神なのか?

モモん

文字の大きさ
19 / 42
第一章

第19話 娘に先を越される訳にはいかない父親の意地

しおりを挟む
「父上、今のは?」

「俺にとって初めての求婚だったが……振られた。」

「ええーっ!」

「いや、確かに年齢的にもおかしくはありませんし、魅力的な女性だとは思いますが……」

「初めはアリステアとナターシャからの要望だった。」

「アリスとナターシャが?」

「次に母を迎えるならローズマリーしか考えられないとな。」

「そ、それで?」

「俺は面識がなかったのだが、ロビンを通じて申し込んで断られた。」

「こ、皇妃の座を袖にする女性が存在するとは……」

「私としては、特に反対はしませんが……」

「今日初めて対面したのだが、あの美貌に立ち居振る舞い。これだけのメイドを統率し、指導する能力。このカツ丼を作り上げる感性。これほどの女性は見たことがない。」

「いや、私はリズさんの素晴らしさに……」

「言っておきますが、リズもマリーもここの王族に渡せる訳がないでしょ。思い出してください。二人ともベントの出身です。トラブルの原因となるのは目に見えています。」

「くっ、まずはベントとの和睦が先か……」

「えっと、私はカツ丼を作ってくれるなら、誰でも良いので嫁に迎えたい……」

「まあ、そこは希望アリですね。次期侯爵の嫁ならば、可能性はあるんじゃないですかね。」

 それは多くの貴族が考えていた事で、メイドとしての引き抜きや子息の嫁としての下調べが盛んに行われるようになった。
 特に貴族の娘である5人には注目が集まり、中でも厨房に入る2人の男爵家の娘エリアールとステシアに注目が集まる。


 南都と帝都は次の駅に向けて工事を進めていくのだが、彼にとってこの路線は既に終わっていた。
 当然、次の3路線に向けて下見をして、中間駅にできる場所を区画し、アンドロイドを投入して整備。
 周辺に果樹園を作って、そこからもフルーツや作物を収穫していくのだ。

 各所の収穫物は、全部彼のマジックバッグに収納されてくる。
 時間経過がない空間なので、それらは酸化しない。
 北都側の畑では、ジャガイモとサトウダイコンも育っている。
 南都の最初の駅には、大規模な砂糖の精製工場も作ってあり、一般的なグラニュー糖の他に上白糖も作り始めていた。

 そして、帝都の店には、味噌や醤油を分けてほしいとの要望があり、仕方ないので味噌蔵と醤油蔵が作られた。
 当然、そのためには大豆の増産も必要であり、大豆があれば豆腐ができる。
 彼は、こういった産業を帝都の商業ギルドと組んで展開していった、


 皇女二人は、あの日以来度々城を抜け出して遊びに来ていた。
 最初のうちは侍女が馬車で連れてきたのだが、そのうちに本当に抜け出して来るようになった。
 城から店まで1km程で、大人なら徒歩で15分程の距離だ。

 皇帝によると、どうやら二人はスイーツを習いたいらしい。
 確かに、店に来た二人はリズにべったりで、プリンの作り方を聞いたりしている。

「せめて侍女と護衛を同行させて欲しいのだが……兵士の護衛を嫌がるのだ。」

「スイーツ作りはいいんですか?」

「自作の茶菓子を茶会でふるまうのは、貴族の中でも一般的になっているのだ。そこは問題ない。」

「城の中で教えるのはダメなんですか?」

「お前のところのコンロとかいうのがないとダメだと言っている。」

「そんな事言ってたら、うちでしか作らないって事じゃないですか……」

「まあ、貴族の菓子作りというのは、使用人に準備させて、仕上げだけやる程度だからな。同世代でありながら、素材から作り上げるリズに憧れてしまったらしい。まあ、あの子は貴族の下地が出来ているから話しやすいのだろうが……」

