奇跡の確率

カザハナ

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99 (クリス視点 1)

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 ルーフェンスに連れられて、金の訓練場に入った私は、広大な広さと様々な地形を模した場所に驚く。

 武術大会で、コーディーと一緒にいた金が何人かいるのだろう。二人一組で訓練をしているようだ。入口近くにいた一組は、今から始める所だったのだろうか。二人の立ち位置が、かなり間を開けて離れている。

 こちらに背を向けている灰色の髪をした男が、こちらの気配を感じたのだろう。振り向き声を上げたので、ルーフェンスが対応していた。


「ああ、彼が。初めまして、アラゴン=アラゴナイです。ルーに目を付けられて御愁傷様です?」

「……」


 ……いや、何と答えろと?


「あー……ごめんねクリス。アランはいつもこんな感じだから」


 ああ、天然と言う事か。


「ア~ラ~ン~?君は今、僕に目を付けられる発言をしているんだけれども、自覚はあるのかな?」

「あー……。まぁ、ボクは通常運転だし?」


 離れていたもう一人が近付いて来ていた。


「そうだよ。気にすると色々疲れるからね。やあ、僕はアンバー。宜しく。大会に出た金は、ジルを除いて全員いるよ」


 アンバーと名乗った金髪の男にコーディーが言葉を返す。


「強制ではないけど……サボったね?」

「サボりだね」


 二人して頷き合い、コーディーが喋っている横手の奥から声が掛かり、新たな金がこちらに来ていた。

 アンバーと少し話し、私に名乗った男はかなり確〈しっか〉りとした身体をしていた。


「俺はジェイ、ジェイド=ジェダイドだ。こんな所だがゆっくりしていけ。ルー、コーディー、どちらからでもいい。手合わせ頼む」

「好奇心旺盛なエルが直ぐに来ない所を見ると、いままでジェイの相手をしてたのかな?」

「ああ、そうだ」


 ルーフェンスの問いに、ジェイと名乗った黄色の髪をした男が頷く。


「それじゃあ僕から相手をするよ。クリス君、皆話し掛けてくるだろうけれども、答えたくない質問や答え難い事は言わなくてもいいからね。他の金の対応はコーディーに任せてもいいから」


 私はルーフェンスの言葉に了承する。


「……分かった」


 アンバーとコーディーが、私の翼に対して話し合っていたが、突如アンバーが私に謝罪してきた。


「一部の配達人が君に向かって失礼な事言ったらしいね。しかも未だに謝罪すらしてないんだって?躾がなってなくて申し訳ない。同じ配達人として恥ずかしいよ。あいつには、なるべくコーディーに近付けないようにするから、それでいいかな?」


 アンバーや他の金が謝る事では無いと思うが、あの男には、私よりも先ず、コーディーを魔物扱いした事や、子供や男だとか言った事を謝らせたい。が、謝ったからと、コーディーに近寄られるのは耐え難い。だから、私はこう言うしか無いのだ。


「……ああ。本当ならコーディーにも謝らせたい所だが、コーディーに近付かれる事自体不愉快だからな」
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