奇跡の確率

カザハナ

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29 (クリス視点 2)

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「ルー兄自体は僕の養父〈ちち〉の年の離れた弟に当たる人だから、世間的には叔父になるんだけど、父様の親族は独身の人が多いから、殆どの人を兄様姉様って呼んでるんだ」


 コーディーの説明にルーフェンスが追加説明を加える。


「因みに、僕達に血の繋がりがないと知っているのは、ここではケイド様だけだよ。クリス君には言ったけど、出来れば口外はしないでほしいな。変な勘繰りされて一番困るのはコーディーだから」


 疚〈やま〉しい事がなくても下世話な噂を流す者はどこにでもいるし、その噂を真実と履き違える者だっているだろう。そんな無責任な者達相手にコーディーが被害に遭うのは許せない。


「承知した。口外はしないしルーフェンスの指示にも極力従おう。私はコーディーに嫌な思いをさせたくはないからな」


 私の発言にルーフェンスは笑みを浮かべる。


「うん、有難う。僕はこれまで通り過保護でいくけれど、めげずに頑張ってね」


 ……これは、認められていないということか?

 思わず顔をしかめると、それに気付いたルーフェンスが言葉を補足する。


「取り敢えずは及第点ってところかな?僕を含め、僕の親族はコーディーをとても大事にしているんだ。僕達以上にコーディーを大事にする男じゃないとコーディーを任せられないからね。だから今は様子見ってところかな?一応付き合うことは認めるけれど、僕達にとっての宝に手を出すんだからそれなりの覚悟と努力はしてもらうよ」


 ――この男は侮〈あなど〉れない――

 本能的に言い知れぬ何かを感じる。胡散臭いと言うべきか、底が知れない。

 何より、ルーフェンスと名乗るこの男は一般的な人間とは掛け離れていた。

 この世界の“人間”と呼ばれる種族は他の種族と違い、四大属性と呼ばれる火水風地の属性もしくは属性魔力を持たない。他の種族は四大属性のどれかに属し、その属性の魔力や性質、加護等を継いでいるのだが、人間に限り、それがない。しかし、そのためかどうかは分からないが、他の種族と違い人間はどの属性とも相性が良い。他の種族は自身の対極に当たる属性の加護を得ることはなく、その対極属性の魔力等を使うことは困難であるが、人間は属性魔力を使うことはできなくとも、四大属性全ての加護を得ることができる唯一の種族だ。

 一説には、人間の身体は四大属性の元素が取り込まれているため、と聞いたこともあるが定かではない。


「ルーフェンスは、私の加護が欲しいと言わないんだな」


 一般の人間は大地と共に生きているため、各地に住む地霊族が人間や動植物に大地を通じて加護を与えている。だが、殆どの人間はそれを当然の権利と思い、あわよくば一つではなく複数、出来れば多種の属性加護をと欲を掻く。

 そもそも、翼有人の加護は加護ではないのだが、それを知ったところで欲しがらない人間はいない。欲しいと言わない人間の方が普通じゃないのだ。
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