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スライムショット
正式採用
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給水器は簡単に話しがまとまったが、魔導ストーブは検討が必要だった。
スタッフを返した後で、俺は王女と二人きりになった。
「何で……あんな事をした……」
「イヤ……だったの?」
「そうじゃない……だけど……」
「もっと、したいの?」
「……」
「キスしたい?」
「……ああ。」
王女は俺に優しくキスしてくれた。
「キスしたいとか、触れて気持ちよくなりたいっていう気持ちの先に、相手のことを大切にしたいっていう気持ちがあるの。」
「えっ?」
「でも、私は、女である前に王女なのよ。」
「……?」
「自分が幸せになる事よりも、国民が喜ぶ姿をみたいの……」
「俺は……どうすれば……いい?」
「わたしの事を、欲しいって思ってくれる?」
「……ああ。」
「だったら……私を嫁にできるだけの……人になってください……」
俺は顔をあげて王女の目を見た。
奇麗なグリーンの瞳が涙で潤んでいた……
「……分かった……やって……やる。」
俺は王女と宰相とエリザベスと共に、陛下に面会した。
「どうした、変わった取り合わせだな。」
「お父様、私はガルラと二人で禁書庫にあった魔法陣の資料を勉強し、これから世に出していこうと思っています。」
「魔法陣だと?」
「はい。武器としてではなく、国民の生活を向上させるための道具をガルラと一緒に考えていきます。」
「ガルラ、手を貸してくれるのか?」
「全力で、王女様を支えます。」
「ふむ。何があったのかは聞かんが、頼もしい味方が出来たという事だな。」
「そういう事ですわ。」
「宰相が同行してるという事は、具体的に道具が完成したという事か?」
「はい。先ほど王女様から説明され、これならば一刻も早く市場に出すべきだと実感いたしました。」
「ほう。お前がそこまで言うとは、馬車以上に驚かせてくれるのだな。」
「いえ、あまりにも生活に直結しすぎていますので、陛下や私にとっては拍子抜けする品かと存じます。」
「これが、魔法陣を使った給水器になります。」
「待て待て、これのどこが魔法陣を使った道具なのだ。10cm四方の箱にパイプが付いただけの……」
「陛下、おそれながら、魔法陣は大きさに左右されません。必要最小限の大きさで、しかも使用者の魔力を使いますから、費用も最小限で済みます。」
「そこは私が補足させていただきます。総務局に統計をとらせたところ、国民の約半分は魔力を持っていると確認できています。」
「ほう。それで、給水器という事は、これから水が出るというのかよ。」
「はい、このように。」
俺は給水器を作動させて、ツボに水を出して見せた。
「だが、水なら井戸からいくらでも汲みだせるだろう。」
「お父様、それは、誰が汲んでいるかご存じですか?」
「メイドや料理人達であろう。」
「井戸で水汲みをしているのは、殆どが女や子供です。1年中欠かさずに、5m下にある井戸の水をロープで引っ張って汲んでいます。」
「王都10万世帯で、平均して桶5杯の水を使っています。町中ですと、何か所かに掘られた井戸から汲み上げて、その水を家まで運ぶ作業もございます。」
「では、お父様にやっていただきましょう。」
「何をだ?」
「このツボに井戸から水を汲み上げて、ここまで運んでください。」
「ば、バカな!何で俺が!」
「はぁ、喉が乾いちゃった。お茶が飲みたいなぁ……って、一日何回おっしゃいますか?」
「……分かった。その有効性は理解した。それで、どうやって普及させるのだ。」
「商業ギルドで量産化の手配をしています。販売価格は銀貨2枚。」
「バカな、それでは利益が出ないだろう。」
「材料費と職人の手間賃は確保できます。」
