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第拾章
神の座を掛けて
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神の座を掛けたプロメテウス様と最高神ゼウスによる前代未聞の戦いが始まろうとしていました。
ゼウスが最高神となる以前は実力で神を決めておりました。最高神に異を唱える者や、今回のように最高神が不要と判断した際には、その能力を持って屈服させていたのです。
今回もまた、新たなる犠牲者が現れようとしていました。
「これ程早く最高神様に我が能力をお見せする時が来るとは思っておりませんでした」
「それはこちらとて同じこと」
2人の神の戦いの火蓋が切られました。その瞬間、その場の空気が変わった。心做しか辺りの景色も変わって見える。
「この領域は・・・」
プロメテウスは少し焦りの表情を浮かべた。
「この領域を知っているのか?プロメテウスよ」
ゼウスがこの時に使った能力こそ「禁じられた能力」だったのです。この領域ないでは全ての能力は禁じられ、最高神の全能なる力によってあらゆることが現実のものとなります。
「まさか、有り得ない・・・。この歳にしてこの領域が展開できるはずが・・・。」
プロメテウスは焦りの表情を浮かべた。
「試してみるか?この領域が本物かどうか」
ゼウスがプロメテウス様に問いかけました。本来であればこの領域を展開すること自体とてつもない魔力を消費します。しかし、幼き頃より異常なまでの魔力を秘めていたゼウスにとっては下級能力と同じだったのです。
生まれながらにして他を圧倒する力を持ったゼウスは、先代のどの最高神をも凌ぐ程でした。
「プロメテウス、お前の能力は知っている。だからこそその力を封じさせてもらった。」
「しかし、その領域内では貴方も他の能力を使用できないはず」
「そう、この領域の唯一の弱点とも言えよう。だが、それは先代の最高神までの話しだ。我が魔力をもってすれば造作もない。」
「それはつまり・・・」
プロメテウスは全てを悟ったのです。自分が恐ろしい相手を敵に回してしまったこと。それと同時に自身の死を予見しました。
「私は・・・ここで、死ぬ」
「プロメテウス、お前はよくここまで働いてくれた。これまでの計らいに敬意を評して、お前の能力はこの我が使ってやろう。」
ゼウスは手のひらをプロメテウスに向けました。
「お、お待ち下さい!ゼウス様のお力、誠に感服致しました。私プロメテウス、太陽神の名に置いて。貴方様のためにこの力を持って忠義を尽くす所存でございます。」
プロメテウス様はその際に哀れにも命乞いをしたのです。ですが、ゼウスにその言葉が届くはずもなく・・・。
「言いたいことはそれだけか?滑稽だな・・・」
ゼウスは虚しさを噛み締めました。
「プロメテウス、お前の最期にふさわしい死を与えよう強奪。」
ゼウスの使った能力、それは最高神のみが扱うことを許された力。対象の相手の能力を結晶化し、奪い取る力、文字通り強奪することができるのです。
ここまでが私の知る限りでのお話となります。プロメテウス様がその後どうなったのか、私にはもう知る術はありません。
ゼウスに能力を奪われたプロメテウス、はーはーと息を荒くして立っていた。
「プロメテウス、お前の能力は我が預かっておく。ゆっくり眠るがいい。」
「ぐ、未だ・・・こんなところで、倒れる訳には・・・」
「そんな状態でもまだ向かってくるか。太陽のように熱く気高く、まさに太陽神の名にふさわしい男であった。しかし、陽はまた沈み行く定め。プロメテウス、ここがお前の眠る時だ。」
こうして我はプロメテウスを討ち取りアマテラスを太陽神の座に迎え入れる準備を終えたのだ。
しかし、今のままでは不十分な事も事実・・・。アマテラスにはまだ神として足りない要素があったのだ。
そう、神にはそれぞれに神としての絶対的な能力が備わっているもの。我であれば全知全能の力帝王を持ち、ハデスであれば命を司る力生命といったように、固有の恩恵が備わっている。
この力は産まれ持って持つ物であり、鍛えることで伸ばすことが出来ても覚醒のタイミングは個人差がある。我ら神々は人間のように長くても100年しか生きることのできない存在ではなく。力の源である恩恵が今回のように奪われるか、この体が制約により完全に滅ぶまで生きることが出来る。
つまり寿命がないのだ。それ故に、長い神で神々が誕生してからその地位を維持し続ける者もいる。
最高神のように他の神々は継承がないからである。最高神は余りにも魔力消費を有する力のために、扱うことが出来る魔力量を有する存在。老いた体では扱うことが困難とされ強制的に解放されるのだ。
この儀を行える事も行う必要があるのも最高神のみとされており、他の神にその儀式を行うことは禁忌とされてきた。
そう、今の最高神という立場であることが重要なのだ。恩恵を奪われたことでプロメテウスは間もなく存在諸共消滅するだろう。しかし、太陽神不在は余りにもリスクが大きい事も事実である。
この儀式を執り行うことは何人の目にも入れてはならず、その存在を知られることも許されない。だが、我ならば出来る。先代をも凌ぐとされる魔力があれば・・・。
そう考えた我は側近であるとある神を最高神の玉座へ招き入れた。
「よくぞ来てくれた、我が側近カオスよ」
「ゼウス様、いえ・・・先代最高神様の代よりこのカオス、側近として使わされて参りました。ご命令とあらば何なりとお申し付け下さいませ。」
