英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
58 / 113
~トルク領域~

滞在期間延長決定!

 スオウに滞在して数日が経つ。アーヤもセスも本の多さに最初は驚いてたけど、今では図書館に通い、知識を増やす事に専念しているようだ。元々アーヤもセスも本とかが好きなタイプだからね。
 兄さんは飽きてきたのか、渋々といった感じだけど、他の二人が嬉々として通っているから文句も言えないみたい。
 僕は専門書や新刊を中心に読むのが多いかな?
 各々好きな時間に好きなだけ、図書館に入り浸っているけど、一番早くから行って遅くまでいるのはアーヤとセスで、僕はメカ弄りや他の事もするから、大体半日いれば長い方かな?兄さんは遅々として読み進まないようだけどね。



 そんなこんなでスオウに来てからあっという間に1ディルム(※1週間)が経過した。

「どうする?まだ読みたいならもう少し滞在期間延ばすけど」

 僕の言葉に驚いた声を上げる兄さん。

「えっ?!まだ読むの?そんなに本ばっか読んで大丈夫?!」

 大丈夫も何も、兄さんみたく嫌々読んでないっての。

「僕からしたら、兄さんの集中力の無さに吃驚だけどね」
「そういうラファールこそ、図書館にいる時間は短いじゃないか!二人よりも本読んでないよね?!」
「そりゃあ僕の場合、新しい知識でメカの改良したり、元々作りかけのメカも弄ったりしてたし、剣の腕も落ちないようにたまに砂漠まで行って魔物狩りしてたからね。本は速読するから、一応そこそこ読んだ筈だよ?」
「そこそこ……ってどれぐらいさ?」

 兄さんの疑問に僕が答える。

「んん~?多分百冊はいったと思うけど?」
「ひゃっ、百冊?!君、1ディルムで百冊も読んだの?!」

 いや、驚いてる所悪いけど、速読って意味知らないのか?この兄さん……。

「1ディフェル(※1日)に決まってるじゃない。速読なんだから」

 僕の代わりにアーヤが突っ込む。

「ああ、そういや凄い速さで読んでたもんなぁ」

 セスも納得してる発言だ。

「1……ディフェル?」

 兄さんが呆然と僕を見るけど、速読ってそんな物だからね?ラファス兄みたく1ページ丸まま、一言一句間違えずに誤字すらも完全に記憶するなんて事は、僕には無理だけど、それに近い覚え方はしてると思うよ?上には上がいると言うけど、ラファス兄の場合は、知識に関する事は長寿のエルフやドワーフ、龍人族にでも張り合える程の知識量を持つから、普通の人達が張り合える相手じゃないんだよね。何せ、探求者とか、精霊王の知識を継ぐって意味合いの名前でもあるから。
 そんなラファス兄が師なのだから、学者より知識が上だったり本が好きだったりするのは、当然の結果だと思うよ?ラファス兄の教え方は、更なる好奇心を刺激するやり方だから、学ぶのが楽しくなるんだよね♪ラファス兄曰く、学ぶ者が面白いと感じなければ身に付かないし、興味を見出みいだせなかったら精神的苦痛でしかないからな、との事。
 そういえば前に一度、学者の代わりに臨時講師としてラファス兄が大勢の人達の前で教えた時、教わった人達がもっとラファス兄に学びたいって嘆願してたな。最初は見た事のないラファス兄が臨時と聞いて戸惑ってたけど、僕とラファス兄のやり取りを見聞きして、質疑応答してみれば、今までの学者では解らなかった疑問や謎を全てごまかしなく、納得のいく正しい答えを返してくれるからもっと知りたい学びたいってなっちゃったみたいなんだよね。
 ただ、ラファス兄は元々臨時講師をやる気はなかったのを僕が見たがったから仕方なしにやったってだけで、再度教える気は無さそうだね。その時だって、僕が参加する事を条件に出してたぐらいだしね。

