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~デ・フォン領域~
図書棟のスーヴェンさん
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「こんにちはー、スーヴェンさん久しぶり~♪」
図書棟に入って早速スーヴェンさんを見付けて声を掛ける。
一応、私語厳禁、とまではいかないけど、大声は利用者の気が散るから、音量はちゃんと抑えてる。
「ラル。久しぶりですね。元気でしたか?」
「うん。スーヴェンさんも元気そうで良かったよ。これ、この前来た時にスーヴェンさんが話してた本の写し、ちゃんと持って来たよ」
僕は収納ボックスに入れてる写本を取り出し、スーヴェンさんのいるカウンターに置くと、スーヴェンさんは嬉しそうに直ぐに手に取る。
「!有難う御座います。スオウにもない書物だったので、本当に嬉しいです。ラルの家の蔵書は凄いですね」
「僕ん家の家系、収集癖のある人多いから。本はその中でも断トツなんだよ」
彼の英雄王もその一人だし、ラファス兄も僕も、増やしてる内の一人だ。
精霊人は寿命もそこそこ長いから、後々収集に凝る人が多く、本だけじゃなく、武器や装飾、変わった生活用品まで、有りとあらゆる物が新品同様の状態で保存されてたりするんだよね~。
因みに、置く場所には困らない。僕ん家、地下が古代遺跡と繋がってて、遺跡に残る古代魔法が現存で、劣化とは無縁の場所だから。そして、収集されてる多くの物は、古代遺物と呼ばれる古代時代の遺物だから。
まぁ、今では古代遺物って言われてるけど、収集された当時はその時代の物ってだけで、遺跡を荒らし捲ってる訳じゃないからね。勿論遺跡に入ってお宝ゲットする事もあるけど、大概アイテムとかで、本は殆ど見ないし、あっても僕ん家にある本の劣化した状態の物だったりするからね。
原本を持ち出すと本が劣化していくだけだから、基本遺跡から持ち出さないようにしてるけど、写本は持ち出し自由で村の学校の図書室にも置いてるし、こうして仲の良い人にプレゼントする事もある。勿論取引材料として利用する事もあるけどね。
カウンターの中へ来るように手招きされたので、スーヴェンさんの隣へと行く。
「そういえば、スーヴェンさんってここの仕事何年ぐらいしてるの?」
「10年程ですかね?そろそろ職場を変えないと、年数的にも怪しまれそうですね……」
スーヴェンさんは声を後半潜めて僕に話す。
スーヴェンさんの見た目は20代だけど、出会った頃から変わらないし、入った当初から変わらないらしいから、普通に考えたら30代後半から40才ぐらいになる。
僕は周りの利用者が僕達の会話を気にしてないか、一応気配と目線で確認する。
「大丈夫ですよ。ラルがこちら側に来る時に、幻影と防音の魔法を発動させましたから。ただ、あちらの声も聞き取れるように最低限の物ですから、大声だと聞こえてしまいますがね」
なら大丈夫か。
「スーヴェンさんの擬人化って、知ってる人いるの?」
「私から話した事はないですが、ラルファンス殿にはバレているようですね」
ラファス兄は気付いてても、口に出す時は聞かれたか言う必要があるかぐらいで、自ら口に出す事は殆どない。
「ああ、ラファス兄はね。僕も言ってないけど、気付いてると思うよ」
「ラルといい、さすがとしか言えません」
スーヴェンさんが苦笑する。
僕達、スーヴェンさんには言ってないからなぁ。ここは暴露してみよう。
「僕達は特殊な家系だからね。そもそも人間じゃないし」
「……は?」
「精霊人だよ、古代種の」
「……」
「スーヴェンさんの正体知ってるの、特部の人達を除いている?」
「……あ、いえ。ラルファンス殿以外はキクルスレット様だけかと……」
ああ、キスト兄は龍人だからね。バレて当然か。龍人はどんな魔法も見破るからね。
キスト兄もとい、キクルスレット=ハウダー様はラファス兄が特部に引き込んだ龍人で、特部の中では一番の新参者。元々キスト兄は赤の知り合いがいたらしく、ラファス兄を見て懐かしさの余り話し掛け捲ったそうだ。古代語で。
そんな出会いだったから、温厚なキスト兄が人族との架け橋にと、特部に入隊させたんだって。
「ここを辞めた後はどうするの?」
「そうですね、各大陸の図書館も廻り終わりましたし、宛のない旅にでも出ますかね」
「じゃあ、僕ん家の村に来る?って言っても、僕達の村は東だし最北だから寒いし、日数もかなり掛かる場所だけど」
「良いですね。序でにラルの家にお邪魔して、原本を読ませてもらいたいです」
「アル兄も似たような事言ってたよ。アル兄の場合は、時間の都合が取れなさそうだけど。スーヴェンさんなら大歓迎さ♪」
「本当ですか?本気にしますよ?」
僕が嘘や冗談で言ってない事を種族の特性からしても解ってはいるけど、一応の念押しみたいな物かな?スーヴェンさんは人に紛れてた時間も長そうだしね。
「あはは、勿論本気にして良いよ。僕の村はドワーフのおじいちゃんもいるし、エルフが住み着いたって問題ないね。何せ英雄王の末裔である僕達が住んでる村だから」
「?!!」
僕のカミングアウトに、スーヴェンさんが僕を見たまま驚き固まった。
エルフは嘘を見抜く能力を持つ種族だから、僕の言葉が真実だって理解するだろう。
「そうだね、後5年ここで待っててくれる?ライトフォーマーは赤の血族がいた方が確実に入れるし、道中魔物が出ても問題なく進めるから、里帰りの時に連れてくよ」
僕がスーヴェンさんににっこりと笑えば、スーヴェンさんもやっと微笑んでくれた。
