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~トルク領域~
エーダか歩きか決めましょう
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翌日、いつも通り夜明け前の日課のトレーニングを済ませ、少しだけ仮眠を取る。ここが僕達の村、ライトフォーマーなら別に二度寝しなくても問題ないんだけど、ラファス兄がいないと通常寝てる状態でも警戒モードになってるらしく、全然寝た気にならないんだよね~。だから、睡眠時間は出来るだけ取っておけってラファス兄から言われてる。
ラファス兄曰く、僕の場合は体質らしい。ある程度の力場がないとそうなるらしい。
だから、警戒モードで睡眠不足状態が続くと物凄くイライラして、ちょっとの事でもムカつくんだよね。眠たいのに寝れない状態だから余計にだ。
因みに、力場となる僕より上の強い人や地場の強い場所だと、短時間でもぐっすり眠れる。
あまりにも睡眠不足の状態が何ヶ月も続くと、僕の場合は下手すると休止状態に陥っちゃうから要注意なんだよね。これは人間でいう安静状態で、一応動けはするけどいつ倒れてもおかしくない状態。これが酷くなると強制休止になり、これだと人間でいう昏睡状態で、全く動けない状態に陥っちゃうんだ。こうなった場合は数ヶ月から、負荷の掛かり具合で数年は目覚めない。
勿論そうなる前に、なるべく睡眠時間は削らずに過ごし、場合によってはラファス兄や、聖騎士団特殊部隊の兄さん達に力場となってもらうけどね。
仮眠から目覚めて、階下の食堂へと向かう。
アーヤもセスも兄さんも、階下の食堂にいるだろうから。
「――っはよ」
「ラファール、おはよう。もう皆揃ってるよ」
うん、知ってる。アーヤが一番早くに降りてったのも、次にセスと兄さんが降りてったのも、宿の人達の動きなら、寝てても一応把握は出来てるからね。
「ラル、おはよう」
「おはようラル」
「おはよ、二人共」
僕が朝食を宿の人に頼んでから、三人に聞く。
「――で、歩きかエーダか決めた?」
「僕はエーダに乗ってみたいんだけど、セレヴィスがね」
「だって、エーダだとかなりの出費になるし……。俺の我が儘でスオウ行きになったのにこれ以上迷惑は掛けたくないんだよ」
迷惑ねぇ。そんな風に思った事ないんだけどなぁ。
「セスは考え過ぎなんだよ。金の事は気にすんな。稼ごうと思えばいくらでも稼げるし。そもそも、迷惑なら最初っから旅に参加させない。この兄さんは渋々嫌々だけど、セスは違うからな」
「ちょっ、ラファール?!」
事実じゃん。
「だってこの兄さん旅してる癖に、旅のルールを無視ってるし、常識おかしいし、挙げ句忘れっぽいしで良いとこないじゃん。僕の知る尊敬出来る人には当て嵌まらないね。僕より優れてる部分が一つでもあれば別だけど、この兄さんにそれはない」
僕がセスに理由を話す。
「ちょっ、何で言い切れるのさ!僕だってラファールより優れてる部分が――」
「ない」
きっぱり言い切られたけど、今のは僕じゃないよ。
「ちょっ、アキーシィヤまで?!」
「お兄さんはラルを見くびり過ぎ。ラルはお兄さんが敵う相手じゃないのよ」
「いや、あの、でもね?」
「年下だからって思ってるんでしょうけど、ラルの師匠に当たる人達はスペシャリストばかりなの。知り合いの大半もそう。そんな人達に惜しみなく、知識も技術も与えられてるラルに、本気で勝てると思えるの?」
兄さんが僕をまじまじと見てくる。まぁ実際、僕の知る親しい人達は、子供とか以前に地位の高い大人でも会うのに苦労する人達が多い。例えば聖騎士団特殊部隊……特部の兄さん達は、全員ではないが半分ぐらいはどこぞの領主や王族だったりするしね。しかも特部の全員が何らかのスペシャリストだしね。
後親しい商人も、固定客の紹介がなければ接触はほぼ無理って言われてるぐらいだし、僕の母さんは元は、名の知れた吟遊詩人だから、僕もラファス兄も楽器は一通り出来るし歌も教えてもらったよ。
師と呼べる大半の事はラファス兄に教わってるけど、他の人も色々教えてくれたりするしね。
「アーヤはどっちがいい?歩きかエーダか」
「私はどっちでもいいんだけど……。そうね、このままじゃ決まらなそうだし、エーダを使ってもいいんじゃないかな?ラルがいるから魔物が出ても問題ないし、急ぐ旅ではないけど、この辺はやっぱり相当暑いんでしょう?」
「そうだね。アーヤとセスからすれば相当暑いかも。エーダで行くなら夕方か明け方前に出発するエーダにした方がいいかな。歩きだと砂漠から少し離れて歩くから暑さは多少マシだろうけど、その分時間が掛かるし砂漠沿いになるから暑い事に変わりはないよ」
「じゃあ、エーダで今日の夕方出発。セスもそれでいいわね?」
「あ、うん」
アーヤがセスに問い掛けて、セスが頷く。
アーヤは決める時、スパッと決めるからね。
「じゃあ今から僕が交渉しに行ってくるよ」
「いやいや、ここは僕が行くよ。ラルだと侮られる可能性があるからね」
「侮ってるのは兄さんだよね?そもそも兄さんはエーダの適正価格知ってるの?エーダって風使いの腕にも価格影響するし、大きければいいって物でもないからね。それと、極稀にだけど旅人をカモにする悪徳ぼったくりな商売人がいるけど、兄さんに見分け付くの?分かるの?」
