奇跡の確率

カザハナ

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30 (クリス視点 3)

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「ああ、翼人の“加護”ね……。僕は、欲しいとは思わないな。というか、いらない。ケイド様を含め、地霊族の方々にはお世話になっているし、地霊族の加護だけで充分なんだよね」


 普通の人間は、どれ程多くの加護を受けようと、充分だとは思わない。他の加護を手に入れるチャンスがあれば、どんなことでもやりかねない。それが普通の反応だ。


「あっ、僕も!僕もクリスの加護はいらない。というか、必要ないよ」


 ……ここにもいたな。普通じゃない人間が。だが、それは困る。非常に困る!


「だって僕、クリスの加護が欲しくて恋人にしてもらったんじゃないし、僕もケイド様含めて仲の良い地霊族から充分過ぎる程の加護をもらってるから必要ないよ」


 翼有人の加護とは一種の契約だ。契約した相手と繋がりを持ち、遠く離れた場所だろうとその存在や現在地、状況を知ろうとすれば手に取るように分かり、危機的状況であれば風の魔力を使って守ることも出来る。そして、家族や友人とは違い、片翼という言い方をする恋人や伴侶には、翼有人が見れば一目でそうだと分かる魔力印が付く。故に契約を交わさなければ、何の繋がりも持っていない赤の他人と同等だということだ。

 それだけは何としても避けたい!避けなければ!!


「私達の加護は精霊族のものとは違う。加護という言い方をするが、実際は風の魔力で印を付けることだ。人間や多種族に対しては一方的なため加護というが、翼有人同士だと家族や友人、恋人といった親しい者の居場所等を把握するためのもの。いわば契約の一種で恋人や伴侶には必ず付ける契約の印、所有印だ。だから、コーディーには私の恋人であるという私の印を付けさせてほしい。コーディーに必要はなくとも私には必要なんだ」


 コーディーの手を取り懇願する。


「うっ、や、あのっ」


 言葉を詰まらせ視線を忙しなく彷徨〈さまよ〉わせるコーディーをじっと見詰めていると、その顔が徐々に赤く染まってゆく。


「分かった、分かったけど、ルー兄笑い過ぎ!」


 顔を赤く染めたまま、コーディーがルーフェンスを軽く睨む。その視線の先にはルーフェンスが口を手で隠し、肩を震わせ笑いを抑えていた。


「ごめんごめん。だって、コーディーがあまりにも可愛いから。悪いけどクリス君、もう少しだけコーディーと距離を取ってあげてくれるかな?僕相手だと平気でも、君が相手じゃ違うみたいだから」

「だって、そんなの当然だよ!ルー兄は家族であって異性じゃないんだから」


 これ程顔の整った相手を異性じゃないと言い切れるコーディーは凄いと思う。と、同時にコーディーが自分に対し、異性として意識していることに喜びが込み上げる。

 思わず抱き締めてしまう程に。
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