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~港町エルト・デ・ルム~
楽しい修理
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昼食時を過ぎた昼下がり、僕達は船で白熱しまくった為に昼食を取り忘れていたから、宿屋の食堂に二人で向かう。その途中でも専門用語を交えた機械や魔石関連の話をし続ける。
これ程話が通じる人は滅多にお目に掛かれない。魔石の純度が低い物であれだけの物を作れるのだ。当然といえば当然なのだが、純度の高い物を使えば誰でも作れるかといえば、そうでもない。
純度が高ければ内包する魔力の量が高いから、それだけ扱いが難しいのだ。混合魔石を作る時は細心の注意を払わなければ、大爆発を起こしたり、辺り一面凍結させたりとまぁ、かなり危ない。魔石の純度が高ければ高い程被害は拡大するのだ。
だから、魔石を扱ってる時は部屋に人を入れないよう鍵を掛ける。扉の開け閉めだけでも充分危険なのだ。あの兄さんは特にやらかしそうだから、絶対入れない。その点アーヤは大丈夫だけどね。
混合魔石は異なる魔石の合成だけど、純度が低いと混ざらず失敗、純度が高くても相性やバランスが悪いと失敗。前回と同じ物で同じ物を作ろうとしても、量を少し変えただけで別物もしくは失敗作になるので魔石の無駄遣いと思う人もいれば、だからこそ面白いと独自のレシピを作り続ける人もいる。
ただし、後者は余程の金持ちか、腕前を持ってないと出来ない作業だけどね。
あと、レシピに付いてだけど、闇市や闇ルートでたま~に魔石のレシピや薬の調合レシピ、機械レシピと様々なレシピや物が出回るが、全て本物とは限らない。でも、時々面白いのもあるし、本物もあるから法外な値段でも、入手しようとする人もいる。まぁこれも、金持ちしか出来ない事だけどね。
僕もたまに利用するけど、中々奥が深い。
「ラルは本当に話が通じるなぁ。ここまで話の通じる相手に出会えたのは初めてじゃ!中央大陸でもこれ程の相手は居んかったぞ」
「僕はメカエンジニアの師匠が師匠だからね。でも、僕もここまで話の出来る人は師匠を除いて初めてだよ。すっごく勉強になる!」
お互いすっかり意気投合して、ああでもないこうでもないと、目を輝かせながら船を強化改造する為のアイデアを出し合い、修理箇所の順番や強化の手順等を食事をしながらも続けていく。
周りは当然、僕達の話を聞いた所で何を言ってるのかすら分からないような状態だが、僕達にとっては有意義な時間であった事は言うまでもない。
翌日は、ジムじいちゃんと船の修理に取り掛かる。ジムじいちゃんはこれまでの進み具合と違い、ガンガン進むのがとても嬉しいのだろう。僕も見掛けによらず力があるから重い物でも運べるし、コンパクトな物を作るという事は指先が器用だという事、更に体力も持久力も普通の大人よりずっとあるからスピードも落ちない。となれば、進み具合がガッツリ進むだけだ。
「これ程進み具合が上がるとは思わなんだぞ!しかもラルは丁寧じゃから、他の奴等がやった修理痕も全て直し、見違えるようじゃ!」
「あー……あれは見ててイラッときたからね~。だってこの船すっごく格好良いのにあんな下っ手くそな修理痕残したら格好悪くなるよ。だからもう一回やり直した。そもそも修理痕なんて、残さず目立たせずがプロの業だしそれが良いに決まってんじゃん。それをあんなくっきりはっきり残したなんて、いくら自称とはいえ他のメカエンジニアに謝れって言いたいぐらいだよ。しかもあれ、ジムじいちゃんの性格なら指導したでしょ?されてあれって、どんだけ腕悪いんだか……」
ジムじいちゃんが疲れ果ててたのも仕方ない。聞けば、1ディファル(※1日)しか雇えない者ばっかでジムじいちゃんの話を聞かない馬鹿もいたらしい。それがあの下っ手くそな修理痕の内の一つ。依頼主の要望聞かずに仕事すんな。雇い主あっての仕事なんだから。
「でも僕、ジムじいちゃんと会えて良かったよ。僕普段、一人で作れる物ばっかだから、村に住むドワーフのじいちゃん以外の人と組むのって初めてなんだけど、腕の良い人だと話が通じ合うからめっちゃ楽しい~♪」
「はっはっは、そりゃあ儂の言い分じゃ。前例が前例だけに、ラル程のメカエンジニアがいるなんぞ思わなんだからなぁ」
でも本当、趣味の合う人との会話って話が尽きないよね~♪しかも、知識交換出来るし新しい発見とかもあって面白い。
技師とメカエンジニアの違いは、得意分野に特化してるかしてないか、の違い。
ジムじいちゃんは船を中心とした乗り物特化で僕は機械類い全般に手を出すけど、極めてはないから船や乗り物に関してはジムじいちゃんの方が明らかに腕が良い。
その代わり、それ以外だとジムじいちゃんは専門外なので僕の方が詳しくなるんだけど、ジムじいちゃんは専門外も学んでるタイプでメカエンジニアと名乗っても差し支えないぐらいだ。一つの事を極めてるから、ある程度分かるのだろうけど、ジムじいちゃんの場合は専門外だろうと自身の手で作る物に取り付ける物は自身で作り、修理するって決めてるタイプだ。
