英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~トルク領域~

エーダでの旅

 エーダ乗り場で交渉し、夕方のスオウ方面に出発するエーダに乗せてもらう約束を取り付け夕方出発。
 そのままエーダで遅くまで走り、深夜はエーダ操縦者と風使い、兄さんで交代しながら見張りをするらしい。僕もしようか?って聞いたけど、子供はしっかり寝て良いと言われたから任せた。どうせ僕の場合は寝てても魔物の気配は解るしね。

「――南東からディールが来る。風の結界強化お願い。他の人は起こさなくていいよ。僕一人で充分だから」

 僕が見張りの風使いの兄さんに小さく囁く。
 僕の言葉に驚き、寝ていた筈の僕に視線を向け、僕がきっちり目が覚めて行動に移す事を確認する風使いの兄さん。
 僕の言った方向に風を飛ばし確認したのだろう、目を大きく見開き僕に小声で確認してくる。

「大丈夫なのか?お前一人で」
「問題ないよ。僕はイファデラ出身の冒険者だからね」

 東の冒険者は少ないけど、強い魔物と戦闘する事に慣れてるから、他の大陸の人達には重宝される。
 因みに東の冒険者が少ないのは、東より強い魔物が他の大陸にいないから。稼ぐだけなら東の魔物が一番稼げるから、他の大陸に行く必要がない。だから東に冒険者はいても、他の大陸にいる東の冒険者は少ないんだよ。

「さて、やるか」

 少し離れた場所で僕は背に担ぐ大剣を抜き、十匹程の魔物の群れをやっつけてドロップアイテム等拾ってから、風の結界のある場所へと戻り声を掛ける。

「終わったよ」

 結界が揺らぎ、中に入る。
 魔物避けの御守りは、効く魔物と効かない魔物といて、今回のは効かないタイプで、特に砂漠とか厳しい環境だと効かない魔物が多い。
 彼等からすれば、生死に関わるから、選り好みしてられないって所かな?こういった場所だと、魔物はディールに限らずリックルまでも人を襲う事がある。
 その場合はやむ無く退治するか、保護するかの二択になるかな。
 ただし、保護の場合は魔物使いと呼ばれる人がいないと大変だし、魔物使い自体それ程多くない。一般の人達だとかなり苦戦する羽目になる。
 僕達赤の血族は、魔物や他種族の言葉や気持ちを理解する事が出来るし、こっちの言葉を聞こうとする魔物や他種族にならこっちの言葉を伝える事も出来るから、リックルの保護はリックルさえ同意してくれたらスムーズに出来るんだ。

「凄い腕だな。ラファール、だったな?俺はアーデン。寝てなかったのか?」
「寝てたよ。けど、僕は気配に敏感なんだ。寝てても周りの様子が解るんだよ。改めて、僕はラファール=フォーゼ。数日の同行だけど、宜しくねアーデン兄さん」
「こちらこそ。東出身者は強いと聞いていたが、子供でもこれ程強いとはな」
「ん~、僕は例外と思ってくれた方がいいよ。僕これでも正式な魔物キラーだから」
「……はぁ?お前が?!」
「あんまり大きな声出さないでね。はい、これが認定カード」

 アーデン兄さんが口をパクパクしながら、僕が出したカードを受け取る。

「認定地、東……。マジか……。しかも取得が7ファルレで個人取得……」

 驚き項垂れて僕のカードを返してくれるアーデン兄さん。まぁ、そうなるのも無理はない。
 因みにこのカードは複製出来ないし、他人が長時間持つとカード全体が真っ黒になる。その上本人の現在の姿もカードに出るから、借りて直ぐ使う事も出来ない。カードの性能が物凄く高い分、一枚作るのにとんでもない金額が掛かってるけど、それだけ正式な魔物キラーは強く頼りになる存在なのだ。

「僕ん家の家系が代々魔物キラーで、その殆どが子供の時に認定されてる特殊な一族だからね」

 これは嘘じゃない。ラファス兄もお父さんもお祖母ちゃんも、皆10才前後で旅立ちの儀式をしてるから、その前に保護者立ち合いの元で認定させてるんだよね。旅立ち後も一人で出来るようにと。
 二人以上の複数だと、そのパーティーメンバーがいないと魔物キラーって認められないから面倒なんだよ。
 それと、認定試験は正式な魔物キラーと国の証人が十数名いないと受けられない事になってる。これは、討伐その物が失敗した場合と、賄賂等の不正防止を考えての事だ。それプラス記録石での記録保存。不正防止を徹底しないと意味ないからね。

「……なあ、ラファール。お前、サンドワームを倒せるか?」
「勿論」
「じゃあ、いくらで依頼を受けてくれる?」

 アーデン兄さんが真剣に聞いてくる。サンドワーム退治は腕に自信がないと無理だし、大概の冒険者は損失が大きい分かなりの値段を吹っ掛ける。
 ただ、僕の場合損失はないと言ってもいいだろうけどね。
 それを知らないアーデン兄さんは、僕も相当吹っ掛けるだろうと思っているんだろう。それでも退治出来るなら仕方ないとでも思ってるんだろうなぁ。

「そうだね、5ガルトって所かな?ただし、ドロップアイテムは僕が貰うけど」
「……5ガルト?普通の奴等でも15や20ガルト取るぞ?中には50ガルトと抜かす冒険者もいる。正式な魔物キラーがそれで良いのか?」
「うん、それ、ぼったくられ過ぎだから。今回は僕が受けるけど、今度から聖騎士団に頼みなよ。それと、僕は格安設定だけど他のは腕が悪いから15ガルトとかになるんだよ。聖騎士団なら訓練も兼ねて10ガルト以下になると思う。ならなかったり受けなかったら本部に手紙出して。本部の人にも報告しとくから」
「お前、聖騎士団員なのか?!」
「違うけど、知り合いが多いんだよ。手を組む事もあるからね」

 これも嘘じゃない。僕は特部から協力依頼される事もあるからね。
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