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~港町エルト・デ・ルム~
依頼者の元へ
よく晴れた翌朝、宿屋のおじさんに教わった船着き場へと歩いてく。そこには、思った以上にでっかくて格好良い、十人は軽く乗れるであろう修理中の船が、ドンッと場を占めていた。
(おぉ~、良い船だなぁ。しかもこれ、相当性能良さそうだ。これ作ったの、昨日のおじさんだよなぁ。って事は、あの人かなり名の知れた技師かも。もしかすると僕でも名前知ってる人じゃないかな?うわ、あとで聞いてみよ!)
どうやら昨日のおじさんはまだここに来てないようだ。ジッと突っ立って待ってるよりは、ちょっとだけ船の具合を見させて貰おう。
船の周りを一周回って、次に甲板へと飛び乗る。船の外観だけ見て思ったのは、船の傷痕が思いの外深いのと、相当な技術が施されているのと、これだけの物を一人で修理するにはまだまだ途方もない時間が掛かるのとだ。
これだけの腕を持ってても、連結とか色々あるから、一人じゃかなり厳しいだろうなぁ。でも、僕と二人でなら、1ディルム(※1週間。ただしこの世界では10日間)もいらないかも……。ただ、問題はあのおじさんが、僕と組む気があるかだけど……。そう思っていたら、船に近付く人の気配が。
甲板から下を覗くとあのおじさんがこっちにやって来る。取り敢えず、船の下に来てから声を掛ける事にした。
「良い船だね。だけど、これを修理するには一人ではかなり厳しいよ?」
僕の声におじさんが反応し、声を上げる。
「どうやってその船に?!それに貴様は誰じゃ!」
おじさんが目を細め、船の上をあちこち彷徨う。どうも逆光になってるようだ。
「ちょっと待って。今そっちに行くよ」
僕がおじさんに声を掛けて、船上から身軽に降り立つ。
「子供じゃと?!」
吃驚してるおじさんに向かって僕は自己紹介する。
「僕はラファール。ラファール=フォーゼ。メカエンジニアの手がいるって聞いて来たんだ」
「……確かに、メカエンジニアの手が欲しいと頼みはしたが……」
宿屋の店主に担がれた?!と思っているジロウムを前に、ラルが溜め息を吐きつつジロウムに話し掛ける。
「この大陸にはメカエンジニアって少ないし、いても殆どが腕の立たない自称ばっかなんだよ。魔石交換とかなら出来るんだろうけど、そんなの教えて貰えばメカエンジニアじゃなくても誰でも出来るんだから、そんなんでメカエンジニアを名乗らないで欲しいよ……」
僕がそんな事をおじさんに言うが、おじさんは本当にこの子供がこの大陸一なのか?!と思っているのだろう。そんな彼の視線を感じ、僕は突破口を切り出す。
「僕の作った物、見る?」
メカエンジニアや技師が、この言葉に興味を持たない筈はない。
「持っているのか?」
さすが、腕の良い技師だけあるなぁ。目の輝きが違う。物凄い食い付きようだ。
「このゴーグルも、僕の作った物の一つだよ。あと、通信機器は二種類あって、腕輪型と箱型。時計にヘグルス変換機器、魔石の純度計測機器もあるよ。他にもあるけど、それは追い追いね。何から見たい?」
「……では、通信機器を」
僕が二種類の通信機器を手渡すと、その大きさにおじさんが驚く。腕輪型はアクセサリーにしか見えず、箱型も掌に乗るサイズ。普通の街に置いてある通信機器は、人よりもでかくて範囲も狭い。
「解体しても良いかな?」
おじさんが僕の作った通信機器を興味津々でひっくり返したりしながら見てる。
「良いよ。何なら僕が解体しようか?」
「……じゃあ、そうして貰おう」
「OK!」
僕は早速ドライバー類いの入ったポーチを荷物袋から取り出し、ポーチから使う工具を選んで手早く説明も加えながら解体していく。
「……どこでこんな技術を手に入れたんだね、君は……」
「独学!って言いたい所だけど、実は僕の村にドワーフのおじいちゃんが住んでて、そのおじいちゃんにコツとか、色々教えて貰ったんだ♪」
ドワーフが自分等の技術を人に教えるなんぞ、聞いた事もないぞ?!と内心吃驚なジロウムに対してラルはにっこり笑顔で問う。
「で、僕、合格?」
「ああ、勿論合格じゃ!早速手伝って貰いたい。ああ、報酬も決めんとなぁ!」
「良かった。それはそうと、そろそろおじさんの名前を聞いても良いかな?」
おじさんはまだ名乗ってなかった事に漸く気付き、僕に謝る。
「済まんかった。まだ名乗ってなかったか。儂はジロウム。ジロウム=リードだ」
「ああ、やっぱり僕でも知ってる有名技師だったか。確か、中央大陸の西にあるウヌドール半島のウダト出身者だ!」
「お前さん、中央に来た事があるのか?」
「うん。中央だけじゃなく他の大陸も廻ったよ♪その中でもジロウムおじさんの名はよく聞いたよ。残念ながら、この大陸では知られてないみたいだけどね」
「ああ、もうおじさんって歳じゃないんでな、じいちゃんで良いぞ。ウダトではジロじいと呼ばれとる」
「じゃあ、ジムじいちゃんって呼んで良い?僕はラルで良いから!」
「分かった。ラルじゃな」
「うん。宜しくね♪ジムじいちゃん!」
(おぉ~、良い船だなぁ。しかもこれ、相当性能良さそうだ。これ作ったの、昨日のおじさんだよなぁ。って事は、あの人かなり名の知れた技師かも。もしかすると僕でも名前知ってる人じゃないかな?うわ、あとで聞いてみよ!)
