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朝早くに猫の怪我の具合を見てから仕事に行く用意をする。
「これから僕は仕事に行くけど、留守番よろしくね?昼にも様子見に顔を出すけど、傷口が開かないようにできるだけおとなしくしてるんだよ?」
昨日会った時とは別の猫かと思える程おとなしくなった猫へと声を掛ける。僕が敵じゃないって分かってくれたのかな?だったらすっごく嬉しいな♪
「行ってきます」
この言葉を家で言えるのは何年振りだろう。久しぶりすぎて、すっごく嬉しい!
昼に一度帰って……暫く遠出は止めて、ヴェネック内か日帰りできる距離の近い場所にしなくっちゃ。なるべく定時で帰れるようにしよう……ってあれ?!
家を出てすぐ、少し離れた場所で、遠くからでも分かるキラキラ輝くちょっとくせのある金髪ショートの背の高い人が、壁に寄り掛かるように立っていた。
あの姿は!
「ルー兄!!」
「コーディー!おはよう」
僕の姿を碧眼で捉えると、整った顔立ちですぐにいつものキラキラしい笑顔で挨拶をくれる。
「えへへ。おはようですです♥久し〈とおか〉ぶり~!予定より随分早いねぇ!わざわざ僕を迎えに来てくれたの?」
「当たり前でしょ?君〈コーディー〉は、僕にとっても大切な宝物なんだから!」
笑顔で僕を見下ろし、即答で答えてくれる。
そんな彼、ルー兄ことルーフェンス=クオーツは僕の叔父に当たる。と言っても血の繋がりはないが。それでも僕にとっては大事な家族だし、ルー兄達も僕をとっても可愛がってくれる。それはもう溺愛と呼べる程に……というか、自他共に認める溺愛と過保護っぷりだからね。
「同じ街にいる時ぐらいは少しでも長く大好きなコーディーと一緒にいたいからね!」
いつもにこにこ優しいルー兄。
「えへへ。嬉しい!僕もだよ♥」
「行こうか。ケイド様も待ってるよ」
ケイド様ことケイドファン様はここの配達業の設立者にしてこの街の守護者である地霊族だ。ちなみにケイドファンとは仮名で本名ではないのだが、仮名ですら略式や愛称で呼ぶことを許される者は極僅か。ここでは僕とルー兄の二人だけだったりする。
「うん。じゃあ行こう!」
ほのぼのと、ルー兄が出す手に僕も重ねる。
猫に引っ掻かれた方の手ではある。が、ルー兄は強く握るようなことはしない。むしろ、その手の温かさで僕の手を癒すかのようだ。
「そういえばコーディー、何か変わったものを連れ帰ったって?」
もちろん誰にも言ってないし、誰の目にもあの猫の姿は見せてない……が。
「うん。さすがルー兄!情報早いなぁ。綺麗な瑠璃色をした猫なんだ」
元々ルー兄には隠す気もないし、ルー兄が普通では知り得ない情報を知っているのはいつものことだ。
「まったくもって酷いんだよ?!瑠璃色ってだけで魔物扱いなんだから!」
ルー兄がフッと笑みを深めるが、目が今までとは違い、若干ギラギラしてくる。あ、ヤバい。これはもしかしなくとも……。
「だからって、コーディーに怪我を負わすのはどうかと思うけど?」
うーわぁー怒ってる……。笑顔だけど怒ってる!
「うん……まあ……そだね……」
ここは今すぐあの猫のフォローをしなきゃ!
「でもでも、その……今まで人に助けられたことがなかったのなら仕方ないよ。それに、殺されかけてたもん、きっと必死だったんだよ。怪我だってとっても酷かったんだから」
ルー兄が溜め息を吐く。
「コーディーは優しいね」
それは……相手にも寄るけどね。
「優しいのはルー兄もだよ。会ったことのない僕を迎えに来てくれただけじゃなく、身元引き受け人になって面倒見てくれてるんだもん」
「それは、アス様に頼まれたからだよ」
アス様ことアストロール=ライトは僕の名付け親であり養父。ルー兄はその養父の親族なのだ。
「でも、父様が頼んだのはヴェネック〈ここ〉に連れてくることだけだよね?」
そもそも父様は、村で住みにくくなった僕に、ヴェネックに住む同族に会いに行きなさいと言った。ルー兄は断ることも無関心を装うこともできた筈。
「僕、ルー兄がわざわざ迎えに来てくれて、僕をちゃんと見付けてくれて、すっごくすっごく嬉しかったから、ルー兄のしてることに興味を持っちゃったんだよね」
僕はそれまで配達人なんて、見たことも聞いたこともなかったから、ルー兄に色々質問攻めしたりして教えてもらい、採用試験を受けたんだ。まあ、思ってた以上にあっさりと入れたから驚いたけどね。
「これから僕は仕事に行くけど、留守番よろしくね?昼にも様子見に顔を出すけど、傷口が開かないようにできるだけおとなしくしてるんだよ?」
昨日会った時とは別の猫かと思える程おとなしくなった猫へと声を掛ける。僕が敵じゃないって分かってくれたのかな?だったらすっごく嬉しいな♪
「行ってきます」
この言葉を家で言えるのは何年振りだろう。久しぶりすぎて、すっごく嬉しい!
