奇跡の確率

カザハナ

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「妾の住み処が近くに有る。そこで暫し休むが良い。何日だろうと滞在しても構わぬぞ。好きなだけ居ると良い」


 姉様の住みかも僕の父様と同じく洞窟らしいけど、地霊族の力と幻術で、人の住み処に見えるらしい。

 ただし、そこに行けるのは姉様が許可を出した者だけだそうだ。

 姉様に許可を貰ってない人が行けば、同じ所をグルグル回って、洞窟に辿り着く事すら出来ないんだって。

 元々姉様を訪ねるのは地霊族ぐらいだし、人が姉様の領域に住む事は許可してないそうで、この大樹の下へは来れる道を示すが、その洞窟には近付けないようにしてるから、人が来る心配は無い。

 これに関しては、どこの地霊族も同じようなものだけど、そんな地霊族達と交流出来る唯一の例外と呼べるのが、特級である金の腕輪の持ち主だ。

 この腕輪にはケイド様の一部が埋め込まれてるから、地霊族からは友好的で、地霊族だと気付かせないまま接触してくる事も有る程だ。

 まあ、僕やルー兄は、片や地霊族の養女、片や地霊族だから、例外中の例外だけどね。


「来年の武術大会開催の一月前にヴェネックに戻れれば良いから、一週間程は滞在出来ると思いますよ」

「僕、海が見たい!まだ一度も見た事が無いんだけど、僕のお父さんは、医者になる前は船乗りだったらしいんだ。子供の頃に聞いた事があったから、一度は絶対見てみたかったんだ~♪」


 お母さんも海を見たことがあるって言ってたし、海には水の精霊族がいて、お父さんと親しかったらしいから、その水霊族に会えたら良いなぁ。

 と言っても、海には複数の水霊族がいるらしく、どこからどこまでがその水霊族の領域なのかは分からないし、僕はその水霊族の名前も知らない。

 まあ、会えたらお父さんの昔話が聞けると嬉しいなとは思ってるけど、こればっかりは相手の水霊族次第だからね。


「あと、大きな船も見てみたい!僕が見たことあるのって、川を渡る時に利用する手漕ぎの舟とか、風を利用して進む小さな舟で、お父さんが言ってたような大きな船はまだ一度も見たことが無いんだよ」

「ああ、それならばこの先に港が有る故、帆船〈はんせん〉も見れよう。外洋を航海する船じゃから大きい部類になろう」


 姉様の言葉に僕の鼓動は高鳴り、お父さんが昔話してくれていた大きな帆船が見れるとワクワクした。

 まさかお父さんを知る、お父さんの元お仲間の人達にジロジロと見られ、後日、配達人の僕宛てに手紙が届けられるだなんて思わずに。
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