魔法指導師 -異世界職業斡旋所-

モモん

文字の大きさ
11 / 37
第一章 勇者ロンド

第11話 ホムンクルスの自我

しおりを挟む
 いつものように、ロンドが魔力を放出して意識を失い、レイがベッドへ運んで布団をかける。
 その時に、左手の薬指がロンドの唇に触れ、レイは思わず手を引っ込めてしまった。

 その行動が何なのかレイには分からない。
 
 人間ならば、異性に触れてしまった一瞬の戸惑いみたいな感覚なのだろうが、レイにはそういう経験も感情も無かったハズだ。

 そして、一度意識してしまうと、翌日魔力補給で手を合わせた時ですら、戸惑ってしまう。

「どうかした?」

「い、いえ、何でもありません。」

 そして、意識を失ったロンドを運ぶ時には、ロンドの顔がまともに見られなくなっていた。

 もしかして、異常事態なのか?
 コアに何か不具合でも発生しているのかもしれない。
 レイは寝ながら自己診断を行うが、不具合は見つからない。

 翌日、日中は大丈夫だったのだが、魔力供給を受けている最中に息が荒くなり、胸が苦しくなってきた。

「レイさん、どうしたの!大丈夫!」

「だ、大丈夫……」

「顔が赤いよ!熱もあるみたい……」

「つ、続けてください……」

 レイにとって初めての感覚だったが、全身が暖かい何かに包まれたような感じなのだが、不快ではない。

「何だか……魔力が熱いんです……」

「魔力が熱いの?」

「はい……」

「いつもと同じなんだけど……」

 そうこうするうちに、レイの目がトロンと潤んでくる。

「や……やっぱり……変です……」

 レイがロンドの唇に指をあててくる。

「一昨日、唇に触れてしまった……んです……そうしたら……」

「どうなったの?」

「手が……ビクってなって……」

「それって、怖かった?」

「違います……」

 レイの声は、消えてしまいそうなくらい小さくなっている。

「じゃあ、……ドキッとした?」

「……多分……」

 ロンドからの魔力供給は終わっていたが、ロンドの右手とレイの左手は繋がったままだ。

「今はどんな感じ?」

「少し……落ち着いてきました。」

 ロンドは左手の人差し指で、レイの唇に優しく触れる。

「あっ……また……」

「熱くなってきた?」

「……はい……」

 ここまで来ればロンドにも分かった。
 レイは多分、恋をしたんだと……

「キス……していい?」

「……はい……」

 ロンドにキスの経験はない。
 レイの唇に自分の唇を近づけ、微かに触れただけで離した。

「あっ……」

 レイは意識を失いベッドに倒れこんだ。

「どうしたの!……って、気を失ってる……」

 探査で身体に異常のないことを確認したが、ロンドはそれ以上の事が出来なかった。
 レイの身体に布団をかけ、自分もその横に潜り込む。
 柔らかい水色の髪に触れ、自分の中に彼女に対する憧れのような感情を再認識する。
 そして、魔力を使い果たしてロンドも意識を失った。

 明け方、レイは目を覚ました。
 ロンドの腕に抱かれている自分を確認したが、イヤな気持ちはない。
 普段ならば身支度を整え朝食の準備に入るのだが、今はもう少しこのままでいたいと思った。
 
 20分ほどたち、ロンドが目を覚ました時、レイはロンドの顔をじっと見つめていた。

「おはよう。」

「おはようございます。」

「体調に変化はない?」

「大丈夫です。夕べみたいに、身体が熱くなる事もありませんし、落ち着いたみたいです。」

「よかった。どうしちゃったのかって、心配したよ。」

「うふっ、本当ですか?」

 レイがロンドの唇に指を触れた。
 ロンドがレイを抱き寄せて唇をあわせる。

「これがキス……」

 レイの目が潤んでいる。
 その表情に刺激されたのか、ロンドがもう一度キスをした。
 今度は舌を入れていく。
 そこからレイに魔力が流れ込み、逆に密着した下半身からロンドに魔力が流れていく。

