奇跡の確率

カザハナ

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 僕が父様の元を離れることになった切っ掛けは、魔物に唆〈そそのか〉された人間が、僕を拐〈さら〉って生け贄にしようとした事が原因だ。

 父様は魔物から僕を守り退けたけど、桁外れな力を持つ魔物なため、力の消耗が激しく、自ら深い眠りへと落ち、回復に勤しんでる。

 両親の死の原因である人間、僕が殺されると分かっていながら僕を拐い、魔物に食べさせようとした人間。どちらも同じ人間で、身勝手な理由だ。

 でも、僕が人間嫌いになって欲しくはなかったのだろう。何故なら僕も人間で、僕の大好きな両親だって人間なのだから。

 人間の残酷さを知る僕だけど、両親の強さも優しさも知る僕だ。だからこそ、人間と距離を置くより、側にいて両親の強さや優しさを無くさずにいてほしいと父様は思ったのだろう。


「うん。僕はあのお母さんとお父さんの子だもん。理不尽だからって他の人まで恨み続けるなんて僕には無理だよ。人と暮らす地霊族だっているんだからね」


 そう、例えば僕の目の前に。

 僕の言いたいことの意図が通じたのだろう。ルー兄が笑ってくれる。


「あはは、そうだね。コーディーはそういう子だね」


 懐かしそうに微笑むルー兄はきっとお父さんのことを思い出しているんだろう。

 そんなルー兄が不意に僕から視線を外し、前を見る。


「ああ、コーディー、長が来たよ」


 ルー兄がジジ様のいる方向を指してくれるので、僕はそっちを見てジジ様を探す。と、陽〈ひ〉に照らされて、綺麗な白銀の長い髪がキラキラ光るのが見えた。

 ジジ様だぁ~~~!!!


「ジ~ジ様~~!ここだよ~ここ、ここ~~!!」


 僕が大声を上げながら両手を大きく振ってジジ様に居場所を知らせる。すると、ジジ様が片手を挙げて僕に応えてくれる。


「クリス、分かる?綺麗な白銀の長い髪をしている人、あの人がジジ様だよ♪」

「……若いな」


 あー……うん。見た目は三十代前後だけど、実際は十二~十三億ぐらいらしいからねぇ?だからこそ、地霊族でも長老って言われてるし、クリスが心配することなんて本当にないんだからね?

 クリスは人間じゃないし、僕の恋人だから、今すぐにでも言いたいけど、僕が言うことではないからなぁ。


「ジジ様は、どっちかというと僕のもう一人の父様で大恩人なんだよ。僕が小さな頃から可愛がってくれてるんだ♪ということで、行ってくる!」


 僕はまだ距離のあるジジ様に突撃しに行った。
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