3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第四章

魔法がキャンセルされた

「じゃあ、ダイヤチーム行くわよ。
水玉班は結界とステータス上昇系。
スター種はマヒをお願い。
オブジェになっている５人も忘れないで！……って、マヒが効かないのは、隊長さんを入れて３人だけですか。
ホシガタ、精神操作を試して」

「ああ、役立たずはどうしようもないですねぇ。
隊長、ふざけていないで鎧から出てきてくださいよ」

「しょうがねえなあ。
お前、伝説のマグネットスライムだよ。もう少し楽しませてくれよな……っと」

フェリーと名乗った男は、パンパンと手を叩きながら事も無げに立ち上がった。
鎧装備のままである。

「はいはい、お昼寝の時間は終わりだよ」

それだけで、マヒで動けなかったはずの者たちが起き上がってくる。

「もう少し寝かせてくださいよ。
隊長も副隊長も、少しは働かないとデブりますよ」

「マッ、マヒって、気持ちいいっすね！
ねっ、もう一回お願い！」

「まっ、まさか……なんで……回復？
ホシガタ！鱗粉。
チビクロ、ブレス！」

またもやパンパンと鳴った手拍子に、魔法がかき消されていく。

「魔法のキャンセルなんてスキル、聞いたことがない……」

「あはっ、興味を持ってくれたかな？
じゃあ、僕のハーレムへご招待……おっと、邪眼持ちでしたか。
邪眼は、魔法の要素が少ないからキャンセルできないな……
みんな、彼女の眼は見ないようにね」

結界や物理障壁がキャンセルされ、兵士たちが剣や飛び道具で襲い掛かってくる。

「くっ、どうすれば……」

物理攻撃ならば、オウムシのドームとカップが盾になって防いでくれるが、高速移動すら使えない状況では攻撃手段がない。

「ミャイ、冷静になりましょう。
何が無効化されて、何が有効なのか見極めればいくらでも対処できるわ」

「カーリー、そんな事言っても、どうすればいいのか……
ゴーレムの方は大丈夫なの？」

「ゴーレムはスペードチームだけで大丈夫みたいよ。
こっちの応援に行けってご主人様の指示です。
じゃあ、冷静に分析していきましょうか」

「ええ」