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中央〈デ・トルト〉大陸 ~ルカタ近辺~
雨の影響
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次の目的地が決まった所で夕食を取る。と、どうやら雨が降ってきたようだ。
「ラファール、大変だよ!」
「何が?」
「雨!雨が降ってきたよ!」
うん。音してるから分かってるよそれぐらい。でも何が大変なんだ?
僕が首を傾げると、兄さんは何で分からないのさと言いたそうなのだが、僕は兄さんの考えが読める訳じゃないからね?突拍子もない兄さんの考えを読める人がいたら僕は尊敬するよ。
「さっきの塩田、折角乾かしてたのに濡れちゃうよ!あれだけ広大な場所なのに、あんな少人数で守るなんて難しいよ!」
あー……そうきたか。雨に濡れた所で問題はないんだけどね?
「大丈夫だよ。あの人達の中に風使いがいるだろうし、風の精霊もいたから」
「へ?精霊?」
「若くて髪の長い男の人一人いたでしょ、あれは精霊だよ」
「「……えっ?!」」
「……そうだったんだ」
ああ、やっぱ気付いてなかったか。
「えっ、ラファールいつ分かったの?!」
「最初から。だって、風の通る場所にしか移動してないし、髪の毛ずっと揺れてたよ」
それに僕は精霊人だからね。精霊の気配は解るし、姿を隠してても気付く事が出来るよ。まぁ、姿を隠してる精霊に話し掛ける事はあんまりしないけどね。用事があるなら別だけど。
精霊も、高位なら僕が“赤の血族”だと気付く可能性があるけど、相当高位でないと気付かれないからね。
「契約してる精霊ならテリトリー外でも契約者の側ならいられるけど、契約してない精霊はテリトリー外にはいけないからね。あの精霊がどっちかは知らないけど、あそこの人達は気付いてるよ。いつも有難うって言ってたから」
「テリトリーってあるの?」
「そりゃあるよ。水の中に風や火の精霊がいたらおかしいでしょ。あと力の強弱で移動距離とかも違うし、人の姿を取れるのはある程度力がないと無理だね」
「相変わらずラルは物識りだな」
「物識りの範囲越えてない?!」
「兄さんは知らなさ過ぎだけどね」
そもそも僕には“歩く図書館”のラファス兄がいるからね。知識だけでもスオウの図書都市を軽く上回るし、多分全大陸の図書の本を集めても、被ってるのが多いだろうから、ラファス兄の知識量と同等までいくかどうか……。
僕も学者より上だろうと思うけど、ラファス兄は現存する文字全てを把握しているのだ。前に古代語専門家の学者が作ったテキストを見せて貰ったけど、8~9割方間違ってたし……。
確かその時、ボロボロの本があってよく見たら、僕ん家にある本だったしね。
僕ん家の家系は収集癖ある人多いから、現代初期の物からあるんだけど、現代初期はまだ古代語扱ってたぐらいだからね。
因みに今は1750ファレル。だから、初期の物だとざっと1700年以上経ってる事が多い。
そんな物が新品同様で大量に保存されてるから、学者からしたらお宝の宝庫だろうけど、テキスト具合からして正しくは訳せないだろうなぁ。
翌日の朝には雨が止み、進路を西へと決める。
ただ、昨日はかなりの雨が降ったのだろう、地面がグチャグチャだ。
「今日は出発止めとく?」
「えっ?何で?」
いや、何でって……。
「足場悪いよ?それでも行くの?」
「えっ、そんなの気にするの?もしかしてラファールって泥で汚れたくないの?」
「気にする所、そこじゃないんだけど。そもそもメカエンジニアに言う言葉じゃないよね。機械油のが取れにくいって分かってるの?」
「え?じゃあ何が気になるの?」
足場が悪いって言ってんじゃん。僕はともかく、兄さんは足場の悪い中で闘えるのかって事なんだけど?
「僕は悪条件での戦闘を幾度となくしてるけど、兄さんに経験あんの?足を取られそうな状況で、ディールと闘うって出来る?」
「勿論出来るよ!一度だけ、一人旅してた時に遭遇した事あるんだからね!」
一度……。たった一度で何でこんな自信持ってんだよこの兄さんは……。
「今は一人じゃないし、非戦闘員がいるって分かってる?あと、魔法は禁止。立ち止まってやるのは良いけど、移動中足を取られてディールに掛ける筈の魔法を僕に掛けられたら堪んない」
「いや、あの……」
「そもそも普通は道中ならともかく、街や村にいて外の足場が悪いと分かってるなら急ぎじゃない場合、街や村に留まるのが常識。悪条件で自らを不利にするのは馬鹿のする事だ。僕は悪条件を想定した訓練とか経験を積んでるけど、一度や二度で出来るとは言わない。最低でも百や二百ぐらいやってからでないと出来るとは言わないからね」
一人でやる分は何にも言わないけど、他に連れがいる場合はそうはいかない。一人だと自業自得だけど、連れがいる場合は巻き沿い食らうんだから、本当勘弁してくれって感じだ。
「ラファール、大変だよ!」
「何が?」
「雨!雨が降ってきたよ!」
うん。音してるから分かってるよそれぐらい。でも何が大変なんだ?