「……今から5年後が、楽しみで仕方ないですよ」
図書棟に入って早速スーヴェンさんを見付けて声を掛ける。
一応、私語厳禁、とまではいかないけど、大声は利用者の気が散るから、音量はちゃんと抑えてる。
「ラル。久しぶりですね。元気でしたか?」
「うん。スーヴェンさんも元気そうで良かったよ。これ、この前来た時にスーヴェンさんが話してた本の写し、ちゃんと持って来たよ」
僕は収納ボックスに入れてる写本を取り出し、スーヴェンさんのいるカウンターに置くと、スーヴェンさんは嬉しそうに直ぐに手に取る。
「!有難う御座います。スオウにもない書物だったので、本当に嬉しいです。ラルの家の蔵書は凄いですね」
「僕ん家の家系、収集癖のある人多いから。本はその中でも断トツなんだよ」
彼の英雄王もその一人だし、ラファス兄も僕も、増やしてる内の一人だ。
精霊人は寿命もそこそこ長いから、後々収集に凝る人が多く、本だけじゃなく、武器や装飾、変わった生活用品まで、有りとあらゆる物が新品同様の状態で保存されてたりするんだよね~。
因みに、置く場所には困らない。僕ん家、地下が古代遺跡と繋がってて、遺跡に残る古代魔法が現存で、劣化とは無縁の場所だから。そして、収集されてる多くの物は、古代遺物と呼ばれる古代時代の遺物だから。
まぁ、今では古代遺物って言われてるけど、収集された当時はその時代の物ってだけで、遺跡を荒らし捲ってる訳じゃないからね。勿論遺跡に入ってお宝ゲットする事もあるけど、大概アイテムとかで、本は殆ど見ないし、あっても僕ん家にある本の劣化した状態の物だったりするからね。
原本を持ち出すと本が劣化していくだけだから、基本遺跡から持ち出さないようにしてるけど、写本は持ち出し自由で村の学校の図書室にも置いてるし、こうして仲の良い人にプレゼントする事もある。勿論取引材料として利用する事もあるけどね。
カウンターの中へ来るように手招きされたので、スーヴェンさんの隣へと行く。
「そういえば、スーヴェンさんってここの仕事何年ぐらいしてるの?」
「10年程ですかね?そろそろ職場を変えないと、年数的にも怪しまれそうですね……」
スーヴェンさんは声を後半潜めて僕に話す。
スーヴェンさんの見た目は20代だけど、出会った頃から変わらないし、入った当初から変わらないらしいから、普通に考えたら30代後半から40才ぐらいになる。
僕は周りの利用者が僕達の会話を気にしてないか、一応気配と目線で確認する。
「大丈夫ですよ。ラルがこちら側に来る時に、幻影と防音の魔法を発動させましたから。ただ、あちらの声も聞き取れるように最低限の物ですから、大声だと聞こえてしまいますがね」
なら大丈夫か。
「スーヴェンさんの擬人化って、知ってる人いるの?」
「私から話した事はないですが、ラルファンス殿にはバレているようですね」
ラファス兄は気付いてても、口に出す時は聞かれたか言う必要があるかぐらいで、自ら口に出す事は殆どない。
「ああ、ラファス兄はね。僕も言ってないけど、気付いてると思うよ」
「ラルといい、さすがとしか言えません」
スーヴェンさんが苦笑する。
僕達、スーヴェンさんには言ってないからなぁ。ここは暴露してみよう。
「僕達は特殊な家系だからね。そもそも人間じゃないし」
「……は?」
「精霊人だよ、古代種の」
「……」
「スーヴェンさんの正体知ってるの、特部の人達を除いている?」
「……あ、いえ。ラルファンス殿以外はキクルスレット様だけかと……」
ああ、キスト兄は龍人だからね。バレて当然か。龍人はどんな魔法も見破るからね。
キスト兄もとい、キクルスレット=ハウダー様はラファス兄が特部に引き込んだ龍人で、特部の中では一番の新参者。元々キスト兄は赤の知り合いがいたらしく、ラファス兄を見て懐かしさの余り話し掛け捲ったそうだ。古代語で。
そんな出会いだったから、温厚なキスト兄が人族との架け橋にと、特部に入隊させたんだって。
「ここを辞めた後はどうするの?」
「そうですね、各大陸の図書館も廻り終わりましたし、宛のない旅にでも出ますかね」
「じゃあ、僕ん家の村に来る?って言っても、僕達の村は東だし最北だから寒いし、日数もかなり掛かる場所だけど」
「良いですね。序でにラルの家にお邪魔して、原本を読ませてもらいたいです」
「アル兄も似たような事言ってたよ。アル兄の場合は、時間の都合が取れなさそうだけど。スーヴェンさんなら大歓迎さ♪」
「本当ですか?本気にしますよ?」
僕が嘘や冗談で言ってない事を種族の特性からしても解ってはいるけど、一応の念押しみたいな物かな?スーヴェンさんは人に紛れてた時間も長そうだしね。
「あはは、勿論本気にして良いよ。僕の村はドワーフのおじいちゃんもいるし、エルフが住み着いたって問題ないね。何せ英雄王の末裔である僕達が住んでる村だから」
「?!!」
僕のカミングアウトに、スーヴェンさんが僕を見たまま驚き固まった。
エルフは嘘を見抜く能力を持つ種族だから、僕の言葉が真実だって理解するだろう。
「そうだね、後5年ここで待っててくれる?ライトフォーマーは赤の血族がいた方が確実に入れるし、道中魔物が出ても問題なく進めるから、里帰りの時に連れてくよ」
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「……今から5年後が、楽しみで仕方ないですよ」
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