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第一章
第18話 カツ丼を食した皇帝がいきなり求婚?
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そして、鉄道は最初の駅まで運行を開始した。
帝都側と南都側のほぼ同時期開通というのは、南都側にすれば大健闘といえる。
人口や産業の規模でいえば、帝都は4倍近い巨人といえる存在なのだ。
規模の小さい南都が、帝都側と同じペースで仕事を完遂したというのは、盛り上げの原動力になるのだ。
帝都も南都もお祭り騒ぎで、開通式が開かれる。
帝都側では皇帝が祝辞を延べ、始発車両には全幹部が乗車して大勢の観客の中で出発した。
彼も皇帝の向かいに座って2時間半の旅を楽しむ事にした。
この世界の住人にとって、時速50kmというのは未知の速度だった。
だが、風景は山・森・草原という単調なもので、10分もすれば飽きてしまう。
実は機関車の先頭部分には密かに結界の魔道具が取り付けられており、安全性は確保されている。
ガタンゴトンという規則的な振動は眠りを誘う。
それが怖いので、運転士は2人制にしているが、乗客が寝入る中で皇帝を含む4人は熱心な議論を続けている。
皇帝と彼と、皇子とブロス技師である。
皇帝に似た黒髪の皇子ルースは16才。
ロビンと同じ齢である。
そして、ブロス・ドルトラインは侯爵家嫡男である。
幼少期から蒸気機関に興味を持ち、研究して今回の事業の草案を作りこうして実現してみせた手腕は高く評価されている。
この4人は1号駅到着後に別行動をとって、ランクレにより西コースで帝都に帰って店で食事をする段取りとなっている。
帝都・南都・西都を結ぶ三角地帯は、深い山岳地帯となっている。
そのため鉱石の採掘量が多い代わりに魔物も多く、手つかずのダンジョンも多いのではないかと想定されている。
そんな山間部を眼下に確認しながら4人は話し合いを続けている。
「さすがにこれは手を付けられませんよね。」
「そうですね、この山脈の南西部の金鉱に対して、ベントが所有権を主張した気持ちも理解できなくはないですね。」
「だからと言って、いきなりの武力侵攻は許容できるものではない。何人殺されたと思っておるのだ。」
「あの時の父上の判断は早かったですね。南都と西都から半分の兵をベントに向かわせ、一気に制圧してしまった。」
「バカを言うな。侵攻を受けた報告が届くのに半月。挙兵の指示が両都に届くのに8日かかり、軍の準備に3日で進軍を開始してからまた半月かかってしまったではないか。」
「それから僕に対して、この遅さを何とかしろと指示があって、無理やり考え出したのが蒸気機関による陸上輸送。いやあ、正直なところロビンが声をかけてくれなかったら、どうなっていたか分かりませんよ。」
「そうなると、ロビンを引っ張り出した南都のエキュルバー伯爵が最大の功労者かもしれないな。」
「よせよルース。爵位と資産を没収されて、今は単なる市民なんだからさ。」
ランクレの中に4人の笑い声が響いた。
「おい、あれワイバーンじゃないか!」
「ホントだ!……5匹、向かってくるぞ!」
「このランクレには、障壁がありますから大丈夫ですよ。そうだ、ちょっとシューティングゲームでもやりますか。」
「シューティングゲームだと?」
彼はマジックバッグから小銃タイプの魔道具を3丁取り出して3人に渡した。
「取扱いに注意してください。狙いはこことここの照準をあわせて、この引き金を引くと魔法が発動します。」
「魔法だと!」
「俺は魔法など使えんぞ。」
「魔力の無い人でも使える魔道具です。今回は、氷の矢にセットしておきますから、ここのダイヤルは変えないでくださいね。後は、ここのロックをこっちにスライドさせれば撃てるようになります。」
「ロックを外して、引き金を……うわっ、何か出た!」