「開発者とギルドの利益はどうするのだ?」
「私とガルラは開発者の権利を放棄しました。ギルドもライボで儲けたので、僅かな手数料で受けてくれました。」
「貴族の屋敷へは、洗い桶とセットで売り込むそうです。そこでは収益を出すそうですが……」
「宰相、その顔は……お前の屋敷には既に敷設したのか?」
「給水器だけではありませんが、ガルラを家に入れた事で、メイドからの待遇が格段に良くなりましたぞ。」
「私も宰相のお屋敷に居候させてもらっていますが、メイドさんが明るくなりましたね。」
「汲みおきの水と比べると、新鮮な感じがするのよね。」
「分かった、それで俺は何をすればいい?」
「給水器を全面的に推奨するという文書にご署名を。原稿はエリザベスが作成いたします。」
「それだけでいいのか?」
「人前に出られる時は、給水器の宣伝をお願いします。」
「ふん、その程度は自分でやれ。機会は与えてやる。」
こうして、給水器は一気に国中へ広まっていった。
そして考案者としてのシャイ王女も国民の尊敬を集めていった。
俺は、ひたすらに魔法陣の解明に明け暮れている。
「おい、これを見ろ。」
「私が見たって分からないわよ!」
「火や氷じゃなく、温度を上げたり下げたりする魔法陣があるんだよ。」
「えっ?攻撃魔法じゃないの?」
「この魔法陣自体は、広域の空間を加熱したり冷却して、生物だけを殺すためのものなんだ。」
「それをどう使うの?」
「半径3mを常に一定の温度に固定してやって、部屋の空気を循環させればいいんじゃねえか。」
「何だか、この屋敷だけ天国になってるんじゃない?」
「城にも導入してやるよ。」
この室温固定器は装飾品的な意味をもたせて、半透明なコウスラをドーム状にして完成させた。
全方向への微風を出す機能もついている。
これには、ギルドの要望を受けて、作用範囲と設定温度をダイヤルで調整できるようにしてやった。
当然だが、馬車にも積んである。
「これ、お湯を出す事もできるな。」
「あっ、厨房ね!」
「それもあるが、貴族街にある浴場を一般街にも作ってやる。」
「でも、浴場って男しか使えないわよ。」
「安心しろ。女用の浴室を別に作ってやるさ。」
「でも、浴場なんて使うかしら?」
「禁書庫にあった資料によると、浴場で体を温めると血の巡りがよくなるから体にいいみたいだ。」
「男の人は力仕事とか訓練で汗をかくけど、女はそういう事しないからなあ。」
「ふふふっ、肌をしっとりとさせてくれるオイルとか、美白効果のあるオイルが存在するらしい。」
「何それ……」
「風呂に入って、肌がしっとりした状態でオイルを塗りこむと効果が高いらしいぞ。」
俺は宰相の許可をとって、屋敷の敷地にコウスラで広めの建屋を作った。
その中に石材屋から安く仕入れてきた大理石をフォーミングして大きな浴槽を作る。
そこに女神像の持つツボからゴボゴボと湯が湧き出て浴槽を満たしていく。
こぼれた湯は、そのまま排水溝へ流れていく。
髪を洗うために、如雨露の形状で湯が出てくる道具も設置してある。
そして、脱衣室の隣に設置したマッサージ室だ。
寝台を3つ設置し、調油用のカウンターを作った。
当然だが、室温は少し高めに設定し、裸でマッサージが受けられるようにしてある。
美容オイルについては、文献にあった木の根や木の実、果実の種等から成分を抽出してガラス瓶に詰めてある。
それぞれ効能が違うため、肌の状態に応じて配分を変えて混ぜたものが美容液となる。
宰相の屋敷にはメイドさん以外の女性がいない。
奥さんは他界しており、二人の娘は既に嫁いでいる。
だから、試してもらうのは、王女とメイドさんそれにエリザベスさんとギルド職員のローズさんだ。
オイルはアレルギーの出る人もいるらしいので、試しに少しだけつけてもらって、問題ないことが確認できたものをブレンドして使ってもらう。
だが、残念な事に、俺は浴場から締め出されてしまった。