僕が首を傾げると、兄さんは何で分からないのさと言いたそうなのだが、僕は兄さんの考えが読める訳じゃないからね?突拍子もない兄さんの考えを読める人がいたら僕は尊敬するよ。
「さっきの塩田、折角乾かしてたのに濡れちゃうよ!あれだけ広大な場所なのに、あんな少人数で守るなんて難しいよ!」
あー……そうきたか。雨に濡れた所で問題はないんだけどね?
「大丈夫だよ。あの人達の中に風使いがいるだろうし、風の精霊もいたから」
「へ?精霊?」
「若くて髪の長い男の人一人いたでしょ、あれは精霊だよ」
「「……えっ?!」」
「……そうだったんだ」
ああ、やっぱ気付いてなかったか。
「えっ、ラファールいつ分かったの?!」
「最初から。だって、風の通る場所にしか移動してないし、髪の毛ずっと揺れてたよ」
それに僕は精霊人だからね。精霊の気配は解るし、姿を隠してても気付く事が出来るよ。まぁ、姿を隠してる精霊に話し掛ける事はあんまりしないけどね。用事があるなら別だけど。
精霊も、高位なら僕が“赤の血族”だと気付く可能性があるけど、相当高位でないと気付かれないからね。
「契約してる精霊ならテリトリー外でも契約者の側ならいられるけど、契約してない精霊はテリトリー外にはいけないからね。あの精霊がどっちかは知らないけど、あそこの人達は気付いてるよ。いつも有難うって言ってたから」
「テリトリーってあるの?」
「そりゃあるよ。水の中に風や火の精霊がいたらおかしいでしょ。あと力の強弱で移動距離とかも違うし、人の姿を取れるのはある程度力がないと無理だね」
「相変わらずラルは物識りだな」
「物識りの範囲越えてない?!」
「兄さんは知らなさ過ぎだけどね」
そもそも僕には“歩く図書館”のラファス兄がいるからね。知識だけでもスオウの図書都市を軽く上回るし、多分全大陸の図書の本を集めても、被ってるのが多いだろうから、ラファス兄の知識量と同等までいくかどうか……。
僕も学者より上だろうと思うけど、ラファス兄は現存する文字全てを把握しているのだ。前に古代語専門家の学者が作ったテキストを見せて貰ったけど、8~9割方間違ってたし……。
確かその時、ボロボロの本があってよく見たら、僕ん家にある本だったしね。
僕ん家の家系は収集癖ある人多いから、現代初期の物からあるんだけど、現代初期はまだ古代語扱ってたぐらいだからね。
因みに今は1750ファレル。だから、初期の物だとざっと1700年以上経ってる事が多い。
そんな物が新品同様で大量に保存されてるから、学者からしたらお宝の宝庫だろうけど、テキスト具合からして正しくは訳せないだろうなぁ。
翌日の朝には雨が止み、進路を西へと決める。
ただ、昨日はかなりの雨が降ったのだろう、地面がグチャグチャだ。
「今日は出発止めとく?」
「えっ?何で?」
いや、何でって……。
「足場悪いよ?それでも行くの?」
「えっ、そんなの気にするの?もしかしてラファールって泥で汚れたくないの?」
「気にする所、そこじゃないんだけど。そもそもメカエンジニアに言う言葉じゃないよね。機械油のが取れにくいって分かってるの?」
「え?じゃあ何が気になるの?」
足場が悪いって言ってんじゃん。僕はともかく、兄さんは足場の悪い中で闘えるのかって事なんだけど?
「僕は悪条件での戦闘を幾度となくしてるけど、兄さんに経験あんの?足を取られそうな状況で、ディールと闘うって出来る?」
「勿論出来るよ!一度だけ、一人旅してた時に遭遇した事あるんだからね!」
一度……。たった一度で何でこんな自信持ってんだよこの兄さんは……。
「今は一人じゃないし、非戦闘員がいるって分かってる?あと、魔法は禁止。立ち止まってやるのは良いけど、移動中足を取られてディールに掛ける筈の魔法を僕に掛けられたら堪んない」
「いや、あの……」
「そもそも普通は道中ならともかく、街や村にいて外の足場が悪いと分かってるなら急ぎじゃない場合、街や村に留まるのが常識。悪条件で自らを不利にするのは馬鹿のする事だ。僕は悪条件を想定した訓練とか経験を積んでるけど、一度や二度で出来るとは言わない。最低でも百や二百ぐらいやってからでないと出来るとは言わないからね」
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