「それが氷の矢ですよ。7mもある巨体に氷の矢ですから、うまく頭にヒットさせないと倒せませんよ。一人2匹以上は殺さないでください。みんなで倒しましょう。」
彼は左右にハンドルを操作して右側と左側にワイバーンを捉えられるように誘導する。
落下していくワイバーンは即死魔法を施して遠隔で収納していく。
「終わりましたから、レバーをロックしてください。皇帝を暗殺するなら今がチャンスですよ、ルース。」
「やめろ!お前がいうと冗談に聞こえんわ!」
「それにしても、これは……」
「このダイヤルで……3段階って事は、この絵は針と矢と槍って事か……」
「こっちのダイヤルは、火・氷・風の切り替えか……」
「こんなのが部隊に配備されたら……」
「敵の手に渡った時の事も考えてくださいね。無作為に渡せる代物じゃないですよ。」
「た、確かに裏切りは想定しておかないとな……」
「まあ、いざという時には、3人に持たせて最前線に立たせてあげますよ。」
「ああ。望むところだ。」
ランクレは静かに屋敷の駐車場に着陸した。
気付いたメイドが個室のドアを開けて招いてくれる。
席に着くと、ほどなくしてコーヒーが出される。
ブルーマウンテンの芳醇な香りが室内を満たしていく。
「これは、カーファの……だがここまでの香りは……」
「俺は一度飲ませてもらった。リラックスできる香りだよな。どれ、俺はミルクを3滴ほど垂らしていただこう。」
「……うげっ、苦い……」
「あはは、ルースよ。子供にはこの深みは分からんだろうな。無理をせず、砂糖とミルクで甘くすれば良い。」
「僕はこの苦味から来るインスピレーションが好きですね、まあ、ルースには早すぎるでしょうけど。」
「まあまあ、好きな味で楽しむのが一番ですよ。ルースもムリせずに。」
「い、いや、大丈夫だ……ウゲッ……」
楽しく歓談が進む中、扉がノックされマリーとリズが入ってくる。
「失礼いたします。お食事をお持ちしました。」
二人ともお揃いのカチューシャをしている。
マリーの栗色の髪には金、リズの金髪には白金のもので、帝都の細工師に素材を提供して作らせたものだ。
リズは、マリーと同じようにショーボブにしている。
内側を短くする事で内巻のカーブを描いている。
額が透けて見えるくらいの前髪が清潔感を感じさせる。
肩まであった髪を、料理に邪魔だという理由でバッサリ切ってしまった。
彼の紹介で浅めの礼をする。
今日もお揃いの黒シャツとパンツ姿だ。
礼をする二人を避けて、二人のメイドが黒塗りの大証の椀を4人の前に用意していく。
使うのは先の割れたスプーンだ。
大きいほうの蓋を開けると、少量の湯気が立ち昇り、金色に輝くそれが姿を見せる。
「オーク肉を使ったかつ丼でございます。適度の厚さに切ったオーク肉に、タマゴの黄身をとパン粉とつけてカラッと揚げます。」
「出汁醤油を甘辛く整え、タマネギを煮た上に揚げたオーク肉のカツを乗せて、その上から軽く溶いたタマゴを回し入れて蒸しながら仕上げたものをごはんの上に乗せた丼です。仕上げにアサツキのみじん切りををパらりで完成でございます。」
「揚げたオーク肉とな……」
「まあ、ロビンの用意したものだからな……」
「面白そうな食い物だな。見た目と香りは満点だが……」
「何とでも言ってくれ。俺の大好物である事に変わりない。」
3人が目を見開いて口を動かしている。
「おっ、カツがサクサクで、相変わらず絶妙のタイミングだな。」
「それは、週に2度は作っておりますので、皆慣れてきましたわ。」
「お、お前は、これを……」
「週に2度も喰っているというのか!」
「俺たちが、あんな変わり映えのしない城のメシを喰っている時に……」
文句を言いながらかつ丼を掻きこむ3人の口はとまらない。
吸い物も、出汁を利かせながらも、すっきりとした味付けになっている。
「ふう、美味しかったよ。」
「ありがとうございます。食後は……」
「待て、ローズマリーだったな。」
「はい・」
「ロビンから聞いていると思うが、先日の話し、もう一度考えてみてくれぬか?」
「申し訳ございませんが、この身はご主人様に捧げております。」