普通の技師は外注するのが当然って認識なんだけどね。
これ程話が通じる人は滅多にお目に掛かれない。魔石の純度が低い物であれだけの物を作れるのだ。当然といえば当然なのだが、純度の高い物を使えば誰でも作れるかといえば、そうでもない。
純度が高ければ内包する魔力の量が高いから、それだけ扱いが難しいのだ。混合魔石を作る時は細心の注意を払わなければ、大爆発を起こしたり、辺り一面凍結させたりとまぁ、かなり危ない。魔石の純度が高ければ高い程被害は拡大するのだ。
だから、魔石を扱ってる時は部屋に人を入れないよう鍵を掛ける。扉の開け閉めだけでも充分危険なのだ。あの兄さんは特にやらかしそうだから、絶対入れない。その点アーヤは大丈夫だけどね。
混合魔石は異なる魔石の合成だけど、純度が低いと混ざらず失敗、純度が高くても相性やバランスが悪いと失敗。前回と同じ物で同じ物を作ろうとしても、量を少し変えただけで別物もしくは失敗作になるので魔石の無駄遣いと思う人もいれば、だからこそ面白いと独自のレシピを作り続ける人もいる。
ただし、後者は余程の金持ちか、腕前を持ってないと出来ない作業だけどね。
あと、レシピに付いてだけど、闇市や闇ルートでたま~に魔石のレシピや薬の調合レシピ、機械レシピと様々なレシピや物が出回るが、全て本物とは限らない。でも、時々面白いのもあるし、本物もあるから法外な値段でも、入手しようとする人もいる。まぁこれも、金持ちしか出来ない事だけどね。
僕もたまに利用するけど、中々奥が深い。
「ラルは本当に話が通じるなぁ。ここまで話の通じる相手に出会えたのは初めてじゃ!中央大陸でもこれ程の相手は居んかったぞ」
「僕はメカエンジニアの師匠が師匠だからね。でも、僕もここまで話の出来る人は師匠を除いて初めてだよ。すっごく勉強になる!」
お互いすっかり意気投合して、ああでもないこうでもないと、目を輝かせながら船を強化改造する為のアイデアを出し合い、修理箇所の順番や強化の手順等を食事をしながらも続けていく。
周りは当然、僕達の話を聞いた所で何を言ってるのかすら分からないような状態だが、僕達にとっては有意義な時間であった事は言うまでもない。
翌日は、ジムじいちゃんと船の修理に取り掛かる。ジムじいちゃんはこれまでの進み具合と違い、ガンガン進むのがとても嬉しいのだろう。僕も見掛けによらず力があるから重い物でも運べるし、コンパクトな物を作るという事は指先が器用だという事、更に体力も持久力も普通の大人よりずっとあるからスピードも落ちない。となれば、進み具合がガッツリ進むだけだ。
「これ程進み具合が上がるとは思わなんだぞ!しかもラルは丁寧じゃから、他の奴等がやった修理痕も全て直し、見違えるようじゃ!」
「あー……あれは見ててイラッときたからね~。だってこの船すっごく格好良いのにあんな下っ手くそな修理痕残したら格好悪くなるよ。だからもう一回やり直した。そもそも修理痕なんて、残さず目立たせずがプロの業だしそれが良いに決まってんじゃん。それをあんなくっきりはっきり残したなんて、いくら自称とはいえ他のメカエンジニアに謝れって言いたいぐらいだよ。しかもあれ、ジムじいちゃんの性格なら指導したでしょ?されてあれって、どんだけ腕悪いんだか……」
ジムじいちゃんが疲れ果ててたのも仕方ない。聞けば、1ディファル(※1日)しか雇えない者ばっかでジムじいちゃんの話を聞かない馬鹿もいたらしい。それがあの下っ手くそな修理痕の内の一つ。依頼主の要望聞かずに仕事すんな。雇い主あっての仕事なんだから。
「でも僕、ジムじいちゃんと会えて良かったよ。僕普段、一人で作れる物ばっかだから、村に住むドワーフのじいちゃん以外の人と組むのって初めてなんだけど、腕の良い人だと話が通じ合うからめっちゃ楽しい~♪」
「はっはっは、そりゃあ儂の言い分じゃ。前例が前例だけに、ラル程のメカエンジニアがいるなんぞ思わなんだからなぁ」
でも本当、趣味の合う人との会話って話が尽きないよね~♪しかも、知識交換出来るし新しい発見とかもあって面白い。
技師とメカエンジニアの違いは、得意分野に特化してるかしてないか、の違い。
ジムじいちゃんは船を中心とした乗り物特化で僕は機械類い全般に手を出すけど、極めてはないから船や乗り物に関してはジムじいちゃんの方が明らかに腕が良い。
その代わり、それ以外だとジムじいちゃんは専門外なので僕の方が詳しくなるんだけど、ジムじいちゃんは専門外も学んでるタイプでメカエンジニアと名乗っても差し支えないぐらいだ。一つの事を極めてるから、ある程度分かるのだろうけど、ジムじいちゃんの場合は専門外だろうと自身の手で作る物に取り付ける物は自身で作り、修理するって決めてるタイプだ。
普通の技師は外注するのが当然って認識なんだけどね。
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