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第二章

ごはんと味噌汁ができた

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モミすりと精米が終わって、いよいよご飯を炊きます。

はじめチョロチョロ中パッパで、ムラシが終わるまでお釜の蓋をとっちゃいけません。

「ああ、ご飯の匂いだ……」

俺はタマゴかけご飯で、智代梨は梅干しのオニギリ。
恭介は海苔と目玉焼きで、萌は納豆です。

「ああ、日本の味だ……」

「みんな元気でやってるかな……」

「やっぱ、そういう味だよな……」

「うん、なんか懐かしいなって……」

「やっぱ、コメには味噌汁が合うよな」

「あっ、仁、ほっぺにご飯粒が……」

智代梨はそういいながら、俺のほっぺたについたご飯粒をとってパクっと……

「「えっ!」」 「「えっ?……あっ……」」

二人とも耳まで真っ赤になってしまった。

「だっ、だけどよ、これで牛丼とか親子丼とか作れるよな」

「ふーん、そういう事なんだ」

「い、いやその……」

「……いつからなんですか?」

「リハビリの時……、俺から告りました」

「へえ、意外だったけど、おめでとう」

「ですね。
これは、お祝いにかつ丼でも作りましょうか」

「なんだよ、かつ丼って」

「えっ、うちでは、おめでたい事があるとかつ丼だったんですけど」

「聞いたことねえよ!」

「そうなんですか……」

「ついでに言っとくが、俺もジャンヌと付き合ってる」

「えっ、まさかのBL宣言!」

「いや、ジャンヌって一卵性の双子で、時々入れ替わってたんだ。
その女のほうな」

「なーんだ、BLじゃないんですね」

「まあ、両方と付き合ってる……のかな」

「やっぱりBL」

「まあ、俺的には美しければ性別は関係ない」

「言い切ったよ、この人」

「そういえば、生姜焼き定食が食いてえな」

「また仁君の出番ですね」

「ショウガってないんだ……」

「ニンニクはあるんですけどね。
あっ、忘れてました。
ソースの試作品ができたんですよ」

「ホントか!
これでトンカツが食えるじゃん」

「ええ、料理のレパートリーが広がりますよ」

「量産できれば商品化もできるじゃん」

「商品化は難しいと思いますよ。
日本と違って、季節的な素材も多いですし、保存料もありませんから」

「そっか。とりあえずは俺たちが楽しめればいいってことで……」

「ですね」

「ところでさ、消毒用のアルコールを作りたいんだけど協力してほしいんだ」

「消毒用のアルコールですか?」

「ああ、智代梨がけが人を舐めるときに、すこしでも清潔な方がいいかなって」

「ああ、それは言えますね。で、何からアルコールを作りますか?」

「一からアルコールを作るのも面倒だからさ、ワインを蒸留してアルコール濃度をあげていけばいいかなって思ってる」

「じゃあ、ポットスチルは俺が作っておこう」

「アルコール濃度の高いお酒も売れそうですね」

こうして、俺たちの食事と生活が充実していく。
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