奇跡の確率

カザハナ

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 翌朝、寝不足状態でベッドから身体を起こし、仕事に行く為の準備を始める。

 ジジ様と姉様は今日帰る予定だ。

 僕とルー兄は親族がわざわざ遠くから出てきてくれてるということで、昼からの出勤が許されてる。なので、いつも通り街の外までお見送りしてから仕事に向かう為、僕もルー兄も配達人の制服だ。


「ジジ様、姉様、また会いに来てね?」

「ああ、また来る。それまで元気でな」

「何かあれば、いつでも妾達を呼べば良い。コーディーの為ならば、どこに居ようと駆け付けて来ようぞ」

「大丈夫だよ姉様。僕にはルー兄が側にいてくれるし、クリスだっているから。あとケイド様!ヴェネック〈ここ〉の地霊族もすっごく頼りになるからね!」

「そう遠慮するな。儂等は可愛いコーディーを甘やかしたいし頼られたいだけだからな。アスが構えぬ今、儂等が守らねばならぬからな」


 ジジ様が僕の頭を帽子の上から撫でてくれる。


「コーディーの養父殿は今、何をしているんだ?」


 クリスが周りに僕達しかいないことを確認した上で、言い淀みながらもジジ様に質問する。


「……少し長い旅に出ておる。今のままでは娘のコーディーを守れぬと、力を蓄える為にな」


 九年前僕を襲った、魔力が桁外れの魔物は父様に撃退された。だけど、その魔物の生死は不明。あと一歩の所で逃げられたのだ。

 本当なら逃げることのできない状況だった筈だ。でもその魔物は常識ではあり得ない魔力を持っていた。

 それは人間だけが持つ“時の魔力”。

 人間の姿を取ることのできたその魔物は、魔力持ちの人間をも食べていたということだった。

 魔力持ちの人間の数は非常に少ない。そして、魔力の強い人間はもっと少ないないから、きっと何年も何十年も時間を掛けて、多くの魔力持ちを食べてその魔力を取り込んだのだろう。

 あの魔物は時の魔力を使ってその場から姿を消した。

 父様が深手を負わせたのは確かだけれど、父様同様息を潜めて力を蓄えてる可能性も捨て切れないのだ。

 地霊族が保護者になってくれたとはいえ、僕自身は魔力を持たない人間だ。あいつが再度、僕を狙って来るとは限らない。でも、父様やジジ様は少しの可能性でも潰したいそうだ。

 生きてるのか死んでるのか全く分からないけど、僕としても二度と出会いたくない魔物〈あいて〉だ。

 だからこそ父様は消耗した力を回復させて、蓄える為に、父様の本体である巨石の中で、深く長い眠りに付いている。

 そしてジジ様はクリスに旅と言ったのは眠りの旅といった意味で言ったんだと思う。
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