45 / 113
中央〈デ・トルト〉大陸 ~ルカタ近辺~
雨の影響
次の目的地が決まった所で夕食を取る。と、どうやら雨が降ってきたようだ。
「ラファール、大変だよ!」
「何が?」
「雨!雨が降ってきたよ!」
うん。音してるから分かってるよそれぐらい。でも何が大変なんだ?
僕が首を傾げると、兄さんは何で分からないのさと言いたそうなのだが、僕は兄さんの考えが読める訳じゃないからね?突拍子もない兄さんの考えを読める人がいたら僕は尊敬するよ。
「さっきの塩田、折角乾かしてたのに濡れちゃうよ!あれだけ広大な場所なのに、あんな少人数で守るなんて難しいよ!」
あー……そうきたか。雨に濡れた所で問題はないんだけどね?
「大丈夫だよ。あの人達の中に風使いがいるだろうし、風の精霊もいたから」
「へ?精霊?」
「若くて髪の長い男の人一人いたでしょ、あれは精霊だよ」
「「……えっ?!」」
「……そうだったんだ」
ああ、やっぱ気付いてなかったか。
「えっ、ラファールいつ分かったの?!」
「最初から。だって、風の通る場所にしか移動してないし、髪の毛ずっと揺れてたよ」
それに僕は精霊人だからね。精霊の気配は解るし、姿を隠してても気付く事が出来るよ。まぁ、姿を隠してる精霊に話し掛ける事はあんまりしないけどね。用事があるなら別だけど。
精霊も、高位なら僕が“赤の血族”だと気付く可能性があるけど、相当高位でないと気付かれないからね。
「契約してる精霊ならテリトリー外でも契約者の側ならいられるけど、契約してない精霊はテリトリー外にはいけないからね。あの精霊がどっちかは知らないけど、あそこの人達は気付いてるよ。いつも有難うって言ってたから」
「テリトリーってあるの?」
「そりゃあるよ。水の中に風や火の精霊がいたらおかしいでしょ。あと力の強弱で移動距離とかも違うし、人の姿を取れるのはある程度力がないと無理だね」
「相変わらずラルは物識りだな」
「物識りの範囲越えてない?!」
「兄さんは知らなさ過ぎだけどね」
そもそも僕には“歩く図書館”のラファス兄がいるからね。知識だけでもスオウの図書都市を軽く上回るし、多分全大陸の図書の本を集めても、被ってるのが多いだろうから、ラファス兄の知識量と同等までいくかどうか……。
僕も学者より上だろうと思うけど、ラファス兄は現存する文字全てを把握しているのだ。前に古代語専門家の学者が作ったテキストを見せて貰ったけど、8~9割方間違ってたし……。
確かその時、ボロボロの本があってよく見たら、僕ん家にある本だったしね。
僕ん家の家系は収集癖ある人多いから、現代初期の物からあるんだけど、現代初期はまだ古代語扱ってたぐらいだからね。
因みに今は1750ファレル。だから、初期の物だとざっと1700年以上経ってる事が多い。
そんな物が新品同様で大量に保存されてるから、学者からしたらお宝の宝庫だろうけど、テキスト具合からして正しくは訳せないだろうなぁ。
翌日の朝には雨が止み、進路を西へと決める。
ただ、昨日はかなりの雨が降ったのだろう、地面がグチャグチャだ。
「今日は出発止めとく?」
「えっ?何で?」
いや、何でって……。
「足場悪いよ?それでも行くの?」
「えっ、そんなの気にするの?もしかしてラファールって泥で汚れたくないの?」
「気にする所、そこじゃないんだけど。そもそもメカエンジニアに言う言葉じゃないよね。機械油のが取れにくいって分かってるの?」
「え?じゃあ何が気になるの?」
足場が悪いって言ってんじゃん。僕はともかく、兄さんは足場の悪い中で闘えるのかって事なんだけど?