「そういえば、リズがお客さんと色々話して、状況を理解してきたようなんですよ。」

「何を?」

「そもそも、ベント国側が南都と西都の中間にある金鉱を狙って進軍していた事。」

「まあな。」

「ベント制圧後も、内政には関与せずに支援を続けている事。」

「王族を壊滅させた以上、国として存続する事は出来んかったからな。」

「国として吸収してしまうと、火種は残りますからね。」

「そうは言っても、あの娘には辛い想いをさせた……」

「かと言って、今のままだと、周辺国から狙われてしまう。」

「だから、支援を続けざるを得ないんだよ。」

「……ベントを自律させつつ、ドルトの影響下にあって手を出させない保証か……」

「今の南都くらいに盛り上がってくれればいいんだけどな……」

「盛り上げて活性化させるだけなら、南都と鉄道で結べばいいんだが……その気にさせるにはどうしたらいいか……」

「確かに、鉄道で結ばれれば我が国との関係性は明確にできるが……」

「しょうがない、行ってみるか……」

「おいおい、ロビンが行ってどうにかできる問題ではあるまい。」

「だが、リズの生まれ故郷だ。放って置くわけにもいかねえよ・」

「……ちょっと待ってろ。」

 皇帝は紙に何か書いて印を押して持ってきた。

「爵位を拒否するから、これでも持っていけ。」

「何だ?……ロビリアム・ドルトマン、上記の者にドルト国、特別相談役を命ず。ドルト帝国皇帝ラークリファス・ドルトライン。誰だロビリアムって?」

「お前だ。これからはロビリアム・ドルトマンを名乗ってくれ。ロビンだけじゃ公式の場で恰好がつかん。」

「ロビリアムねえ、まあ、これなら皇帝の名代って事で何でも出来そうだな。」

「ああ、頼む。」

 皇女の方は、正式に護衛をつけて、週に3時間通いが許されることになった。
 移動方法として、浮遊式のキックボードが作られる。
 スタートボタンで起動すると、地上15cmに浮き上がると同時に、結界を張って体をガードできるようになっている。
 地上を蹴るのは人力なので、せいぜい時速15km程度だろう。

 ボディーガードはミケとポチが交代で対応することになった。
 
「えーっ、でももう少しでAランクだから、忙しいんだよね。」

「それに、報酬がこのオモチャみたいなキックボードっていうのもね。」

 結局、二人が手にしたキックボードは、高度を調整出来て、加速もできるものに改造された。
 イメージはバイクのようにスロットル式だ。

 そして、彼は焦った。
 娘に先にAランクに昇格されたら立場がない……

 焦った彼は冒険者ギルドを訪れ、カウンターに冒険者証を提示した。

「すみません。Aランクになるには、何件依頼を達成すればいいですか?」

 周りがギョッとして見てくる。
 そんなのは大した問題じゃない。

「えっと、ロビンさんだと、高難易度のBランク依頼を29回ですね。」

 彼は依頼掲示板にあった10枚くらいの依頼を全部剥がしてカウンターに差し出した。

「これ全部受注します。」

「えっ、期限内に達成できないとペナルティーが発生しますよ。」

「大丈夫です。他にBランクの依頼はありませんか?」

「Bランクの常設依頼だと、ランドドラゴンの討伐採取がありますけど、これは本体を持ってきてもらわないといけません。」

「承知しました。ちなみに、ランドドラゴンだと、一度に何匹受け取ってくれますか?」

「2匹が限度だと思います。」

 1箇所で2匹なら、5箇所に納品すれば10匹だ。
 ランドドラゴンは地球でいえばトリケラトプスのような見た目のドラゴンで、体長は8m以上あり、体重は10トンを超える。
 頭に2本の角があり、狂暴そうに見えるが草食のドラゴンだ。
 こんなのが、その辺をウロウロしていたら大騒ぎになる。
 だから、奥深い山とか人里から離れた場所に生息している。
 
「ありがとうございます。」

 彼はギルドを出て、瞬間移動で依頼書の場所に移動した。
 彼の瞬間移動には制約がない。
 集中すれば現地の様子がアタマに浮かんでくるので、そこへ移動するだけだ。

 そして、変に戦うのも無駄なので、脳と心臓の動きを止める即死魔法を創造した。
 これで片っ端から獲物を始末してマジックバッグに収納して、依頼者の確認をもらう。
 依頼書11枚を1時間ちょっとで処理して、次にランドドラゴンをサーチする。
 
 依頼元への納品分は全部済ませ、冒険者ギルドの倉庫で獲物を出しながら検品してもらう。

「あと、ランドドラゴンがあるんですけど。」

「今日はもうムリだ、明日にしてくれ。」

【あとがき】
 ロビリアム・ドルトマン誕生

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...