昼に一度帰って……暫く遠出は止めて、ヴェネック内か日帰りできる距離の近い場所にしなくっちゃ。なるべく定時で帰れるようにしよう……ってあれ?!
家を出てすぐ、少し離れた場所で、遠くからでも分かるキラキラ輝くちょっとくせのある金髪ショートの背の高い人が、壁に寄り掛かるように立っていた。
あの姿は!
「ルー兄!!」
「コーディー!おはよう」
僕の姿を碧眼で捉えると、整った顔立ちですぐにいつものキラキラしい笑顔で挨拶をくれる。
「えへへ。おはようですです♥久し〈とおか〉ぶり~!予定より随分早いねぇ!わざわざ僕を迎えに来てくれたの?」
「当たり前でしょ?君〈コーディー〉は、僕にとっても大切な宝物なんだから!」
笑顔で僕を見下ろし、即答で答えてくれる。
そんな彼、ルー兄ことルーフェンス=クオーツは僕の叔父に当たる。と言っても血の繋がりはないが。それでも僕にとっては大事な家族だし、ルー兄達も僕をとっても可愛がってくれる。それはもう溺愛と呼べる程に……というか、自他共に認める溺愛と過保護っぷりだからね。
「同じ街にいる時ぐらいは少しでも長く大好きなコーディーと一緒にいたいからね!」
いつもにこにこ優しいルー兄。
「えへへ。嬉しい!僕もだよ♥」
「行こうか。ケイド様も待ってるよ」
ケイド様ことケイドファン様はここの配達業の設立者にしてこの街の守護者である地霊族だ。ちなみにケイドファンとは仮名で本名ではないのだが、仮名ですら略式や愛称で呼ぶことを許される者は極僅か。ここでは僕とルー兄の二人だけだったりする。
「うん。じゃあ行こう!」
ほのぼのと、ルー兄が出す手に僕も重ねる。
猫に引っ掻かれた方の手ではある。が、ルー兄は強く握るようなことはしない。むしろ、その手の温かさで僕の手を癒すかのようだ。
「そういえばコーディー、何か変わったものを連れ帰ったって?」
もちろん誰にも言ってないし、誰の目にもあの猫の姿は見せてない……が。
「うん。さすがルー兄!情報早いなぁ。綺麗な瑠璃色をした猫なんだ」
元々ルー兄には隠す気もないし、ルー兄が普通では知り得ない情報を知っているのはいつものことだ。
「まったくもって酷いんだよ?!瑠璃色ってだけで魔物扱いなんだから!」
ルー兄がフッと笑みを深めるが、目が今までとは違い、若干ギラギラしてくる。あ、ヤバい。これはもしかしなくとも……。
「だからって、コーディーに怪我を負わすのはどうかと思うけど?」
うーわぁー怒ってる……。笑顔だけど怒ってる!
「うん……まあ……そだね……」
ここは今すぐあの猫のフォローをしなきゃ!
「でもでも、その……今まで人に助けられたことがなかったのなら仕方ないよ。それに、殺されかけてたもん、きっと必死だったんだよ。怪我だってとっても酷かったんだから」
ルー兄が溜め息を吐く。
「コーディーは優しいね」
それは……相手にも寄るけどね。
「優しいのはルー兄もだよ。会ったことのない僕を迎えに来てくれただけじゃなく、身元引き受け人になって面倒見てくれてるんだもん」
「それは、アス様に頼まれたからだよ」
アス様ことアストロール=ライトは僕の名付け親であり養父。ルー兄はその養父の親族なのだ。
「でも、父様が頼んだのはヴェネック〈ここ〉に連れてくることだけだよね?」
そもそも父様は、村で住みにくくなった僕に、ヴェネックに住む同族に会いに行きなさいと言った。ルー兄は断ることも無関心を装うこともできた筈。
「僕、ルー兄がわざわざ迎えに来てくれて、僕をちゃんと見付けてくれて、すっごくすっごく嬉しかったから、ルー兄のしてることに興味を持っちゃったんだよね」
僕はそれまで配達人なんて、見たことも聞いたこともなかったから、ルー兄に色々質問攻めしたりして教えてもらい、採用試験を受けたんだ。まあ、思ってた以上にあっさりと入れたから驚いたけどね。
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