「僕は悪条件での戦闘を幾度となくしてるけど、兄さんに経験あんの?足を取られそうな状況で、ディールと闘うって出来る?」
「勿論出来るよ!一度だけ、一人旅してた時に遭遇した事あるんだからね!」
一度……。たった一度で何でこんな自信持ってんだよこの兄さんは……。
「今は一人じゃないし、非戦闘員がいるって分かってる?あと、魔法は禁止。立ち止まってやるのは良いけど、移動中足を取られてディールに掛ける筈の魔法を僕に掛けられたら堪んない」
「いや、あの……」
「そもそも普通は道中ならともかく、街や村にいて外の足場が悪いと分かってるなら急ぎじゃない場合、街や村に留まるのが常識。悪条件で自らを不利にするのは馬鹿のする事だ。僕は悪条件を想定した訓練とか経験を積んでるけど、一度や二度で出来るとは言わない。最低でも百や二百ぐらいやってからでないと出来るとは言わないからね」
一人でやる分は何にも言わないけど、他に連れがいる場合はそうはいかない。一人だと自業自得だけど、連れがいる場合は巻き沿い食らうんだから、本当勘弁してくれって感じだ。
「ラファール、大変だよ!」
「何が?」
「雨!雨が降ってきたよ!」
うん。音してるから分かってるよそれぐらい。でも何が大変なんだ?
僕が首を傾げると、兄さんは何で分からないのさと言いたそうなのだが、僕は兄さんの考えが読める訳じゃないからね?突拍子もない兄さんの考えを読める人がいたら僕は尊敬するよ。
「さっきの塩田、折角乾かしてたのに濡れちゃうよ!あれだけ広大な場所なのに、あんな少人数で守るなんて難しいよ!」
あー……そうきたか。雨に濡れた所で問題はないんだけどね?
「大丈夫だよ。あの人達の中に風使いがいるだろうし、風の精霊もいたから」
「へ?精霊?」
「若くて髪の長い男の人一人いたでしょ、あれは精霊だよ」
「「……えっ?!」」
「……そうだったんだ」
ああ、やっぱ気付いてなかったか。
「えっ、ラファールいつ分かったの?!」
「最初から。だって、風の通る場所にしか移動してないし、髪の毛ずっと揺れてたよ」
それに僕は精霊人だからね。精霊の気配は解るし、姿を隠してても気付く事が出来るよ。まぁ、姿を隠してる精霊に話し掛ける事はあんまりしないけどね。用事があるなら別だけど。
精霊も、高位なら僕が“赤の血族”だと気付く可能性があるけど、相当高位でないと気付かれないからね。
「契約してる精霊ならテリトリー外でも契約者の側ならいられるけど、契約してない精霊はテリトリー外にはいけないからね。あの精霊がどっちかは知らないけど、あそこの人達は気付いてるよ。いつも有難うって言ってたから」
「テリトリーってあるの?」
「そりゃあるよ。水の中に風や火の精霊がいたらおかしいでしょ。あと力の強弱で移動距離とかも違うし、人の姿を取れるのはある程度力がないと無理だね」
「相変わらずラルは物識りだな」
「物識りの範囲越えてない?!」
「兄さんは知らなさ過ぎだけどね」
そもそも僕には“歩く図書館”のラファス兄がいるからね。知識だけでもスオウの図書都市を軽く上回るし、多分全大陸の図書の本を集めても、被ってるのが多いだろうから、ラファス兄の知識量と同等までいくかどうか……。
僕も学者より上だろうと思うけど、ラファス兄は現存する文字全てを把握しているのだ。前に古代語専門家の学者が作ったテキストを見せて貰ったけど、8~9割方間違ってたし……。
確かその時、ボロボロの本があってよく見たら、僕ん家にある本だったしね。
僕ん家の家系は収集癖ある人多いから、現代初期の物からあるんだけど、現代初期はまだ古代語扱ってたぐらいだからね。
因みに今は1750ファレル。だから、初期の物だとざっと1700年以上経ってる事が多い。
そんな物が新品同様で大量に保存されてるから、学者からしたらお宝の宝庫だろうけど、テキスト具合からして正しくは訳せないだろうなぁ。
翌日の朝には雨が止み、進路を西へと決める。
ただ、昨日はかなりの雨が降ったのだろう、地面がグチャグチャだ。
「今日は出発止めとく?」
「えっ?何で?」
いや、何でって……。
「足場悪いよ?それでも行くの?」
「えっ、そんなの気にするの?もしかしてラファールって泥で汚れたくないの?」
「気にする所、そこじゃないんだけど。そもそもメカエンジニアに言う言葉じゃないよね。機械油のが取れにくいって分かってるの?」
「え?じゃあ何が気になるの?」
足場が悪いって言ってんじゃん。僕はともかく、兄さんは足場の悪い中で闘えるのかって事なんだけど?
