15 / 32
第二章
第15話 冒険者に転職しようかなって考えていたら、焼きたてのパンの方が重要な問題になった
しおりを挟む
竜人の里にきて2週間経ちました。
魔力の制御も無意識レベルで出来るようになり、質も結構上がってきたと思います。
魔力制御と並行して、魔法の訓練も始めました。
魔法の訓練といっても、結局は魔力量の調節がメインなんですけど。
『ダメよ!アイスニードルはもっと全体的に広く浅く魔力を流すの。細く硬くよ。魔力量はもっと減らして!』
『無茶言わないでよ。これ以上魔力減らしたら強度が無くなっちゃうじゃない!』
『アイスニードルに一撃必殺の威力は必要ないの。敵の戦意を削ぐのが目的なのよ。』
火と氷、それと風と土は簡単な魔法です。
イメージしやすいので、針だろうが槍だろうが自由自在です。
難しいのは、今まで馴染みのなかった、光・闇・空間・重力・時間などに関する魔法は結構難易度が高くなります。
それでも、リーズが見本を見せてくれるので魔法を発動することは出来たのですが、やはりこっちも魔力のコントロールが課題になっています。
普通の人の魔力量を10としたら、今の私の魔力量は10億くらいなんだそうです。
全力を出したら、星が割れるくらいなんだそうです。
10億をイメージできる私が、1とか2の魔力コントロールを求められているんです。
『じゃあ、魔力制御の応用で、身体の機能を活性化させる身体強化を覚えましょうか。』
『身体強化って、魔力制御でできるの?』
『そうよ。魔力を巡らせるのではなく、細胞をサポートさせることで強化できるのよ。こんな感じ。』
『あっ、分かります。……5感も強化されるんですね。』
『味覚も強化されるから、辛い物とか食べられなくなるし、きつい匂いとか耐えられないのが弱点ね。』
『それって、ゾンビ系に遭遇したらピンチじゃないの。』
『ゾンビが出たら、遠隔で光魔法ね。』
『ゾンビって、光魔法で倒せるの?』
『光魔法の応用で聖属性を持たせた光を放つのよ。この光は浄化作用があるから、工夫すれば傷の治療や消毒に使えるわよ。』
『そういえば、属性を組み合わせて複合的な魔法って作れないの?』
『そうね。例えば闇と重力と空間を組み合わせてブラックホールが作れるわよ。』
リーズの意識から、ブラックホールがどういうものか理解できます。
『それ、危なくないですか。』
『複合魔法だから制御は難しいわよ。』
『強力なブラックホールを自分の近くに出現させたりしたら……。』
『間違いなく吸い込まれるわね。』
『そんなの作りませんから!』
『あら、残念。じゃあ、氷魔法と時間の加速を組み合わせた瞬間冷凍なんてどうかな?』
『何だか、食材の保存に使えそうですね。』
『他には……元素を組み合わせる事で、錆びなくて硬い金属も作れるわよ。しかも、鉄よりも軽いの。』
『でも、その組み合わせを研究するのに時間がかかりそうですね。』
『大丈夫よ。そういうのが好きで、研究している子がいるから。』
リーズの知識は驚くことばかりでした。
『ところで、シャルは魔法士として活動していくの?』
『えっ?』
『だって、人間は仕事に就かなければいけないんでしょ。』
『そうね、それは考えていなかったわ。今の仕事だと、あんまり自由になる時間がないしなぁ。』
『でしょ。魔法も活かせないしね。』
『魔法を活かすなら、魔法兵か冒険者よね。』
『そんなことないわよ。錬金術師とか、鍛冶師。薬師、建築士、宝石商、何だって可能じゃない。』
『そっか。ダイヤを作って売れば、生活費はいくらでも稼げそうね。』
『好きな事をして過ごすのなら、やっぱり冒険者じゃないかな。』
『冒険者になるのなら、武器や防具も必要よね。』
『シールドで身体を覆うんだから、防具なんて要らないでしょ。武器だって魔法で戦うンだしさ。』
『分かったわよ。じゃあ、人間の町に行って、装備を買いましょ。』
