奇跡の確率

カザハナ

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 周りに村の住民が、遠巻きながらに集まって来る。

 ルー兄と目を合わせ、他の村同様ルー兄が声を上げる。


「今後、この瑠璃色の猫が魔物扱いされないように来たんだよ。ここに、ヴェネックの生き神である地霊族、ケイドファン様直筆の一筆書きがある。疑うなら、手に取って見てみればいい。ただし、破ろうとしても無駄だし下手をすると地霊族を敵に回し兼ねない。そこのところをよく考えてほしい」


 ルー兄がケイド様の一筆書きをよく見えるように掲〈かか〉げる。

 それまで遠巻きに集まってた人達がその一筆書きをよく見ようと近寄り、そこに書いてあるクリスについてのことに驚きを隠せない。


「そもそも、魔物なんて瞳を見れば分かるよ。濁〈にご〉り澱〈よど〉んでいるからね。取り付く魔物も同様だし。それどころか、魔物でもない生き物を無闇に殺すと、それこそ魔物になるってちゃんと知っておいた方が無難だよ?魔物は怨み辛みの負の感情から生まれるとも言われるぐらいだからね」

「あんたはなんでそんなこと知って――」

「勿論ケイドファン様から聞いているからだよ。人間は時に魔物を生み出す。そうと気付かぬままなって。だからこそ、この瑠璃色の猫を保護下に置いたんだよ。人間に殺されて魔物にならないようにって」


 ルー兄の言葉に村人達は青ざめる。

 当然だよね。魔物じゃない生き物を魔物に変えてしまうとこだったんだから。


「因みに、そうやって生まれた魔物は殺した人間を強く怨み、その負の強さから相当強い魔物が生まれるんだって。良かったね、殺さなくて。もし殺していたら、この辺一帯は血の海になっていたかも知れないよ?」


 笑顔で言ってる分余計に怖いよルー兄……。まあ、良い教訓にはなるだろうけどね。これでクリス以外の魔物じゃない生き物も救われるといいなぁ。


「さて、僕達はそろそろ行かなきゃ。まだまだ仕事があるからね。ああ、出来ればこの話、知らない人にも知らせておいてほしいな。僕達も充分触れ回るつもりだけれど、万が一ってこともあるからね。魔物と間違えて魔物を生み出すなんて、勘弁してほしいよ。僕達配達人は、時として魔物と闘わなきゃならないんだから。
 君も充分気を付けてね?何が取り返しの付かないことになるのか分からないんだから」


 ルー兄が最後に、僕を小僧呼ばわりした男に向けて言い放つ。

 うん。明らかな脅しだ。自業自得だけどね。まあ、お仕置きされなかった分良かったね。その分精神的な負荷が掛かっただろうけど。
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