「――で、どうする?まだ調べたい事があるなら今の内に調べた方が良いと思うよ?次にいつ来るか分からないし、ここ以外にも図書館はあちこちあるけど、ここ程本が揃ってる場所は少ないから」
「じゃあ、もう少しだけ」
「俺も、出来ればもう少しだけ調べたい」
「了解。じゃあ、5ディフェルぐらいでいいかな?取り敢えず5ディフェル経ってからまた決めよう。別に急ぐ理由もないし、まだ調べ足りないならまた滞在延ばせばいいだけだしね」
「うん」
「有難う。そうするよ」

 二人共、とても嬉しそうに返事をする。
 兄さんはもう次に行きたそうだけど、この兄さんの意見は聞かない。この兄さんの意見を優先してたら、命がいくつあっても足りないし、嫌ならまた、一人で旅すればいいと思うしね。
 そうなったら僕は、この兄さんの面倒見なくていいから楽だし、兄さんも僕達に呆れられる事もなくなるから、いいと思うんだけどなぁ……。
 そうは思っても、兄さんは今の所、一人で旅するという選択肢は思い浮かんでないみたい。
 ……うん。世の中思い通りにいかない事もあるよね……。
 そんな訳で僕達は、もう暫くスオウに滞在する事に決めた。
感想 3

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

​弱小スキル【翻訳】が実は神スキルでした。追放されたが最強王国作ります

綾取
ファンタジー
万物の声を聴くスキル【翻訳】が実は【世界干渉】の神スキルでした~追放された俺が辺境を浄化して聖域を作ったら、加護を失った帝国が滅びかけてますがもう遅い。喋る野菜や聖獣たちと最強の王国を築きます

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

異世界で貧乏神を守護神に選ぶのは間違っているのだろうか?

石のやっさん
ファンタジー
異世界への転移、僕にはもう祝福を受けた女神様が居ます! 主人公の黒木翼はクラスでは浮いた存在だった。 黒木はある理由から人との関りを最小限に押さえ生活していた。 そんなある日の事、クラス全員が異世界召喚に巻き込まれる。 全員が女神からジョブやチートを貰うなか、黒木はあえて断り、何も貰わずに異世界に行く事にした。 その理由は、彼にはもう『貧乏神』の守護神が居たからだ。 この物語は、貧乏神に恋する少年と少年を愛する貧乏神が異世界で暮す物語。 貧乏神の解釈が独自解釈ですので、その辺りはお許し下さい。

不要とされた私が、拾われた先で人生を立て直すまで

藤原遊
ファンタジー
精霊魔法を使えない―― その理由だけで「不要」と判断され、家を追われた貴族令嬢セシリア・ローディン。 彼女が送られたのは、魔境に近く、精霊の気配がほとんどない開拓地だった。 形式上は人間の領域だが、住んでいるのは魔族との混血が多く、 これまで領主が実際に住み着いたことはない土地。 「領主が、本当に来たの?」 そんな温度の低い反応の中、 セシリアは使われていなかった屋敷を掃除するところから生活を始める。 精霊に頼らず、自前の魔力と工夫で畑を整え、 少しずつ“ここで生きられる形”を作っていく日々。 やがて、精霊王の機嫌を損ねたことで人間の世界に大飢饉が訪れる。 しかし、精霊に依存しない魔境近くの土地では、作物が普通に育っていた。 「ここは、普通にご飯が食べられるんだね」 行商人の一言で知る、外の世界との温度差。 そして――作物を求めて訪れる、かつてセシリアを不要とした人々。 これは、 精霊に選ばれなかった少女が、 選ばれなかった土地で居場所を築き、 静かに“必要な存在”になっていく物語。

勇者の付属品(おまけ)〜Hero's accessories〜爆速成長で神々の領域へ 〜創造神の孫は破壊神と三日三晩戦って親友になった〜

優陽 yûhi
ファンタジー
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗(りくと)は、 3年生の生徒会長,副会長の佐伯と近藤の勇者召喚に巻き込まれて、 異世界に転移する。 何故か2人とは少しずれた場所と時間に転移した颯斗は、 魔物や魔族との戦いの中で、 人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。 自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、 何故これ程までの能力を持っているのか? 勇者のもとに向かう冒険の中で謎が解けていく。