広範囲の探知魔法で金の鉱石を探す事ができます。
飛行魔法でその岩山に飛んで、土魔法で山に穴を開けて金を回収。
『これだけあれば、性能のいい装備を買えそうね。』
『待ってよ!これ30kgくらいあるじゃない。こんなの持っていけないわよ。』
『身体強化をすれば、これくらい片手で持てるわよ。』
金貨1枚が31gなので、30kgだと金貨1000枚分近くになります。
下取りの価格は少し下がりますが、まあ金貨900枚以上の価値になるでしょう。
一番近いのは北に山2つ超えたところにある町です。
金を1割ほど切り取って買い取ってもらい、金貨100枚を手に入れた私たちは町を歩きます。
『何!この匂い!』
『えっ、ああ、甘い香りね。スイーツのお店があるのかな。』
身体強化により嗅覚が高まっているので、獣並みには鼻が利きます。
『何よスイーツって!そんなの教えてくれなかったじゃないの!』
『聞かなかったでしょ。』
『知らない事は聞けないわよ。さあ、匂いを辿るわよ!』
今は4月。
まだ果実が出る時期ではありませんが、果実を砂糖で煮詰めたジャムの匂いがします。
それほど探すことなくパン屋さんを発見。
ここでジャムやクッキーも作っていました。
「いらっしゃい。」
緑のエプロンに同色のバンダナを頭に巻いた女性が声をかけてくれました。
バンダナを帽子状にして髪を覆っているのは、パン生地に髪が落ちないように配慮しているのでしょう。
化粧っけのないスッピンの顔は30才くらいでしょうか。
色白で少しそばかすのある顔がにこやかな笑顔で迎えてくれます。
発酵させて膨らませたパンはとても美味しそうな香りを漂わせています。
「ああ、美味しそうなパンの匂い。」
「でしょ。このクロワッサンは焼きあがったばかりよ。」
女性はトングでクロワッサンを一つ取り、ナイフで切って私に手渡してくれました。
「えっ?」
「試食してみて。絶対に気に入るから。」
「あっ、ありがとうございます。」
いただいたクロワッサンを口に入れると、バターの香りが口の中に広がります。
「ああ、おいしい。」
「でしょ。自信作なんだ。」
『パンとは、こんなにもふっくらとしたものだったのね。シェル!早く買って食べるわよ!』
店の奥にはテーブル席が3つ用意されていて、3人組のお客さんが席についてパンを食べています。
買うだけでなく、このお店で食事もできるようです。
「ここで食べていく事もできるんですね。」
「ええ。パンとミルク。それに簡単なスイーツくらいしかありませんけど。」
私はリーズと一緒にパンを選び、ミルクをもらってテーブルについた。
『しまった!二人で選んだけど、食べるのは私ひとりだった……。』
『さあ、私の選んだクルミのパンにオレンジのジャムを乗せて食べるのよ!』
『そんなの帰ってからでいいじゃない。それよりも、焼きたてのクロワッサンは今しか味わえないのよ!』
『それはさっき食べたでしょ!』
『分かったわ。じゃあ、ここでは半分ずつ食べましょう。』
パン2個、食べられないことはないのですが、他にタルトも食べたいし、ヨーグルトのハチミツがけだってあるのです。
『ねえ。』
『何?』
『焼きたてのパンを、そのまま保存できる魔法ってないの?』
『どういうこと?』
『だから、焼いたときの状態を維持して、時間がゆっくり進むような限定空間とか、箱とかよ。』
『そういえば、誰かそんなのを研究していたわね。誰だっけ……。』
リーズがそれを思い出したのは、食事が終わった時でした。
『思い出したわ。時間操作の得意なアキよ!』
『アキって?』
『シルバードラゴンのアキよ。普段は世界に干渉しないように、月の裏側で魔法を研究しているわ。』
『どうやって月まで行くのよ!』
『飛べばいいだろう。』
『いいこと、私たちは今人間なのよ。生きてるの!能天気な龍種じゃないのよ!』
【あとがき】
