二度手間・・・・だよ?」

 焦る兄さん。パニクる寸前と見た。

「うっ……だっ、だから、それは……」
「因みに、弁償なんて考えてないよね?念の為言っとくけど、ここは宿屋食堂だから、修理に時間が掛かるとそれだけすっっごい損害食らうんだからね。それでもやる気?」

 にっこりと笑顔を浮かべて言い切る僕。

「……任せます……」

 子供に言いくるめられた~と半泣きなっているが、ラルは、この店が休みならまだしも……とぼやき、そんな二人を見て、セスはあの兄さん懲りないなぁと思い、アーヤに至ってはラルに敵う訳ないじゃないと呆れながら見守っている。

「取り敢えず、夜に食堂業務が終わってから点検して、簡単に出来る物なら直ぐに、そうでない物は明日の人がいない時間帯に修理していくよ」

 そうおじさんに声を掛けて、部屋の鍵を貰い、一つをセスに渡す。
 その日の夜、約束通りに宿屋内の機械点検。石の交換だけの物はそのまま取り替え、そうでない物が一つあったので、それは明日にする。僕は基本、自分で一から作る事が多いけど、他の人が作った物も見るのも好きだし修理する事も得意だ。
 ただ、メカエンジニアや技師と呼べる者の殆どは中央デ・トルト大陸に集中している。それは、魔石を入手しやすいから。
 では、何故他の大陸では入手しにくいか?それは単に魔物が強くなっていくからである。
 メカエンジニアや技師は一応魔物と戦う事もあるが、その殆どは戦闘を不得手としている。
 まぁ要は魔物と戦うより武器や生活に役立つ物を作る方が良いのだが、魔石入手の為に街や村といった人が住む場所から離れた魔物が出る場所へと足を運ばなくてはならない為だ。
 魔石は大地の魔力が溜まりやすい山や洞窟といった場所に多い為、冒険者に頼んで同行して貰う事が多く、魔物が強い場所であればある程出費が嵩む。その為魔物の強さはヘグルスによるので、一番低い中央に集まりやすいという訳だ。
 魔石の純度はヘグルスに関係するが、命懸けで取るより純度が低くても使える機器を作れば良いと考えるのだ。その分大きさが大きくなったり性能面が低くなったりするが、それは仕方のない事だと皆割り切る。
 僕はどの大陸のも持っているけど、自分で作った物以外の魔石交換は、元々入っていた魔石の純度に合わせる。
 というのも、純度の高い魔石は途轍もなく貴重とされ、法外な値段が付くからだ。そんな石を安い値段でポコポコ使おう物なら大問題になるからね。下手すりゃ奪い合いの殺し合いになるよ。
 僕の作った物は、プレゼントした人専用か登録した人しか使えないし、分解もそう簡単には出来ないようにしている。
 プロの技師やドワーフなら出来るだろうけど、他の人の作った機械の石だけを抜いて自分の機械に移し替えるなんて出来ないから。それ出来る奴はプロって呼べないからね。
 そんな訳で、腕の良いメカエンジニアや技師っていうのは中央出身者や中央にいる為、この大陸では出来て石の交換ぐらいの自称メカエンジニアがいる程度だと思う。
 だからこそ、僕のちょっとした腕を知るおじさんは僕に点検修理を頼んできたという訳さ。
 因みに何で知れたかっていうと、おじさんが断られまくって諦めてた思い出の品を、僕が借りて部屋に行き、即修理したのが切っ掛け。
 それ以来、おじさんは僕に依頼するようになったんだ。
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