奇跡の確率

カザハナ

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28 (クリス視点 1)

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 ――これ程他人を羨ましいと思ったことはない――

 コーディーの顔がとても嬉しそうに緩む。


「僕だって嬉しかったよ。初対面のルー兄からお父さんの話が聞けるなんて、思ってなかったもん」


 二人が出会ってどれ程の月日が流れているのかは知らないが、この男〈ルーフェンス〉は何を言えばコーディーが喜ぶのかをちゃんと把握しているようだ。ただ、二人の間に恋愛感情は生まれていないということが唯一の救いだ。

「それはそうと、クリス君はいつまでここにいるつもり?ヴェネック〈ここ〉に住むのは構わないけれど、直ぐって訳にはいかないよね?天空には家族や友人だっているだろうし、地上に来たのだって地上で暮らす同族を訪ねに来ただけでしょ?それなら今頃、皆が君を心配しているんじゃない?」


 確かにその通りだったが、折角コーディーが恋人として付き合うと言ってくれたのに、直ぐに天空へと帰ることなんてできる訳がない。


「暫くは大丈夫だ。死んだと誤解されてはいないし、翼有人の殆どは風と同じく自由気ままな性質だ。寿命も長いため、半年程家を空けても問題はない。翼有人の主な仕事は風の声を聞き、時に語らうことだから、風の通る場所ならどこでも構わない。心配している者には風に声を乗せて届けてもらう。 だから、一度帰るにしても、もう暫くはコーディーの側にいる」


 きっぱりと言い放ちルーフェンスを見据えると、ルーフェンスはあっさり頷く。


「うん、了解。ただし、暫くは僕も仕事でコーディーとペアを組んだ上で、コーディーの家でも共に過ごすね。いままでは君が大怪我をしていたのと、人の姿をしていなかったから、同居を許していたけれど、本来身内でもない男が未婚の、しかも一人暮らしの女の家に何日も泊まるってこと自体普通じゃないから。いくら翼人だからといったってこの場合コーディーの品位が問われるし、他の男達もそんな女なら無理矢理でも大丈夫だとか思いかねないからね。ここでそんなことしたら間違いなくケイド様の怒りを買うけど、この街〈ヴェネック〉以外ならバレない、もしくは大丈夫だと思い込まれても困るし、コーディーがそんな女だと思われること自体不快だから、身内であり身元引き受け人である僕が一緒にいることで常識内、当然の処置になる筈だよ。まぁ、特に僕のコーディーに対する溺愛っぷりと過保護っぷりを知っている人達からすれば、クリス君に同情しちゃうかも知れないけどね」


 あははと軽く笑っているが、その内容は笑えない。
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