開発者として効果を確認する必要があるのに……
【あとがき】
浴場編開始
スタッフを返した後で、俺は王女と二人きりになった。
「何で……あんな事をした……」
「イヤ……だったの?」
「そうじゃない……だけど……」
「もっと、したいの?」
「……」
「キスしたい?」
「……ああ。」
王女は俺に優しくキスしてくれた。
「キスしたいとか、触れて気持ちよくなりたいっていう気持ちの先に、相手のことを大切にしたいっていう気持ちがあるの。」
「えっ?」
「でも、私は、女である前に王女なのよ。」
「……?」
「自分が幸せになる事よりも、国民が喜ぶ姿をみたいの……」
「俺は……どうすれば……いい?」
「わたしの事を、欲しいって思ってくれる?」
「……ああ。」
「だったら……私を嫁にできるだけの……人になってください……」
俺は顔をあげて王女の目を見た。
奇麗なグリーンの瞳が涙で潤んでいた……
「……分かった……やって……やる。」
俺は王女と宰相とエリザベスと共に、陛下に面会した。
「どうした、変わった取り合わせだな。」
「お父様、私はガルラと二人で禁書庫にあった魔法陣の資料を勉強し、これから世に出していこうと思っています。」
「魔法陣だと?」
「はい。武器としてではなく、国民の生活を向上させるための道具をガルラと一緒に考えていきます。」
「ガルラ、手を貸してくれるのか?」
「全力で、王女様を支えます。」
「ふむ。何があったのかは聞かんが、頼もしい味方が出来たという事だな。」
「そういう事ですわ。」
「宰相が同行してるという事は、具体的に道具が完成したという事か?」
「はい。先ほど王女様から説明され、これならば一刻も早く市場に出すべきだと実感いたしました。」
「ほう。お前がそこまで言うとは、馬車以上に驚かせてくれるのだな。」
「いえ、あまりにも生活に直結しすぎていますので、陛下や私にとっては拍子抜けする品かと存じます。」
「これが、魔法陣を使った給水器になります。」
「待て待て、これのどこが魔法陣を使った道具なのだ。10cm四方の箱にパイプが付いただけの……」
「陛下、おそれながら、魔法陣は大きさに左右されません。必要最小限の大きさで、しかも使用者の魔力を使いますから、費用も最小限で済みます。」
「そこは私が補足させていただきます。総務局に統計をとらせたところ、国民の約半分は魔力を持っていると確認できています。」
「ほう。それで、給水器という事は、これから水が出るというのかよ。」
「はい、このように。」
俺は給水器を作動させて、ツボに水を出して見せた。
「だが、水なら井戸からいくらでも汲みだせるだろう。」
「お父様、それは、誰が汲んでいるかご存じですか?」
「メイドや料理人達であろう。」
「井戸で水汲みをしているのは、殆どが女や子供です。1年中欠かさずに、5m下にある井戸の水をロープで引っ張って汲んでいます。」
「王都10万世帯で、平均して桶5杯の水を使っています。町中ですと、何か所かに掘られた井戸から汲み上げて、その水を家まで運ぶ作業もございます。」
「では、お父様にやっていただきましょう。」
「何をだ?」
「このツボに井戸から水を汲み上げて、ここまで運んでください。」
「ば、バカな!何で俺が!」
「はぁ、喉が乾いちゃった。お茶が飲みたいなぁ……って、一日何回おっしゃいますか?」
「……分かった。その有効性は理解した。それで、どうやって普及させるのだ。」
「商業ギルドで量産化の手配をしています。販売価格は銀貨2枚。」
「バカな、それでは利益が出ないだろう。」
「材料費と職人の手間賃は確保できます。」
「開発者とギルドの利益はどうするのだ?」
「私とガルラは開発者の権利を放棄しました。ギルドもライボで儲けたので、僅かな手数料で受けてくれました。」
「貴族の屋敷へは、洗い桶とセットで売り込むそうです。そこでは収益を出すそうですが……」