「僕は悪条件での戦闘を幾度となくしてるけど、兄さんに経験あんの?足を取られそうな状況で、ディールと闘うって出来る?」
「勿論出来るよ!一度だけ、一人旅してた時に遭遇した事あるんだからね!」
一度……。たった一度で何でこんな自信持ってんだよこの兄さんは……。
「今は一人じゃないし、非戦闘員がいるって分かってる?あと、魔法は禁止。立ち止まってやるのは良いけど、移動中足を取られてディールに掛ける筈の魔法を僕に掛けられたら堪んない」
「いや、あの……」
「そもそも普通は道中ならともかく、街や村にいて外の足場が悪いと分かってるなら急ぎじゃない場合、街や村に留まるのが常識。悪条件で自らを不利にするのは馬鹿のする事だ。僕は悪条件を想定した訓練とか経験を積んでるけど、一度や二度で出来るとは言わない。最低でも百や二百ぐらいやってからでないと出来るとは言わないからね」
一人でやる分は何にも言わないけど、他に連れがいる場合はそうはいかない。一人だと自業自得だけど、連れがいる場合は巻き沿い食らうんだから、本当勘弁してくれって感じだ。
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
弱小スキル【翻訳】が実は神スキルでした。追放されたが最強王国作ります
綾取
ファンタジー
万物の声を聴くスキル【翻訳】が実は【世界干渉】の神スキルでした~追放された俺が辺境を浄化して聖域を作ったら、加護を失った帝国が滅びかけてますがもう遅い。喋る野菜や聖獣たちと最強の王国を築きます
異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?
石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます!
主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。
黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。
そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。
全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。
その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。
この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。
貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
不要とされた私が、拾われた先で人生を立て直すまで
藤原遊
ファンタジー
精霊魔法を使えない――
その理由だけで「不要」と判断され、家を追われた貴族令嬢セシリア・ローディン。
彼女が送られたのは、魔境に近く、精霊の気配がほとんどない開拓地だった。
形式上は人間の領域だが、住んでいるのは魔族との混血が多く、
これまで領主が実際に住み着いたことはない土地。
「領主が、本当に来たの?」
そんな温度の低い反応の中、
セシリアは使われていなかった屋敷を掃除するところから生活を始める。
精霊に頼らず、自前の魔力と工夫で畑を整え、
少しずつ“ここで生きられる形”を作っていく日々。
やがて、精霊王の機嫌を損ねたことで人間の世界に大飢饉が訪れる。
しかし、精霊に依存しない魔境近くの土地では、作物が普通に育っていた。
「ここは、普通にご飯が食べられるんだね」
行商人の一言で知る、外の世界との温度差。
そして――作物を求めて訪れる、かつてセシリアを不要とした人々。
これは、
精霊に選ばれなかった少女が、
選ばれなかった土地で居場所を築き、
静かに“必要な存在”になっていく物語。
勇者の付属品(おまけ)〜Hero's accessories〜爆速成長で神々の領域へ 〜創造神の孫は破壊神と三日三晩戦って親友になった〜
優陽 yûhi
ファンタジー
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗(りくと)は、
3年生の生徒会長,副会長の佐伯と近藤の勇者召喚に巻き込まれて、
異世界に転移する。
何故か2人とは少しずれた場所と時間に転移した颯斗は、
魔物や魔族との戦いの中で、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
何故これ程までの能力を持っているのか?
勇者のもとに向かう冒険の中で謎が解けていく。