「では、儀式を執り行う。ここへ呼んで貰いたい者がおるのだ。」
ゼウスが最高神となる以前は実力で神を決めておりました。最高神に異を唱える者や、今回のように最高神が不要と判断した際には、その能力を持って屈服させていたのです。
今回もまた、新たなる犠牲者が現れようとしていました。
「これ程早く最高神様に我が能力をお見せする時が来るとは思っておりませんでした」
「それはこちらとて同じこと」
2人の神の戦いの火蓋が切られました。その瞬間、その場の空気が変わった。心做しか辺りの景色も変わって見える。
「この領域は・・・」
プロメテウスは少し焦りの表情を浮かべた。
「この領域を知っているのか?プロメテウスよ」
ゼウスがこの時に使った能力こそ「禁じられた能力」だったのです。この領域ないでは全ての能力は禁じられ、最高神の全能なる力によってあらゆることが現実のものとなります。
「まさか、有り得ない・・・。この歳にしてこの領域が展開できるはずが・・・。」
プロメテウスは焦りの表情を浮かべた。
「試してみるか?この領域が本物かどうか」
ゼウスがプロメテウス様に問いかけました。本来であればこの領域を展開すること自体とてつもない魔力を消費します。しかし、幼き頃より異常なまでの魔力を秘めていたゼウスにとっては下級能力と同じだったのです。
生まれながらにして他を圧倒する力を持ったゼウスは、先代のどの最高神をも凌ぐ程でした。
「プロメテウス、お前の能力は知っている。だからこそその力を封じさせてもらった。」
「しかし、その領域内では貴方も他の能力を使用できないはず」
「そう、この領域の唯一の弱点とも言えよう。だが、それは先代の最高神までの話しだ。我が魔力をもってすれば造作もない。」
「それはつまり・・・」
プロメテウスは全てを悟ったのです。自分が恐ろしい相手を敵に回してしまったこと。それと同時に自身の死を予見しました。
「私は・・・ここで、死ぬ」
「プロメテウス、お前はよくここまで働いてくれた。これまでの計らいに敬意を評して、お前の能力はこの我が使ってやろう。」
ゼウスは手のひらをプロメテウスに向けました。
「お、お待ち下さい!ゼウス様のお力、誠に感服致しました。私プロメテウス、太陽神の名に置いて。貴方様のためにこの力を持って忠義を尽くす所存でございます。」
プロメテウス様はその際に哀れにも命乞いをしたのです。ですが、ゼウスにその言葉が届くはずもなく・・・。
「言いたいことはそれだけか?滑稽だな・・・」
ゼウスは虚しさを噛み締めました。
「プロメテウス、お前の最期にふさわしい死を与えよう強奪。」
ゼウスの使った能力、それは最高神のみが扱うことを許された力。対象の相手の能力を結晶化し、奪い取る力、文字通り強奪することができるのです。
ここまでが私の知る限りでのお話となります。プロメテウス様がその後どうなったのか、私にはもう知る術はありません。
ゼウスに能力を奪われたプロメテウス、はーはーと息を荒くして立っていた。
「プロメテウス、お前の能力は我が預かっておく。ゆっくり眠るがいい。」
「ぐ、未だ・・・こんなところで、倒れる訳には・・・」
「そんな状態でもまだ向かってくるか。太陽のように熱く気高く、まさに太陽神の名にふさわしい男であった。しかし、陽はまた沈み行く定め。プロメテウス、ここがお前の眠る時だ。」
こうして我はプロメテウスを討ち取りアマテラスを太陽神の座に迎え入れる準備を終えたのだ。
しかし、今のままでは不十分な事も事実・・・。アマテラスにはまだ神として足りない要素があったのだ。
そう、神にはそれぞれに神としての絶対的な能力が備わっているもの。我であれば全知全能の力帝王を持ち、ハデスであれば命を司る力生命といったように、固有の恩恵が備わっている。
この力は産まれ持って持つ物であり、鍛えることで伸ばすことが出来ても覚醒のタイミングは個人差がある。我ら神々は人間のように長くても100年しか生きることのできない存在ではなく。力の源である恩恵が今回のように奪われるか、この体が制約により完全に滅ぶまで生きることが出来る。
つまり寿命がないのだ。それ故に、長い神で神々が誕生してからその地位を維持し続ける者もいる。
最高神のように他の神々は継承がないからである。最高神は余りにも魔力消費を有する力のために、扱うことが出来る魔力量を有する存在。老いた体では扱うことが困難とされ強制的に解放されるのだ。
この儀を行える事も行う必要があるのも最高神のみとされており、他の神にその儀式を行うことは禁忌とされてきた。
そう、今の最高神という立場であることが重要なのだ。恩恵を奪われたことでプロメテウスは間もなく存在諸共消滅するだろう。しかし、太陽神不在は余りにもリスクが大きい事も事実である。
この儀式を執り行うことは何人の目にも入れてはならず、その存在を知られることも許されない。だが、我ならば出来る。先代をも凌ぐとされる魔力があれば・・・。
そう考えた我は側近であるとある神を最高神の玉座へ招き入れた。
「よくぞ来てくれた、我が側近カオスよ」
「ゼウス様、いえ・・・先代最高神様の代よりこのカオス、側近として使わされて参りました。ご命令とあらば何なりとお申し付け下さいませ。」
「では、儀式を執り行う。ここへ呼んで貰いたい者がおるのだ。」
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