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~フィルゼン領域~
アルタ到着!
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アルタの街は、強い風が吹き込む場所であり、国に属さないデ・フォン領域の境目に建てられた街だ。
アルタの北西には山々が、北東には砂漠が広がり、北に真っ直ぐ進めば騎士団本部があるデ・マームに着く。街の高い所からなら遠目に山々や砂漠を見る事が出来るだろう。
南に進めば中央都市デ・ティームなので、訪れる旅人や商人も多く、とても活気のある街だ。
「うわぁ、スッゴイ賑やかだね~。何かお祭りでもしてるのかな?」
兄さんが瞳をキラキラ輝かせてるが、僕から見れば、ここはいつもと変わらない。
「ここはいつもこんなだよ。祭り時はもっと凄いから」
「えっ?いつも?!」
「北はデ・マーム、南はデ・ティームで、どっちも王都ではないものの、主要都市として名高く、その間にあるのがここだからね。活気があって当然だよ」
「相変わらず詳しいよね。ここも来た事があるの?」
「当然。中央は特によく来る大陸だからね。仲の良い知り合いが集まり易い大陸なんだよ」
その殆どがデ・マームの本部で会えるからね。特部の兄さん達が一同に集まるという日は少ないが、誰かしら必ずいるし、何日デ・マームにいるよと前以て予定を言えば、その日に合わせて来てくれる兄さん達もいる。
さすがにウル兄が仕出かした事は想定外だったから、ウル兄は日付調整してる他の兄さん達にもこっ酷く怒られるだろうなぁ。
特部の兄さん達には物凄く可愛がられてるからね、僕は。
多分その中でも一番怒ってくれるのはラファス兄だけどね。
「先ずは宿屋に行って部屋を確保しなきゃ。宿屋自体は多いけど、評判の宿屋は直ぐ埋まっちゃうからね」
まぁ僕は穴場的な宿屋を多く知ってるから、あちこち探し回る事はないけど、行きたい宿屋が埋まってるとガッカリしちゃうもんね。
お腹も減ってるし、美味しい物をたらふく食べたい。
僕が宿屋を目指して歩いていると、兄さんが僕を呼ぶ。
「ねえねえラファール、見て見て、あれ!風車だよね?!」
「風車だね」
僕が示された場所をチラッと見て返事を返すと、兄さんは不満そうな顔をする。
「ちょっとラファール、テンション低いよ。もっとこう、わぁ~凄い!とかってないの?」
そんな事言われても、僕、ここにも何度か来てるから。何度も見てる風車に、今更初めて見た!的な反応なんて出来ないよ。
「風車なら他の街にもあったよね?」
「いや、だって、大きさとか形とか、全然違うよね?」
「そりゃあ風の強さや用途も違うからね。でも、中央での風車はそれ程珍しい物でもないよ。ヘグルス(※重力)が軽い分、風の魔力が浸透し易いから。だから風使いの多くは中央出身なんだよ」
他の大陸でもいるにはいるけど、中央と比べると断然中央のが多い。中央は風の大陸と呼んでも良いぐらい、風の魔力が漂っているのだ。
ただし中央出身だろうと、風との相性が悪い人も、たまにいたりするんだけどね。
「「へぇ~、そうなんだ」」
セスと兄さんの声がハモる。
「セスは知らなくても納得出来るけど、何で中央出身の兄さんまで今知ったって顔してんだよ」
「えっ、そんな話知らないよ。ラファールが詳し過ぎるだけでしょ」
「風の魔力云々は仕方ないとして、風使いの多くは中央出身ってのは、中央の人間にとって常識の範囲だっての!」
何で僕が中央の人間に、中央の常識を教えなきゃならないんだよ。誰か、このお馬鹿な兄さんを根気良く教えられる教師を紹介して!!
僕がげんなりしてると、同情の籠った視線をアーヤとセスから送られる。
「……もう嫌だ。この兄さん……」
「そっ、そう言わず、頑張れラル!」
他の大陸なら未だしも、出身大陸の常識を知らないお馬鹿をどうしろと……。
僕の呟きに、セスが僕を励ましてくれるけど、この兄さん相手にしてると本当に疲れるんだよ……。切り捨てた方がよっぽど楽なんだけど、そうすれば知らない所で色々やらかしそうだしなぁ……。
キョトンとした顔で僕を見る兄さんが疎ましい。何でこの兄さんはこんなに常識知らずなんだよ!親出て来い、親!!
「とっ、取り敢えず、宿屋に向かおう、宿屋に!」
セスの必死に話を逸らそうとする言葉に、仕方なく頷く僕。
空腹だから、余計にイラつくんだと思う。さっさと行って、美味しい物で気を紛らわせよう。
アルタは大きな市場もあるし、新鮮な食材も携帯食も豊富にあるから、食事が済んでから、色々調達しに行こう。先ずは宿屋で美味しいご飯~!
