奇跡の確率

カザハナ

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「言っとくけど、アス兄さんが迎えに来たってそう簡単には帰せないからね」


 にこにこと笑顔で言い切るルー兄。


「そういえば、“父様の親族”と言っていたな。ということは、養父の親族で血の繋がりは全くないということか……」


 クリスが複雑そうな顔をしながらボソッと呟く。

 血の繋がりどころか種族そのものが違うからねぇ。ルー兄もケイド様も、話す気がないみたいだから今は言えないけど、いつか言えたらいいなぁ。

 それにしても、クリスって心配性なのかな?僕もルー兄も恋愛感情はなく家族愛だって言ってるのに。まあ、クリスのことは、これから色々と知っていくことができるだろうし、ルー兄達が地霊族だと知ればその心配も減るだろう。


「父様は無理に連れ帰ろうなんてしないから大丈夫だよ。それより、ルー兄ありがとう」

「?……何が?」


 笑顔でお礼を言う僕にキョトンとするルー兄。


「だって、ルー兄が来てくれなかったら、あの場は収まりそうになかったしね。そもそも僕は当事者だからカーネルの処分は決められないし、ケイド様を説得するのも無理だし。ここに僕達二人を連れてきたのだって、配達や他の仕事に支障を来さないためにでしょ?だから、ありがとう」

「いや、あの、それは当然のことだよね?」


 ルー兄は当然と言うけど、普通は巻き込まれたくないから関わろうとしないよ。ケイド様が怒ってるなら尚更だ。同じ同族の精霊族同士でも、基本はお互い干渉しないがルールだから、本来同じ地霊族同士が長年一緒の領域に暮らすというのは殆ど例がないそうだ。数日間ということはあっても数年というのは稀だったりする。それからするとルー兄は例外中の例外、つまり地霊族の中でも珍しい、変わった地霊族と言えよう。


「そんなルー兄だから僕は大好きなんだよ」


 笑顔でルー兄に言い切りクリスを見上げると、クリスはさっきよりも不機嫌そうだ。けど僕は、構わずクリスにもお礼を言う。


「クリスもありがとう。後、もちろんケイド様にもありがとう。二人共、僕が侮辱されたから汚名を晴らすためにわざわざ人型をとってくれたんでしょう?騒ぎになるのを覚悟の上で、僕を庇ってくれてありがとう」


 僕がにっこり笑顔を見せると、クリスはなぜかそっぽを向く。


「――は、ないのか?」


 ……んん~?!


「ごめん!よく聞き取れなかった、もう一回!」

「だから……好意の言葉、私にはないのかと聞いているんだ」
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