魔法指導師 -異世界職業斡旋所-

モモん

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第一章 勇者ロンド

第8話 治療魔法……いえ、姫様 拷問のお時間です

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「まず、状態を把握するのに探知魔法を使う。」

「患者を魔力で包んで状態の把握ですね。」

「人体の知識があるお前なら、簡単に把握できるだろう。一番多いのは怪我で、これは傷ついた部位の血管や皮膚を復元して、内部に残った出血跡を浄化の魔法で消してやる。」

「浄化ですか。」

「ああ、浄化は便利だぞ。身体の汚れも落とせるし、病気の元になる菌やウィルスの除去にも使えるからな。」

「骨折も復元で対応できるんですか?」

「ああ、そうだ。だが、失った血を補充する事はできん。これは栄養を摂らせて休息する必要があるのだが、身体の機能を活性化してやれば回復も早くなるし、食べたものの消化や吸収も早くなる。」

「師匠、蘇生の魔法とかないんですか?」

「お前は魔法を何だと思っている。魔法はゼロを100にできるような便利なものじゃないぞ。」

「そ、そうですよね。」

「だが、10を90にするのならば可能かもしれん。」

「えっ?」

「死因となった原因を取り除いて心臓を動かしてやれば、蘇生する確率は高まるだろう。その場合でも、心肺停止から1分以内。遅くとも3分以内が望ましい。」

「それは……」

「医療系のドラマで見た。5分経過すると、救命率は25%まで低下するそうだ。」

「最後の手段は、魔法じゃなくてそこで充電されているAED(自動体外式除細動器)って事ですか。」

「体内に土魔法は使えないからな。本当は心臓マッサージの魔法を編み出してやりたいんだが、今のところそんな魔法は思いつかん。」

「分かりました。それで、覚える順番は?」

「これが浄化・復元・活性化の呪文だ。全部同時に覚えろ。」

「……浄化と活性化は練習できますけど、復元はどうすれば……」

「やりかたはいくらでもあるだろ。ナイフで足を切るとか……」

「イヤです!」

「体中を掻きむしるとか……」

「怖すぎます!」

「裸で森の中を走り回る。」

「変態ですか!」

「魔物にワザとやられる。」

「痛いです!」

「ったく、チキンめ。チェリーでチキンでは、もてんぞ。仕方ない、メイドたちにやらせるか。」

「えっ?」

「自分で出来んのだから仕方あるまい。」

「そんな……」

「ほら、全裸とは言わんからパンツ1枚になれ。」

「えっ?」

 ロンドは3人のメイドによって服を脱がされ、後ろ手に手錠をかけられてしまった。

「な、何を……」

「ん?全裸の方が良かったか?」

「そうじゃなくて、何でこんな恰好を……」

「治療魔法の訓練だと言っただろ。」

 そしてロンドは地下室に連れていかれた。
 手錠は外されてホッとしたのも束の間、両方の手首と足首に枷をつけられて、石でできた壁に繋がれてしまった。
 その部屋には様々な拷問器具が置かれており、壁には幾種類ものムチが飾られている。

「な、何ですかここは……」

「お前のようなチキンは多いからな。回復術を覚えさせるために金を使ったのだよ。」

「アリシア様、お着替えはどうされますか?」

「そうだったな。やはりここを使うからには、恰好が大事だからな。ほらいくぞ、お前たちも着替えるのだろう。」

「はい。」 「当然でございます。」 「久しぶりですわ。」

 心なしか、3人のメイドの声は楽しそうだった。

 数分後、4人は階段を降りてきた。

「し、師匠……その恰好は……」

 その瞬間、ミサトが鞭を振った。
 西部劇とかで使う長いものではなく、競馬のジョッキーが使う短いやつだ。
 そのムチがロンドの手をピシッと打ち据え、ロンドが悲鳴をあげる。