「宰相、その顔は……お前の屋敷には既に敷設したのか?」
「給水器だけではありませんが、ガルラを家に入れた事で、メイドからの待遇が格段に良くなりましたぞ。」
「私も宰相のお屋敷に居候させてもらっていますが、メイドさんが明るくなりましたね。」
「汲みおきの水と比べると、新鮮な感じがするのよね。」
「分かった、それで俺は何をすればいい?」
「給水器を全面的に推奨するという文書にご署名を。原稿はエリザベスが作成いたします。」
「それだけでいいのか?」
「人前に出られる時は、給水器の宣伝をお願いします。」
「ふん、その程度は自分でやれ。機会は与えてやる。」
こうして、給水器は一気に国中へ広まっていった。
そして考案者としてのシャイ王女も国民の尊敬を集めていった。
俺は、ひたすらに魔法陣の解明に明け暮れている。
「おい、これを見ろ。」
「私が見たって分からないわよ!」
「火や氷じゃなく、温度を上げたり下げたりする魔法陣があるんだよ。」
「えっ?攻撃魔法じゃないの?」
「この魔法陣自体は、広域の空間を加熱したり冷却して、生物だけを殺すためのものなんだ。」
「それをどう使うの?」
「半径3mを常に一定の温度に固定してやって、部屋の空気を循環させればいいんじゃねえか。」
「何だか、この屋敷だけ天国になってるんじゃない?」
「城にも導入してやるよ。」
この室温固定器は装飾品的な意味をもたせて、半透明なコウスラをドーム状にして完成させた。
全方向への微風を出す機能もついている。
これには、ギルドの要望を受けて、作用範囲と設定温度をダイヤルで調整できるようにしてやった。
当然だが、馬車にも積んである。
「これ、お湯を出す事もできるな。」
「あっ、厨房ね!」
「それもあるが、貴族街にある浴場を一般街にも作ってやる。」
「でも、浴場って男しか使えないわよ。」
「安心しろ。女用の浴室を別に作ってやるさ。」
「でも、浴場なんて使うかしら?」
「禁書庫にあった資料によると、浴場で体を温めると血の巡りがよくなるから体にいいみたいだ。」
「男の人は力仕事とか訓練で汗をかくけど、女はそういう事しないからなあ。」
「ふふふっ、肌をしっとりとさせてくれるオイルとか、美白効果のあるオイルが存在するらしい。」
「何それ……」
「風呂に入って、肌がしっとりした状態でオイルを塗りこむと効果が高いらしいぞ。」
俺は宰相の許可をとって、屋敷の敷地にコウスラで広めの建屋を作った。
その中に石材屋から安く仕入れてきた大理石をフォーミングして大きな浴槽を作る。
そこに女神像の持つツボからゴボゴボと湯が湧き出て浴槽を満たしていく。
こぼれた湯は、そのまま排水溝へ流れていく。
髪を洗うために、如雨露の形状で湯が出てくる道具も設置してある。
そして、脱衣室の隣に設置したマッサージ室だ。
寝台を3つ設置し、調油用のカウンターを作った。
当然だが、室温は少し高めに設定し、裸でマッサージが受けられるようにしてある。
美容オイルについては、文献にあった木の根や木の実、果実の種等から成分を抽出してガラス瓶に詰めてある。
それぞれ効能が違うため、肌の状態に応じて配分を変えて混ぜたものが美容液となる。
宰相の屋敷にはメイドさん以外の女性がいない。
奥さんは他界しており、二人の娘は既に嫁いでいる。
だから、試してもらうのは、王女とメイドさんそれにエリザベスさんとギルド職員のローズさんだ。
オイルはアレルギーの出る人もいるらしいので、試しに少しだけつけてもらって、問題ないことが確認できたものをブレンドして使ってもらう。
だが、残念な事に、俺は浴場から締め出されてしまった。
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浴場編開始
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