月の裏側……。
魔力の制御も無意識レベルで出来るようになり、質も結構上がってきたと思います。
魔力制御と並行して、魔法の訓練も始めました。
魔法の訓練といっても、結局は魔力量の調節がメインなんですけど。
『ダメよ!アイスニードルはもっと全体的に広く浅く魔力を流すの。細く硬くよ。魔力量はもっと減らして!』
『無茶言わないでよ。これ以上魔力減らしたら強度が無くなっちゃうじゃない!』
『アイスニードルに一撃必殺の威力は必要ないの。敵の戦意を削ぐのが目的なのよ。』
火と氷、それと風と土は簡単な魔法です。
イメージしやすいので、針だろうが槍だろうが自由自在です。
難しいのは、今まで馴染みのなかった、光・闇・空間・重力・時間などに関する魔法は結構難易度が高くなります。
それでも、リーズが見本を見せてくれるので魔法を発動することは出来たのですが、やはりこっちも魔力のコントロールが課題になっています。
普通の人の魔力量を10としたら、今の私の魔力量は10億くらいなんだそうです。
全力を出したら、星が割れるくらいなんだそうです。
10億をイメージできる私が、1とか2の魔力コントロールを求められているんです。
『じゃあ、魔力制御の応用で、身体の機能を活性化させる身体強化を覚えましょうか。』
『身体強化って、魔力制御でできるの?』
『そうよ。魔力を巡らせるのではなく、細胞をサポートさせることで強化できるのよ。こんな感じ。』
『あっ、分かります。……5感も強化されるんですね。』
『味覚も強化されるから、辛い物とか食べられなくなるし、きつい匂いとか耐えられないのが弱点ね。』
『それって、ゾンビ系に遭遇したらピンチじゃないの。』
『ゾンビが出たら、遠隔で光魔法ね。』
『ゾンビって、光魔法で倒せるの?』
『光魔法の応用で聖属性を持たせた光を放つのよ。この光は浄化作用があるから、工夫すれば傷の治療や消毒に使えるわよ。』
『そういえば、属性を組み合わせて複合的な魔法って作れないの?』
『そうね。例えば闇と重力と空間を組み合わせてブラックホールが作れるわよ。』
リーズの意識から、ブラックホールがどういうものか理解できます。
『それ、危なくないですか。』
『複合魔法だから制御は難しいわよ。』
『強力なブラックホールを自分の近くに出現させたりしたら……。』
『間違いなく吸い込まれるわね。』
『そんなの作りませんから!』
『あら、残念。じゃあ、氷魔法と時間の加速を組み合わせた瞬間冷凍なんてどうかな?』
『何だか、食材の保存に使えそうですね。』
『他には……元素を組み合わせる事で、錆びなくて硬い金属も作れるわよ。しかも、鉄よりも軽いの。』
『でも、その組み合わせを研究するのに時間がかかりそうですね。』
『大丈夫よ。そういうのが好きで、研究している子がいるから。』
リーズの知識は驚くことばかりでした。
『ところで、シャルは魔法士として活動していくの?』
『えっ?』
『だって、人間は仕事に就かなければいけないんでしょ。』
『そうね、それは考えていなかったわ。今の仕事だと、あんまり自由になる時間がないしなぁ。』
『でしょ。魔法も活かせないしね。』
『魔法を活かすなら、魔法兵か冒険者よね。』
『そんなことないわよ。錬金術師とか、鍛冶師。薬師、建築士、宝石商、何だって可能じゃない。』
『そっか。ダイヤを作って売れば、生活費はいくらでも稼げそうね。』
『好きな事をして過ごすのなら、やっぱり冒険者じゃないかな。』
『冒険者になるのなら、武器や防具も必要よね。』
『シールドで身体を覆うんだから、防具なんて要らないでしょ。武器だって魔法で戦うンだしさ。』
『分かったわよ。じゃあ、人間の町に行って、装備を買いましょ。』
広範囲の探知魔法で金の鉱石を探す事ができます。
飛行魔法でその岩山に飛んで、土魔法で山に穴を開けて金を回収。
