奇跡の確率

カザハナ

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102 (クリス視点  4)

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 情報収集する為にこの仕事を選び、金になったと言うエルに、私は危機感を抱くが、アンバー曰く、集めるだけで、悪用はしないとの事。ルーフェンスの方が上手らしい。

 ルーフェンス達にも声を掛け、演武と言う名の組み手を見せて貰う。

 それは、武器を持たないコーディーが、危なげ無く攻撃を避け反撃し、時に自ら攻撃を仕掛け、入れ替わり時には二人を相手に平然と組み合っていた。

 コーディーは背が低い為、当然リーチも短くなる上武器も持たないなんて、普通であれば不利になると言うのに。

 そんなコーディーがルーフェンスと組み合った途端に、技の速さも回避も格段に跳ね上がる。

 ルーフェンスと組み合う前に、六人を相手にしていたにも関わらず、だ。しかも、息はそれ程乱れていない。





「凄く見物〈みもの〉な手合わせだった。……コーディーとルーフェンスが別格だと言うのがよく分かる」


 組み手を終えた金に、私が感想を言う。

 因みに、六人は座り込んでいるが、コーディーとルーフェンスは普通に立っていて、ルーフェンスに至っては、汗を掻いてすらいなさそうだ。


「これでも僕達、コーディーを倒すつもりで組み合ってるんだけどね。コーディーは相手の力を利用する技が多いんだよ」

「持ち時間が五分だけだから、その五分に全力で組み合うんだけど、コーディーは流し技も多いし変則的だし、そのくせ攻撃も重いから二、三人を相手にしてる感覚だよ」


 アンバーに続き、ラズが答える。


「だからこそ、訓練の相手として申し分ない。ノゼ、相手になってくれるか?」


 ジェイが立ち上がり、茶髪のノゼに声を掛けると、ノゼも立ち上がり、頷く。と、その時、アンバーが私に声を掛けた。


「えっと、クリスって呼んでもいい?」


 アンバーの言葉に私が頷き、去られる前にと自己紹介をする。


「ああ、構わない。済まない、紹介が遅れた。私はクリス=アズラル。クリスでいい。今後コーディーの傍にいる事が多いが、宜しく頼む」


 私の言葉に、ジェイとノゼも応じてくれる。


「集まるのを待ってただけだろう?謝る必要はないさ」

「こっちこそ、宜しく」


 ノゼが喋ったその時、エルがノゼを囃し立てた。


「ノゼが喋った!珍しい~♪もっと喋れ~!」

「エル……そんなこと言ってると近くにいるアンバーに……」


 コーディーが忠告しようとするが、その前に、エルの頭に拳骨が降る。


「いっったぁあああ~!!」


 頭を抱えるエルにアンバーが冷たく言い放つ。


「自業自得。寡黙なノゼをからかうな。ノゼは喋りたい時だけ喋れば良いんだから。ごめんねクリス、煩〈うるさ〉くて。ノゼは元々寡黙だからあんまり喋らないけど、表情を見ても分かるように、君の事を歓迎してるよ」

「概〈おおむ〉ねいつもこんな感じだから、気にしないでね?」


 コーディーが、呆れたような視線をエルに向け、私に話し掛けていた。
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