「そ、そうか……残念だ。」
【あとがき】
皇帝から直接求婚する場面を描きたかったんです。
帝都側と南都側のほぼ同時期開通というのは、南都側にすれば大健闘といえる。
人口や産業の規模でいえば、帝都は4倍近い巨人といえる存在なのだ。
規模の小さい南都が、帝都側と同じペースで仕事を完遂したというのは、盛り上げの原動力になるのだ。
帝都も南都もお祭り騒ぎで、開通式が開かれる。
帝都側では皇帝が祝辞を延べ、始発車両には全幹部が乗車して大勢の観客の中で出発した。
彼も皇帝の向かいに座って2時間半の旅を楽しむ事にした。
この世界の住人にとって、時速50kmというのは未知の速度だった。
だが、風景は山・森・草原という単調なもので、10分もすれば飽きてしまう。
実は機関車の先頭部分には密かに結界の魔道具が取り付けられており、安全性は確保されている。
ガタンゴトンという規則的な振動は眠りを誘う。
それが怖いので、運転士は2人制にしているが、乗客が寝入る中で皇帝を含む4人は熱心な議論を続けている。
皇帝と彼と、皇子とブロス技師である。
皇帝に似た黒髪の皇子ルースは16才。
ロビンと同じ齢である。
そして、ブロス・ドルトラインは侯爵家嫡男である。
幼少期から蒸気機関に興味を持ち、研究して今回の事業の草案を作りこうして実現してみせた手腕は高く評価されている。
この4人は1号駅到着後に別行動をとって、ランクレにより西コースで帝都に帰って店で食事をする段取りとなっている。
帝都・南都・西都を結ぶ三角地帯は、深い山岳地帯となっている。
そのため鉱石の採掘量が多い代わりに魔物も多く、手つかずのダンジョンも多いのではないかと想定されている。
そんな山間部を眼下に確認しながら4人は話し合いを続けている。
「さすがにこれは手を付けられませんよね。」
「そうですね、この山脈の南西部の金鉱に対して、ベントが所有権を主張した気持ちも理解できなくはないですね。」
「だからと言って、いきなりの武力侵攻は許容できるものではない。何人殺されたと思っておるのだ。」
「あの時の父上の判断は早かったですね。南都と西都から半分の兵をベントに向かわせ、一気に制圧してしまった。」
「バカを言うな。侵攻を受けた報告が届くのに半月。挙兵の指示が両都に届くのに8日かかり、軍の準備に3日で進軍を開始してからまた半月かかってしまったではないか。」
「それから僕に対して、この遅さを何とかしろと指示があって、無理やり考え出したのが蒸気機関による陸上輸送。いやあ、正直なところロビンが声をかけてくれなかったら、どうなっていたか分かりませんよ。」
「そうなると、ロビンを引っ張り出した南都のエキュルバー伯爵が最大の功労者かもしれないな。」
「よせよルース。爵位と資産を没収されて、今は単なる市民なんだからさ。」
ランクレの中に4人の笑い声が響いた。
「おい、あれワイバーンじゃないか!」
「ホントだ!……5匹、向かってくるぞ!」
「このランクレには、障壁がありますから大丈夫ですよ。そうだ、ちょっとシューティングゲームでもやりますか。」
「シューティングゲームだと?」
彼はマジックバッグから小銃タイプの魔道具を3丁取り出して3人に渡した。
「取扱いに注意してください。狙いはこことここの照準をあわせて、この引き金を引くと魔法が発動します。」
「魔法だと!」
「俺は魔法など使えんぞ。」
「魔力の無い人でも使える魔道具です。今回は、氷の矢にセットしておきますから、ここのダイヤルは変えないでくださいね。後は、ここのロックをこっちにスライドさせれば撃てるようになります。」
「ロックを外して、引き金を……うわっ、何か出た!」
「それが氷の矢ですよ。7mもある巨体に氷の矢ですから、うまく頭にヒットさせないと倒せませんよ。一人2匹以上は殺さないでください。みんなで倒しましょう。」
彼は左右にハンドルを操作して右側と左側にワイバーンを捉えられるように誘導する。
落下していくワイバーンは即死魔法を施して遠隔で収納していく。