『これだけあれば、性能のいい装備を買えそうね。』
『待ってよ!これ30kgくらいあるじゃない。こんなの持っていけないわよ。』
『身体強化をすれば、これくらい片手で持てるわよ。』
金貨1枚が31gなので、30kgだと金貨1000枚分近くになります。
下取りの価格は少し下がりますが、まあ金貨900枚以上の価値になるでしょう。
一番近いのは北に山2つ超えたところにある町です。
金を1割ほど切り取って買い取ってもらい、金貨100枚を手に入れた私たちは町を歩きます。
『何!この匂い!』
『えっ、ああ、甘い香りね。スイーツのお店があるのかな。』
身体強化により嗅覚が高まっているので、獣並みには鼻が利きます。
『何よスイーツって!そんなの教えてくれなかったじゃないの!』
『聞かなかったでしょ。』
『知らない事は聞けないわよ。さあ、匂いを辿るわよ!』
今は4月。
まだ果実が出る時期ではありませんが、果実を砂糖で煮詰めたジャムの匂いがします。
それほど探すことなくパン屋さんを発見。
ここでジャムやクッキーも作っていました。
「いらっしゃい。」
緑のエプロンに同色のバンダナを頭に巻いた女性が声をかけてくれました。
バンダナを帽子状にして髪を覆っているのは、パン生地に髪が落ちないように配慮しているのでしょう。
化粧っけのないスッピンの顔は30才くらいでしょうか。
色白で少しそばかすのある顔がにこやかな笑顔で迎えてくれます。
発酵させて膨らませたパンはとても美味しそうな香りを漂わせています。
「ああ、美味しそうなパンの匂い。」
「でしょ。このクロワッサンは焼きあがったばかりよ。」
女性はトングでクロワッサンを一つ取り、ナイフで切って私に手渡してくれました。
「えっ?」
「試食してみて。絶対に気に入るから。」
「あっ、ありがとうございます。」
いただいたクロワッサンを口に入れると、バターの香りが口の中に広がります。
「ああ、おいしい。」
「でしょ。自信作なんだ。」
『パンとは、こんなにもふっくらとしたものだったのね。シェル!早く買って食べるわよ!』
店の奥にはテーブル席が3つ用意されていて、3人組のお客さんが席についてパンを食べています。
買うだけでなく、このお店で食事もできるようです。
「ここで食べていく事もできるんですね。」
「ええ。パンとミルク。それに簡単なスイーツくらいしかありませんけど。」
私はリーズと一緒にパンを選び、ミルクをもらってテーブルについた。
『しまった!二人で選んだけど、食べるのは私ひとりだった……。』
『さあ、私の選んだクルミのパンにオレンジのジャムを乗せて食べるのよ!』
『そんなの帰ってからでいいじゃない。それよりも、焼きたてのクロワッサンは今しか味わえないのよ!』
『それはさっき食べたでしょ!』
『分かったわ。じゃあ、ここでは半分ずつ食べましょう。』
パン2個、食べられないことはないのですが、他にタルトも食べたいし、ヨーグルトのハチミツがけだってあるのです。
『ねえ。』
『何?』
『焼きたてのパンを、そのまま保存できる魔法ってないの?』
『どういうこと?』
『だから、焼いたときの状態を維持して、時間がゆっくり進むような限定空間とか、箱とかよ。』
『そういえば、誰かそんなのを研究していたわね。誰だっけ……。』
リーズがそれを思い出したのは、食事が終わった時でした。
『思い出したわ。時間操作の得意なアキよ!』
『アキって?』
『シルバードラゴンのアキよ。普段は世界に干渉しないように、月の裏側で魔法を研究しているわ。』
『どうやって月まで行くのよ!』
『飛べばいいだろう。』
『いいこと、私たちは今人間なのよ。生きてるの!能天気な龍種じゃないのよ!』
【あとがき】
月の裏側……。
0
あなたにおすすめの小説
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる