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第三章 MRS
マグマグ
しおりを挟むエウロパとコアがナイフとフォークを引き剥がしながら、どうしたら良いか聞いてくる。
「す……すみませんが、きれいなのを一本ください」
二人が宙に浮いているものを抑えてくれたのを確認し、マグマグに未使用のフォークをくっつける。
「あっ、引き付ける力が止まりましたね」
「ごめんなさい。
何かにくっついていないと、今みたいに暴走する事があるみたいです。
きっと、臆病なんですね」
「驚いたな。作り話だと思っていたよ。
だが、本当にスライムなのかい?」
「間違いありませんね。
鑑定では、種族名はメタルスライム、表示はマグネットスライムと出ています」
スフィさんが説明してくれる。
「自分で移動できるのかい?」
「磁石で引き付けたり反発したりする要領で、結構素早く移動できますよ」
「だが、それではどこに引き付けられるか分からないだろう」
「それが、磁力に指向性をもたせられるみたいなんですよ」
「それって?」
「目の前に並んだフォークのうち、任意のフォークを引き付けることができるみたいです。
夕べテイムしたばかりなので、まだよく分からないんですけどね」
食事もひと段落したようなので、ファイのイルミネーションを楽しんでもらい、ヒクイアリとヒトデスライムも紹介しておく。
「最後になりますが、夕べモドキングというのをテイムしました。
目に見えず、テイムした僕にも意思を感じることができません。
ですが、まちがいなくここにいます」
そう言って、右腕を示す。
「夕べ、触らせてもらいましたが、肌の感触が違うだけで、それ以外は何も感じることができませんでした。
これが何なのか分かるまでは、公開を避けたいと思います」
「触ってみてもいいかね?」
「他人に触られることを、モドキングがどう感じているのかも分かりません。
何かのタイミングで、どちらかに致命的なことが起こらないとも限りませんので、今のところはご遠慮ください」
「ステータスはどうなんだ?
テイムした君なら分かるんだろう?」
「すべての数値が1です。
ですから、ちょっとした事で、消滅してしまう可能性もありますし、もし体から離れたら見つけられないと思います」
「というわけで、夕べ4種が発見されましたが、どれもタケル君にしかコミュニケーションが取れず、かと言って放置できない存在ばかりです。
わが国で発見された新種ですが、観察チームにもフォローさせながら、テイム者であるタケル君に世話と調査をお願いしたいと思います」
「やむを得ないだろうね。
経過は、なるべく細かく入れてもらい、議会での報告をお願いする」
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