僕の質問に、兄さんが項垂れる。
「……分かりません……」
「じゃあ口出さないで」
取り敢えず、僕は夕方発のエーダに乗れるよう砂漠のエーダ乗り場へ交渉しに行った。
ラファス兄曰く、僕の場合は体質らしい。ある程度の力場がないとそうなるらしい。
だから、警戒モードで睡眠不足状態が続くと物凄くイライラして、ちょっとの事でもムカつくんだよね。眠たいのに寝れない状態だから余計にだ。
因みに、力場となる僕より上の強い人や地場の強い場所だと、短時間でもぐっすり眠れる。
あまりにも睡眠不足の状態が何ヶ月も続くと、僕の場合は下手すると休止状態に陥っちゃうから要注意なんだよね。これは人間でいう安静状態で、一応動けはするけどいつ倒れてもおかしくない状態。これが酷くなると強制休止になり、これだと人間でいう昏睡状態で、全く動けない状態に陥っちゃうんだ。こうなった場合は数ヶ月から、負荷の掛かり具合で数年は目覚めない。
勿論そうなる前に、なるべく睡眠時間は削らずに過ごし、場合によってはラファス兄や、聖騎士団特殊部隊の兄さん達に力場となってもらうけどね。
仮眠から目覚めて、階下の食堂へと向かう。
アーヤもセスも兄さんも、階下の食堂にいるだろうから。
「――っはよ」
「ラファール、おはよう。もう皆揃ってるよ」
うん、知ってる。アーヤが一番早くに降りてったのも、次にセスと兄さんが降りてったのも、宿の人達の動きなら、寝てても一応把握は出来てるからね。
「ラル、おはよう」
「おはようラル」
「おはよ、二人共」
僕が朝食を宿の人に頼んでから、三人に聞く。
「――で、歩きかエーダか決めた?」
「僕はエーダに乗ってみたいんだけど、セレヴィスがね」
「だって、エーダだとかなりの出費になるし……。俺の我が儘でスオウ行きになったのにこれ以上迷惑は掛けたくないんだよ」
迷惑ねぇ。そんな風に思った事ないんだけどなぁ。
「セスは考え過ぎなんだよ。金の事は気にすんな。稼ごうと思えばいくらでも稼げるし。そもそも、迷惑なら最初っから旅に参加させない。この兄さんは渋々嫌々だけど、セスは違うからな」
「ちょっ、ラファール?!」
事実じゃん。
「だってこの兄さん旅してる癖に、旅のルールを無視ってるし、常識おかしいし、挙げ句忘れっぽいしで良いとこないじゃん。僕の知る尊敬出来る人には当て嵌まらないね。僕より優れてる部分が一つでもあれば別だけど、この兄さんにそれはない」
僕がセスに理由を話す。
「ちょっ、何で言い切れるのさ!僕だってラファールより優れてる部分が――」
「ない」
きっぱり言い切られたけど、今のは僕じゃないよ。
「ちょっ、アキーシィヤまで?!」
「お兄さんはラルを見くびり過ぎ。ラルはお兄さんが敵う相手じゃないのよ」
「いや、あの、でもね?」
「年下だからって思ってるんでしょうけど、ラルの師匠に当たる人達はスペシャリストばかりなの。知り合いの大半もそう。そんな人達に惜しみなく、知識も技術も与えられてるラルに、本気で勝てると思えるの?」
兄さんが僕をまじまじと見てくる。まぁ実際、僕の知る親しい人達は、子供とか以前に地位の高い大人でも会うのに苦労する人達が多い。例えば聖騎士団特殊部隊……特部の兄さん達は、全員ではないが半分ぐらいはどこぞの領主や王族だったりするしね。しかも特部の全員が何らかのスペシャリストだしね。
後親しい商人も、固定客の紹介がなければ接触はほぼ無理って言われてるぐらいだし、僕の母さんは元は、名の知れた吟遊詩人だから、僕もラファス兄も楽器は一通り出来るし歌も教えてもらったよ。
師と呼べる大半の事はラファス兄に教わってるけど、他の人も色々教えてくれたりするしね。
「アーヤはどっちがいい?歩きかエーダか」
「私はどっちでもいいんだけど……。そうね、このままじゃ決まらなそうだし、エーダを使ってもいいんじゃないかな?ラルがいるから魔物が出ても問題ないし、急ぐ旅ではないけど、この辺はやっぱり相当暑いんでしょう?」
「そうだね。アーヤとセスからすれば相当暑いかも。エーダで行くなら夕方か明け方前に出発するエーダにした方がいいかな。歩きだと砂漠から少し離れて歩くから暑さは多少マシだろうけど、その分時間が掛かるし砂漠沿いになるから暑い事に変わりはないよ」
「じゃあ、エーダで今日の夕方出発。セスもそれでいいわね?」
「あ、うん」
アーヤがセスに問い掛けて、セスが頷く。
アーヤは決める時、スパッと決めるからね。
「じゃあ今から僕が交渉しに行ってくるよ」
「いやいや、ここは僕が行くよ。ラルだと侮られる可能性があるからね」
「侮ってるのは兄さんだよね?そもそも兄さんはエーダの適正価格知ってるの?エーダって風使いの腕にも価格影響するし、大きければいいって物でもないからね。それと、極稀にだけど旅人をカモにする悪徳ぼったくりな商売人がいるけど、兄さんに見分け付くの?分かるの?」
僕の質問に、兄さんが項垂れる。
「……分かりません……」
「じゃあ口出さないで」
取り敢えず、僕は夕方発のエーダに乗れるよう砂漠のエーダ乗り場へ交渉しに行った。
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