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第二章 国交

魔法師チーム

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「では、黄色と赤のリングについてご説明します。
黄色には二つの魔法が入っています。
一つ目は幻覚魔法の応用で、自分以外を敵に見せるものです。
次に地軸のゆがみという魔法で無属性です。まだ、内容が解明できていないのですが、方向感覚を狂わせます。
耳を塞いでいれば防衛できるので、おそらくは音に作用していると思われます。
この二つで、同士討ちを狙います。
自分で食らってみたのですが、5分ほどはクラクラしてまともに魔法を打てません。
最後に赤のリングです。
ここに書き込んだ魔法は、ウィンドカッター3連発です」

「3連発だと!」

「そうです。
一度魔力を流すたびに3連で発射します。
これで、相手の障壁は消えます。
下手をすれば、3発目が敵を切断します。
しかも、初期設定で照準補正がかかっていますから、外れることはありません。
3連発を連続で発動することも可能です。
以上です。
質問はないですよね」

「逆に、うちが喰らったらどうなる」

「左手に魔力を流している限り、破られた障壁は瞬時に復元されます」

「血を見るのが好きなら、使ってみろってか……」

「まあ、赤は切り札だと思ってください」

「最後に、魔道具師チームの攻撃ですが、敵陣に土砂降りの雨を降らせて、周囲を10mの土塀で囲みます。
この間、並行して幻影魔法を放ち、その直後にアースシェイクとラージホールという土魔法を仕掛けます。
敵陣は10m沈むので、ここから脱出するには20mの壁を越えなければなりません。そこへ雷を落とします。地面は濡れているので広範囲に効果がでます。
それでも降伏しない場合、太陽の光を使って灼熱地獄を仕掛けます。
これが、全体的な流れですが、その他に3cmの鉄球を3連続で打ち出す道具を5セット用意します。これは、最初から浮遊もしくは飛行を使ってきた場合の対策です。
以上ですが如何でしょうか」

「その攻撃は誰がやるんだ」

「3国が、違う方向から攻めてくることを想定して、俺とシェリーとジュリが単独で仕掛けます。
ノルンは全体を見ながら効果が薄い方面に応援で入る形です」

「俺たちの出番は?」

「飛んでいる敵の対応と、できれば土壁から出てこないようにしていただきたいのですが」

「敵が魔道具を使ってこない限り、障壁を張っている最中に土砂降りになって魔法は中断。
進軍してくる歩兵は塀で囲まれて地震で揺らされて、10m落下。
早ければこの時点で降伏だろうな」

「指揮官まで穴に落下すると、白旗なんか上げられないぞ」

「そこは、私たちメイドチームがジャッジしますからご安心ください。
みなさんに無益な人殺しはさせませんから」

「それなら、思い切り力を発揮できるな。
ところで、自分の魔法を使って攻撃してもいいんだろ」

「そこは存分にどうぞ。
防御のリングだけ発動していただければ、攻撃のリングを使うかは皆さんの判断にお任せします」

「なあ、この間お前たちが打ち合ってた空砲の魔法があるだろ」

「はい」

「俺の黄色のリングはあれに変えてくれないか。
あれって、魔法を撃ってるって気分になるだろ」

「確かに気持ちいいですね。でも、多分防御されますけど、いいんですか?」

「そしたら、ウィンドカッターで障壁を打ち抜くさ。
だが、……ウィンドカッターは単発でいいんじゃないか?
様子を見ながら撃った方がいいと思うんだけどな」

「ああ、空砲で様子を見て障壁を張られていたらウィンドカッターで打ち抜く。
そうすれば、無駄な血を見ないでもすむからな。
わしも、そうしてもらおうか」

「「「俺もそうしてくれ」」」

 結局全員分を書き換えることになりました。

「じゃあ、今日中に書き換えますから、今日は防御のリングだけ試験してもらって、攻撃用は明日お願いします」

「じゃあ、今日のところは自前の攻撃魔法で飛行を併用した実践訓練だ。
いくぞ!」

「「「おお!」」」

「効果9倍なのを忘れないでくださいよ。
間違っても城に向けて魔法を撃たないでくださいね」

「大丈夫。私が城に障壁をはっておきますから」

「あと、魔道具チームの攻撃も見ておきたいんだが」

「あっ、私がやりますから皆さんはリングの書き換えを続けてください」

「だったら、最後の灼熱を浴びると空気が入らなくなりますから、注意してください」

「おお」

「なんか、魔法師チーム……、楽しそう」

「だけど、意外と抵抗なく使ってくれそうだな」

 遠くからドーンドーンと爆音が聞こえてきます。

「この3週間、単調な訓練の連続だったからな。そのストレスを発散してるんだろう」

「俺もテスターばっかりだったからな、誰か俺のストレスを発散させてくれねえかな……」

「あら、私でよかったら」

「やめれくれ!ジュリに手を出すほど愚かじゃねえよ」

「でも、お姉さんに手を出すのはまずいでしょ」

「冗談でもやめてくれ!」


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