魔導師の記憶

モモん

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第二章

第18話 砂漠の国

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 売買契約書は、領事であるコットンとカラータ帝国の軍事大臣によるものだった。

「これが違法だという事は認識されていますよね。」
「おれは、そんな契約は知らん!これは、罠だ!」
「金貨300万枚はどこですか?」
「知らん!」
「仕方ないですね。お嬢さま。確認できますか?」
「うーん、ここにはまとまった金貨はないわね。ちょっと待ってね、今、こいつの自宅を調べているから。」

 サーチで調べたところ、コットンの自宅から金貨100万枚が出てきました。

「残りはどこにあるんですか?」
「知らん!そんな金は知らん!」
「じゃあ、ご自宅の地下にしまってあったこの金貨はどうしたんですか?」
「これは、先代の遺産と自分で貯めた金だ。」

 ミーシャの追及は続く。

「王都に本宅がありますよね。」
「……。」
「そちらも調べましょう。飛行艇を買い戻すのに必要ですからね。」

 領主に確認したが、何も知らないといい、まとまった金貨もなかった。

 コットン領事を縛り上げたうえで催眠の魔法で眠らせ、王都に飛んで宰相に状況を説明した。

「何ということを……。」
「これから本宅へ行って、金貨を隠し持っていないか確認したいと思います。」
「当然だ。ラングーン、リサ様に同行しろ。」

 コットンを衛兵にわたし、本宅をサーチして馬車で向かう。

「そうそう、おじ様。」
「なんだ。」
「本当に塩対応なんだから。そのうちバチがあたりますよ。」
「神は信じていない。」
「はあ。竜人によって飛行艇が動かなくなった件、再現できました。」
「なに!」
「発動中の魔法に”龍の魔力”をぶつけると、魔法石もしくは魔法回路が破壊され、魔法は中断しました。」
「龍の魔力だと!」
「はい。ほとんどの人間に備わっている魔力とは波長が違い、おそらくは竜人の使っている魔力です。」
「再現できたということは、お前にもその魔力が……。」
「あります。そして、ドラゴンで試したところ、魔法回路が焼失し、即死しました。」
「人間は?」
「この年で、殺人はしたくないですね。」

 コットン領事の本宅でサーチしたところ、地下室から金貨180万枚を発見した。
 ラングーンさんが夫人に確認します。

「ご主人に横領の疑いがかかっている。この金貨はどうした?」
「……。」
「正直に答えないと、同罪とみなして投獄するぞ。」
「ひぃ……、10日程前に主人が持ち帰りました。」
「それで、最近大きな買い物をしたか?」
「は、はい。宝石と香水を少し……。」
「金貨20万枚が、少しかよ。」
「主人に、好きなものを買えといわれ……、それと息子の武具を……。」
「……コットン……、ああ、あいつか。」
「ご存じなんですか?」
「実力もないくせに、不相応な剣と鎧を自慢してたな。見てくれだけの武具をな。」

 結局、回収できた金貨は280万枚でした。

「それで、どうするのだ?」
「今日はもう遅いので、明日カラータ帝国に行って、軍事大臣と買戻しの交渉を行ってきます。」
「不足分の金貨はどうする。」
「とりあえず立て替えておきます。」
「金貨20万枚を3才の娘が……かよ。だが、向こうもおいそれとは応じないだろう。」
「最悪の場合は、私の所有分だけ回収ししてますよ。」
「所有分って、魔法石とミスリル銀だよな。」
「はい。その通りです。」
「それがないと、飛ばないよな。」
「そうですね。」
「はあ、仕方ない……、腹をくくるか。」
「お世話になります。」
「サラ王女は、名目上義理の娘だからな。お前さんはわしの孫だしな。」
「お爺ちゃん……。」
「その代わり、万一の場合は、全面的にバックアップしてくれよな。」
「当然ですわ。許可があればカラータの城をペチャンコにしてきますわ。」
「リサがいうと、冗談に聞こえないからなぁ。」
「あら、ミーシャでもそれくらいできますわよ。」
「おい!メイドに変なもの仕込むんじゃねえよ。」
「あら、おじ様。それくらいはメイドの嗜みですわよ。」
「メイドがそんなもの嗜んでたら、軍なんざ必要なくなっちまうだろ!」
「おじ様、失業ですわね。よろしければ、うちで働き……。」
「働かねえよ!」

 翌日、王都に顔を出してから西のカラータ帝国に向かいます。

「ホントについていかなくて大丈夫か?」
「ええ。おじ様が一緒だと、向こうもガチになってしまうでしょ。」
「まあな。3才のガキとメイド相手に本気になったら、笑いモンになっちまうからな。」
「でも、こんな二人に壊滅させられた国っていうのも見たくないですか?」
「兵士ってのは、毎日厳しい訓練に耐えてんだ。そういう可哀そうなことはカンベンしてくれよ。」

 とりあえず、カラータ帝国の王都に向かうため、一度セレスティアに立ち寄ってから、王都の場所を確認して西に飛びます。

「カラータって砂漠が多いのね。」
「そうですね。これだけ広い砂漠は初めてみました。」
「えっ、あれって生き物なの……。」
「ずいぶん大きいですね。30mくらいあるんでしょうか。」
「ヘビなのかな、それともミミズ?どっちにしても、食欲はわかないわね。」
「素材や魔法石はどうなんでしょうかね。」
「皮は使えるかもしれないわね。船の帆とか。だけど、こんな土地では作物も育たないし、住民にとっては厳しい環境よね。」
「他から奪わなければ生きていけない……と……。」
「この国が好戦的な理由かのしれないわね。」
「このような国を豊かにするにはどうしたら良いのでしょうか……。」
「方法なんていくらでもありますよ。例えば、乾燥に強い植物を探して植えていくとか鉱物資源を探すとか、短絡的な対応ではなく長期的な視点で対応していけば解決策は見つかるはずです。」
「以前おっしゃっていた、木を切ったら植樹するというのも同じですね。」
「そうよ。こんなの、短期間でどうこうできるわけがないじゃない。それこそ、100年後、200年後を見据えた取り組みが必要だわ。」
「でも、目先の問題を何とかしないと住民の支持は得られませんよね。」
「だから、短絡的な事しか考えない政治家が支持されてきたの。この砂漠は、愚かな民族意識の象徴よね。」
「でも、今を選択する事しかできない民衆の気持ちも分かる気がします。」
「それが、自分本位の考え方よ。多分、この国は奴隷が多いと思うのよ。貧富の差も激しく、差別も多いわよ。」

 王都に到着した。
 上空から見た王都は、城を中心におそらく貴族の立派な屋敷が並び、その外側はおそらく商業区であろう活気のある黄木があり、その外側の住宅は貧相な建物が密集している。
 更に、城壁の外側には建物ともよべない程度の居住区域が広がっていた。

「何ですかコレ……。」
「貴族至上主義の典型みたいな町ね。これで、貴族を叩き潰しても、次にできる政権は同じような体制になると思うわ。」
「どうしたら良いのですか?」
「一度滅びるしかないんじゃない。」
「そんな……。」
「力を持ったカリスマ的存在がこの体制を壊して王になれば……、一人じゃ無理かな。賛同する優秀なスタッフが10人くらいいれば、何とかできるかもしれないわね。」
「力を持ったカリスマ……お嬢さましか思いつきません!」
「あんたは、3才の少女に何を期待してるのよ。」
「カリスマ的女王陛下です。」
「私じゃ無理よ。そうだな、例えばおじ様ならいけるかもしれないわね。」


【あとがき】
 サンドワーム……、何をたべているんでしょう。
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