「終わりましたから、レバーをロックしてください。皇帝を暗殺するなら今がチャンスですよ、ルース。」
「やめろ!お前がいうと冗談に聞こえんわ!」
「それにしても、これは……」
「このダイヤルで……3段階って事は、この絵は針と矢と槍って事か……」
「こっちのダイヤルは、火・氷・風の切り替えか……」
「こんなのが部隊に配備されたら……」
「敵の手に渡った時の事も考えてくださいね。無作為に渡せる代物じゃないですよ。」
「た、確かに裏切りは想定しておかないとな……」
「まあ、いざという時には、3人に持たせて最前線に立たせてあげますよ。」
「ああ。望むところだ。」
ランクレは静かに屋敷の駐車場に着陸した。
気付いたメイドが個室のドアを開けて招いてくれる。
席に着くと、ほどなくしてコーヒーが出される。
ブルーマウンテンの芳醇な香りが室内を満たしていく。
「これは、カーファの……だがここまでの香りは……」
「俺は一度飲ませてもらった。リラックスできる香りだよな。どれ、俺はミルクを3滴ほど垂らしていただこう。」
「……うげっ、苦い……」
「あはは、ルースよ。子供にはこの深みは分からんだろうな。無理をせず、砂糖とミルクで甘くすれば良い。」
「僕はこの苦味から来るインスピレーションが好きですね、まあ、ルースには早すぎるでしょうけど。」
「まあまあ、好きな味で楽しむのが一番ですよ。ルースもムリせずに。」
「い、いや、大丈夫だ……ウゲッ……」
楽しく歓談が進む中、扉がノックされマリーとリズが入ってくる。
「失礼いたします。お食事をお持ちしました。」
二人ともお揃いのカチューシャをしている。
マリーの栗色の髪には金、リズの金髪には白金のもので、帝都の細工師に素材を提供して作らせたものだ。
リズは、マリーと同じようにショーボブにしている。
内側を短くする事で内巻のカーブを描いている。
額が透けて見えるくらいの前髪が清潔感を感じさせる。
肩まであった髪を、料理に邪魔だという理由でバッサリ切ってしまった。
彼の紹介で浅めの礼をする。
今日もお揃いの黒シャツとパンツ姿だ。
礼をする二人を避けて、二人のメイドが黒塗りの大証の椀を4人の前に用意していく。
使うのは先の割れたスプーンだ。
大きいほうの蓋を開けると、少量の湯気が立ち昇り、金色に輝くそれが姿を見せる。
「オーク肉を使ったかつ丼でございます。適度の厚さに切ったオーク肉に、タマゴの黄身をとパン粉とつけてカラッと揚げます。」
「出汁醤油を甘辛く整え、タマネギを煮た上に揚げたオーク肉のカツを乗せて、その上から軽く溶いたタマゴを回し入れて蒸しながら仕上げたものをごはんの上に乗せた丼です。仕上げにアサツキのみじん切りををパらりで完成でございます。」
「揚げたオーク肉とな……」
「まあ、ロビンの用意したものだからな……」
「面白そうな食い物だな。見た目と香りは満点だが……」
「何とでも言ってくれ。俺の大好物である事に変わりない。」
3人が目を見開いて口を動かしている。
「おっ、カツがサクサクで、相変わらず絶妙のタイミングだな。」
「それは、週に2度は作っておりますので、皆慣れてきましたわ。」
「お、お前は、これを……」
「週に2度も喰っているというのか!」
「俺たちが、あんな変わり映えのしない城のメシを喰っている時に……」
文句を言いながらかつ丼を掻きこむ3人の口はとまらない。
吸い物も、出汁を利かせながらも、すっきりとした味付けになっている。
「ふう、美味しかったよ。」
「ありがとうございます。食後は……」
「待て、ローズマリーだったな。」
「はい・」
「ロビンから聞いていると思うが、先日の話し、もう一度考えてみてくれぬか?」
「申し訳ございませんが、この身はご主人様に捧げております。」
「そ、そうか……残念だ。」
【あとがき】
皇帝から直接求婚する場面を描きたかったんです。
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