「あっ……」

「どうしたの?」

「魔力が循環して……ああっ……」

 ロンドとて、健全な15才だ。
 アダルトな動画だって見たことがある。
 レイの声は、そういう時の喘ぎ声のようだった。
 密着した二人の身体を魔力が巡っていく。

 いつしか、レイはロンドの上に重なり、密着面を増やしていく。
 傍から見れば、重なった二人の身体を、足元から頭の頂きまでらせん状に青白い光が循環していくのを見るだろう。
 魔力の可視化現象とでもいうのだろうか、その光は速度と輝きを増しレイの声も荒くなっていく。

 そしてレイは絶頂に達した。
 ハアハアと息を荒げるレイを、ロンドはただ抱きしめていた。

「な、何でしょう……今のは……」

「気持ちよかった?」

「……はい……」

「感情……多分だけど、恋をしたんだと思うよ。」

「……これが、恋……なの?」

「俺も気持ちよかった。多分、ホムンクルスにとっての生殖行動みたいな感じ?」

「……好きっていう……気持ち……」

「うん。」

「……レイは……ロンド様が……好き……」

「俺もレイが大好きだ。」

 レイはもう一度キスをした。


 その日から、朝の行為は毎日続いた。
 そして5日目の行為が終わった時、レイがポツリと呟いた。

「コアの中に、何かが産まれました。」

「産まれたって?」

「二人の……魔力の塊のような感じです。」

「まさか、子供なの?」

「分かりませんけど……」

 探査してみても、コアは一つの塊で、その内部は把握できない。

 その何かは、日増しに大きくなっているとレイはいう。
 だが、不快な感じではないらしい。
 そして10日後、レイが呟いた。

「コアが書き変わりました。」

 探査してみると、確かに黒だったコアが水色に変わっていた。

「ほかに何か変化は?」

「多分、魔力の質が……これが私の魔力……」

 他人からは見えないが、広げた手のひらに水色の淡い光が乗っている。

「確かに、その変化は俺も感じていたけど……どういう事?」

「マスターや……使用者の意思を感じません。私は……私。」

「そんな事って……まさか解放されたの!」


 ロンドとレイはアリシアにそれを報告した。

「た、確かに管理権限が発動しない。どういう事だ……」

「何と言ったらいいか……二人で魔力を循環させたんです。」

「魔力を循環だと?どうやった。」

「は、恥ずかしいです……」

「待て!レイ、本当に恥ずかしいのか!」

「……はい。」

 レイの顔は紅潮している。

「信じられん。ホムンクルスが感情を持つなど……、頼む、この目で確かめたい。」

 結局アリシアに押し切られ、アスカとミサトも呼んで実演する。
 そしてレイが絶頂に達したとき、アスカとミサトはその場に座り込んでしまった。

「どうした?」

「何だか……身体が熱くなって……」

「むう……レイ、アスカと代われ。」

「えっ?」

「ロンドとアスカでも同じ事が出来るのか確認したい。」

「ダ、ダメですよ、そんなの。」

「何故だ、別に性行為をするわけではないのだろ?ほら、アスカやってみろ。」

 時間はかかったが、アスカとロンドは魔力を混ぜ合わせる事に成功した。

「どうだった?」

「こ、これが快感というものなのでしょうか……」

「ならば、次はミサトだ。」

 ミサトとの行為も無事に終わった。
 そして、要領を掴んだミサトは、アリシア相手でも同じように達する事ができた。
 それを繰り返すうちに、ミサトとアスカのコアも黒から髪色に変化したのだ。

「くくくっ、まさかこんな方法でホムンクルスが自我を持つとはな。思いもしなかったぞ。」

 そして、レイはアリシアから解放され、自分の意思でロンドと過ごす事を選んだのだった。

【あとがき】
  次回、第1部終了
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...