「師匠ではない!姫さまだ!」

「ヒメ……さま……」

 アリシアは、エナメルで丈の長い黒ワンピースを着ており、サイドに腰までの深いスリットが入っている。
 ソレガ、目の部分だけを隠す黒い仮面をつけている。
 ミサトはワンピース水着のような黒のボンテージで、キャットウーマンのような耳付きの覆面をしている。
 アスカは真っ赤なボンテージで、こちらは仮面舞踏会を思わせる目を隠すマスクをつけている。
 そしてなぜか、レイは白の下着姿だ。
 
「そのムチでは、赤く腫れあがるだけで、復元の訓練にならんな。」

「では、こちらのムチを使いましょう。」

 ミサトが壁に固定されていたムチを手にする。
 先端に金属の鋲が撃ち込まれており、見るからにヤバそうなヤツだ。

「私はこっちにするわ。」

 アスカの選択は、黒い革袋に砂を詰めて鋲を打ったものだ。

「姫様は如何なさいますか?」

「私は自前の爪を使うから大丈夫よ。」

「では、試してみましょう。」

 ミサトがムチをピシリと振るうと、レイの背中に3条の赤い筋が入り、血がにじんでくる。
 レイは悲鳴をあげて前にある木馬に倒れこむ。
 その木馬も、背中というか胴体が三角形になっており、頂点が上になっている三角木馬という拷問器具だ。

「な、何を……」

「ほら、早く治療してやらないとレイが苦しむぞ。」

「正面の壁に貼ってあるだろ。2番目の呪文だ。」

「……全能なる孔雀院アリシア様に……」

「魔力はちゃんとレイの傷口に向けろよ。」

「あっ……」

 復元の呪文が効力を発し、レイの傷が消えていく。

「では、本番といこうか。」

 アリシアの言葉にあわせて、ミサトとアスカがレイを木馬に乗せる。

「ああっ!」

「な、何ですかそれ……」

「魔力の流れを乱す特殊な鉱石を埋め込んである木馬だよ。」

「そうじゃなくて!そんなところに乗せたら、……女の人の大事なところ……」

「まあ、そっちの手当も必要だな。じゃあ、いくぞ。」

 それからロンドとレイに対して、交互にムチた打たれ、その都度ロンドが治療を行う。
 部屋に、ムチを打つ音と二人の悲鳴が交互に響いている。

「レ、レイさんは関係ないだろ……」

「それは、お前が自分で傷つける事を拒んだからだよ。」

「だ、だからってレイさんは……」

「レイは、こういう事で快感を得る性癖なんだ。」

「ち、違います!」

「うるさい!口ごたえをするんじゃない!」

 また、ひときわ大きい音がする。
 魔法で傷は塞がるのだが、肌には赤黒く変色した跡が残りそれがレイの白い肌を穢している。
 そして、糞尿は浄化の魔法で処理させられ、食事と睡眠の間も枷が解かれる事はなかった。

 睡眠のために3人が引き上げたところで、ロンドはレイに話しかける。

「レイさん、大丈夫ですか?」

「は……い。」

「痛むところはありませんか?」

「こ、股間の痛みが……」

「あっ、すぐに復元の魔法をかけます!」

 ロンドはレイの股間に魔力を集中して復元の呪文を唱える。

「何で、こんな仕打ちを……」

「3人共、潜在的に残虐性をもっているんです。」

「だからって、レイさんにこんな仕打ちをするなんて、俺には理解できません……」

「私は……どちらかといえば失敗作なんです。」

「失敗作?」

「胸は少し膨らんでいますが、乳首がないですし……、匂いを感じる事も出来ません。」

「そんな事、大した問題じゃ……」

「魔力も他の二人に比べて半分くらいしかありませんし、自然回復もできません。だから、アスカとミサトがアリシア様に買われた時に、おまけでついてきたサービス品なんです。」

「買われた!」

「……はい。ホムンクルスは商品ですから。」

「そんな……」

「魔法で作られた疑似生物ですから、売買されるのは当然なんです。所有者登録されれば、どんな命令にも従いますし、逃げ出す事はありません。何より老化しませんから。」


【あとがき】
 ホムンクルスの真実
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