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第三章 冒険者

入浴体験会

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「ようこそいらっしゃいました」

歓迎はしていないが、社交辞令だ。

「うむ、世話になるぞ」

「んもう、何かあったら連絡してくれるよう言ったのにぃ」

「いえ、これは俺と恭介が作りましたので、萌は関係ないです」

「あなたたち四人全員よ。
今度約束を破ったらお仕置きですからね」

約束なんていていないつうの……

「まあまあ、こうして招待してくれたのだから良いではないか」

横で使者の人が身振りで謝っている。

「はい、食事の用意もしておりますので、存分に楽しんでくださいませ」

仕方ないのであわせておく。
本心は……早く帰ってくれよ……だ。

最初に側仕えの人に風呂の説明をしておく。
後の人のために、お湯はきれいに使ってほしい。
それに、シャワーとか説明しておかないと、使い方が分からないだろうから……

「まずは、紅茶でもお召し上がりください」

「この香り、柑橘系ね」

「はい。自分たちで楽しむ時の萌の特性ブレンドです」

「ん、おいしい……
これ、王室にも納品してくださいね」

商品ではないと言ったつもりだが、王妃には通じないらしい……

「では、女性から先に入浴してください」

「なに!我が先ではないのか」

「風呂は本来女性専用なのです。
そこを曲げて男も利用しておりますのでご容赦願います」

俺の世界の慣例など知るはずがないので、適当に胡麻化しておく。

「ならば仕方ないのう……」

こうして、女性に先に入ってもらい、我が家のメイドが同伴して肌のお手入れについてレクチャーさせる。
もちろん、男の時は省略だ。

出てきた王妃がいった。

「ああ、もう蕩けてしまいそうよ。
私、今日からここに住もうかしら」

とんでもない。
早く帰れ……

男性陣が入浴している間、女性陣は冷製のスイーツを楽しんでもらう。

「これ、女性限定で用意しましたので、男性陣には内緒ですよ」

一応、男性陣には冷たいエールを用意してある。

やがて、男性陣があがってきたので、そのまま夕食にする。
ローストビーフや、ロールキャベツのコンソメ煮、各種サラダとパンだ。
コメなんて出せるわけがない、

「本日は、お越しいただきありがとうございました
何分、店の営業もありますので、十分な対応ができませんでしたが、まあ、普段の私たちの生活と似たようなものをお出しさせていただきました」

「ああ、やっぱり私、明日からここに住むわ」

冗談じゃない。早く帰ってくれ!

こうして、王様ご一行の入浴体験会は幕を閉じた。
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