どうやら昨日のおじさんはまだここに来てないようだ。ジッと突っ立って待ってるよりは、ちょっとだけ船の具合を見させて貰おう。
船の周りを一周回って、次に甲板へと飛び乗る。船の外観だけ見て思ったのは、船の傷痕が思いの外深いのと、相当な技術が施されているのと、これだけの物を一人で修理するにはまだまだ途方もない時間が掛かるのとだ。
これだけの腕を持ってても、連結とか色々あるから、一人じゃかなり厳しいだろうなぁ。でも、僕と二人でなら、1ディルム(※1週間。ただしこの世界では10日間)もいらないかも……。ただ、問題はあのおじさんが、僕と組む気があるかだけど……。そう思っていたら、船に近付く人の気配が。
甲板から下を覗くとあのおじさんがこっちにやって来る。取り敢えず、船の下に来てから声を掛ける事にした。
「良い船だね。だけど、これを修理するには一人ではかなり厳しいよ?」
僕の声におじさんが反応し、声を上げる。
「どうやってその船に?!それに貴様は誰じゃ!」
おじさんが目を細め、船の上をあちこち彷徨う。どうも逆光になってるようだ。
「ちょっと待って。今そっちに行くよ」
僕がおじさんに声を掛けて、船上から身軽に降り立つ。
「子供じゃと?!」
吃驚してるおじさんに向かって僕は自己紹介する。
「僕はラファール。ラファール=フォーゼ。メカエンジニアの手がいるって聞いて来たんだ」
「……確かに、メカエンジニアの手が欲しいと頼みはしたが……」
宿屋の店主に担がれた?!と思っているジロウムを前に、ラルが溜め息を吐きつつジロウムに話し掛ける。
「この大陸にはメカエンジニアって少ないし、いても殆どが腕の立たない自称ばっかなんだよ。魔石交換とかなら出来るんだろうけど、そんなの教えて貰えばメカエンジニアじゃなくても誰でも出来るんだから、そんなんでメカエンジニアを名乗らないで欲しいよ……」
僕がそんな事をおじさんに言うが、おじさんは本当にこの子供がこの大陸一なのか?!と思っているのだろう。そんな彼の視線を感じ、僕は突破口を切り出す。
「僕の作った物、見る?」
メカエンジニアや技師が、この言葉に興味を持たない筈はない。
「持っているのか?」
さすが、腕の良い技師だけあるなぁ。目の輝きが違う。物凄い食い付きようだ。
「このゴーグルも、僕の作った物の一つだよ。あと、通信機器は二種類あって、腕輪型と箱型。時計にヘグルス変換機器、魔石の純度計測機器もあるよ。他にもあるけど、それは追い追いね。何から見たい?」
「……では、通信機器を」
僕が二種類の通信機器を手渡すと、その大きさにおじさんが驚く。腕輪型はアクセサリーにしか見えず、箱型も掌に乗るサイズ。普通の街に置いてある通信機器は、人よりもでかくて範囲も狭い。
「解体しても良いかな?」
おじさんが僕の作った通信機器を興味津々でひっくり返したりしながら見てる。
「良いよ。何なら僕が解体しようか?」
「……じゃあ、そうして貰おう」
「OK!」
僕は早速ドライバー類いの入ったポーチを荷物袋から取り出し、ポーチから使う工具を選んで手早く説明も加えながら解体していく。
「……どこでこんな技術を手に入れたんだね、君は……」
「独学!って言いたい所だけど、実は僕の村にドワーフのおじいちゃんが住んでて、そのおじいちゃんにコツとか、色々教えて貰ったんだ♪」
ドワーフが自分等の技術を人に教えるなんぞ、聞いた事もないぞ?!と内心吃驚なジロウムに対してラルはにっこり笑顔で問う。
「で、僕、合格?」
「ああ、勿論合格じゃ!早速手伝って貰いたい。ああ、報酬も決めんとなぁ!」
「良かった。それはそうと、そろそろおじさんの名前を聞いても良いかな?」
おじさんはまだ名乗ってなかった事に漸く気付き、僕に謝る。
「済まんかった。まだ名乗ってなかったか。儂はジロウム。ジロウム=リードだ」
「ああ、やっぱり僕でも知ってる有名技師だったか。確か、中央大陸の西にあるウヌドール半島のウダト出身者だ!」
「お前さん、中央に来た事があるのか?」
「うん。中央だけじゃなく他の大陸も廻ったよ♪その中でもジロウムおじさんの名はよく聞いたよ。残念ながら、この大陸では知られてないみたいだけどね」
「ああ、もうおじさんって歳じゃないんでな、じいちゃんで良いぞ。ウダトではジロじいと呼ばれとる」
「じゃあ、ジムじいちゃんって呼んで良い?僕はラルで良いから!」
「分かった。ラルじゃな」
「うん。宜しくね♪ジムじいちゃん!」
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