食事所は宿屋じゃなくてもあるにはある。でも基本、安くて美味しいのは宿屋の食堂が多いからね。
因みに、ラファス兄も僕も、料理は出来る。というか、ラファス兄の手料理は最高の出来だ。そこいらの料理人が敵う腕じゃない。
そんなラファス兄が、そこそこ旨いと評する宿屋だからこそ、かなり美味しい料理が出てくる為、そこへと向かう。中にはラファス兄が、こうすればもっと旨くなるぞと教えた宿屋もあるからね。
アルタの北西には山々が、北東には砂漠が広がり、北に真っ直ぐ進めば騎士団本部があるデ・マームに着く。街の高い所からなら遠目に山々や砂漠を見る事が出来るだろう。
南に進めば中央都市デ・ティームなので、訪れる旅人や商人も多く、とても活気のある街だ。
「うわぁ、スッゴイ賑やかだね~。何かお祭りでもしてるのかな?」
兄さんが瞳をキラキラ輝かせてるが、僕から見れば、ここはいつもと変わらない。
「ここはいつもこんなだよ。祭り時はもっと凄いから」
「えっ?いつも?!」
「北はデ・マーム、南はデ・ティームで、どっちも王都ではないものの、主要都市として名高く、その間にあるのがここだからね。活気があって当然だよ」
「相変わらず詳しいよね。ここも来た事があるの?」
「当然。中央は特によく来る大陸だからね。仲の良い知り合いが集まり易い大陸なんだよ」
その殆どがデ・マームの本部で会えるからね。特部の兄さん達が一同に集まるという日は少ないが、誰かしら必ずいるし、何日デ・マームにいるよと前以て予定を言えば、その日に合わせて来てくれる兄さん達もいる。
さすがにウル兄が仕出かした事は想定外だったから、ウル兄は日付調整してる他の兄さん達にもこっ酷く怒られるだろうなぁ。
特部の兄さん達には物凄く可愛がられてるからね、僕は。
多分その中でも一番怒ってくれるのはラファス兄だけどね。
「先ずは宿屋に行って部屋を確保しなきゃ。宿屋自体は多いけど、評判の宿屋は直ぐ埋まっちゃうからね」
まぁ僕は穴場的な宿屋を多く知ってるから、あちこち探し回る事はないけど、行きたい宿屋が埋まってるとガッカリしちゃうもんね。
お腹も減ってるし、美味しい物をたらふく食べたい。
僕が宿屋を目指して歩いていると、兄さんが僕を呼ぶ。
「ねえねえラファール、見て見て、あれ!風車だよね?!」
「風車だね」
僕が示された場所をチラッと見て返事を返すと、兄さんは不満そうな顔をする。
「ちょっとラファール、テンション低いよ。もっとこう、わぁ~凄い!とかってないの?」
そんな事言われても、僕、ここにも何度か来てるから。何度も見てる風車に、今更初めて見た!的な反応なんて出来ないよ。
「風車なら他の街にもあったよね?」
「いや、だって、大きさとか形とか、全然違うよね?」
「そりゃあ風の強さや用途も違うからね。でも、中央での風車はそれ程珍しい物でもないよ。ヘグルス(※重力)が軽い分、風の魔力が浸透し易いから。だから風使いの多くは中央出身なんだよ」
他の大陸でもいるにはいるけど、中央と比べると断然中央のが多い。中央は風の大陸と呼んでも良いぐらい、風の魔力が漂っているのだ。
ただし中央出身だろうと、風との相性が悪い人も、たまにいたりするんだけどね。
「「へぇ~、そうなんだ」」
セスと兄さんの声がハモる。
「セスは知らなくても納得出来るけど、何で中央出身の兄さんまで今知ったって顔してんだよ」
「えっ、そんな話知らないよ。ラファールが詳し過ぎるだけでしょ」
「風の魔力云々は仕方ないとして、風使いの多くは中央出身ってのは、中央の人間にとって常識の範囲だっての!」
何で僕が中央の人間に、中央の常識を教えなきゃならないんだよ。誰か、このお馬鹿な兄さんを根気良く教えられる教師を紹介して!!
僕がげんなりしてると、同情の籠った視線をアーヤとセスから送られる。
「……もう嫌だ。この兄さん……」
「そっ、そう言わず、頑張れラル!」
他の大陸なら未だしも、出身大陸の常識を知らないお馬鹿をどうしろと……。
僕の呟きに、セスが僕を励ましてくれるけど、この兄さん相手にしてると本当に疲れるんだよ……。切り捨てた方がよっぽど楽なんだけど、そうすれば知らない所で色々やらかしそうだしなぁ……。
キョトンとした顔で僕を見る兄さんが疎ましい。何でこの兄さんはこんなに常識知らずなんだよ!親出て来い、親!!
「とっ、取り敢えず、宿屋に向かおう、宿屋に!」
セスの必死に話を逸らそうとする言葉に、仕方なく頷く僕。
空腹だから、余計にイラつくんだと思う。さっさと行って、美味しい物で気を紛らわせよう。
アルタは大きな市場もあるし、新鮮な食材も携帯食も豊富にあるから、食事が済んでから、色々調達しに行こう。先ずは宿屋で美味しいご飯~!
食事所は宿屋じゃなくてもあるにはある。でも基本、安くて美味しいのは宿屋の食堂が多いからね。
因みに、ラファス兄も僕も、料理は出来る。というか、ラファス兄の手料理は最高の出来だ。そこいらの料理人が敵う腕じゃない。
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