人生ゲーム

竹内 晴

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第拾肆章

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 突如和真の雰囲気が変わり、和真が今までに言ったことのない言葉を発した。その様子に戸惑いながらも心配の様子を見せる優斗。

 「大丈夫か?悪かったな・・・。こんな話高校生のお前にすることじゃなかったよな」

 そういうといつもの笑顔に戻った優斗。その笑顔をみて少し安堵あんどする和真。

 「いつもの優斗兄に戻ったみたいでよかったよ。けど、別に迷惑なんて思ってないし、年下だからって甘くみんなよな。」

 そういうと和真が少し拗ねた様子を見せた。

 「わりーわりー。けど、ほんとに神様がいるなら不公平だよな。」

 優斗のつぶやきに沈黙する和真。しかし、和真はこの時1つ考え事をしていた。

 (さっきのはなんだったんだ・・・。それに、優斗兄の言うようにほんとに神様がいるのだとしたら・・・。俺たちは神のようなもんだよな・・・。もしくは、ほんとにのように扱われているだけなのかもな・・・。って、考えすぎか。)

 この時、和真は疑いながらも1つの仮説に辿り着いたのだった。

 「それじゃーまたな。今日は突然呼び出して悪かったな。」

 優斗が歯を見せてニッコリと笑った。その笑顔を見届けると、和真が少し口元を緩めて笑った。

 「あんま無理するなよな。優斗兄は笑顔が1番かっこいいよ。」

 そう言うと、和真は1人歩き始めた。

 同じ頃、エデンガーデンでは・・・。

 (なんだったのだ・・・。先程の怒りとも取れる感情は・・・。そして、あの人間から発せられた我の内に秘めし憎悪ぞうおとも呼べる感情・・・。)

 そう、ゼウスも同じ感情を抱いていたのだ。2人の怒りの矛先がトリガーとなり、互いの感情や考えが繋がった瞬間だった。

 (まさか、コマと我々が繋がったことにより互いの感情が交わったことでシンクロしたとでも言うのか!?いや、今の感情はシンクロと言う言葉で片付けるにはあまりにも鮮明であり、まさにコマである人間と我々自身の心が様だった。)

 ゼウスの中に焦り、戸惑い、喜びの感情が一気に押し寄せてきた。ゼウスはニヤリと口元を緩めて笑った。その姿を不安そうな眼差しで見つめるアマテラス。

 「さぁ、お次はアマテラス様です。サイコロをお振り下さい。」

 カオスの言葉に一瞬ドキッとしてしまうアマテラスだったが、すぐに冷静を取り戻してサイコロを転がした。

 アマテラスの出した目は0。10マス進みアマテラスが一気にトップに出た。

 「意中の相手の見たくないタイミングに遭遇する。ショックのあまり1回休み。」

 カオスが文字を読み始める。


 -下界-

 (最近、和真帰るの早いな~。何してるんだろ・・・。)

 葵が和真のことを考えながら歩いていると、たまたま通り掛かった駅で聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 「わざわざこんなとこまで来なくてよかったのに」

 声の主は和真である。葵が和真に声をかけようとすると、目の前に見知らぬ綺麗な女性が立っていた。2人は仲良さげに話していた。

 「大丈夫大丈夫!今日はたまたまお兄ちゃんが仕事の関係でこの辺りで飲み会してるらしいから。私の家庭も複雑でね、親同士は離婚してるんだけど私たち兄妹きょうだいは別に仲悪い訳でもないから、良く家に遊びに行ったりしてるの!お兄ちゃんは今一人暮らししてるから親もいないしね!」

 和真と楽しそうに話している相手とは、以前海で知り合った永野美空ながのみくだった。美空は時おり笑顔を見せて楽しそうに和真と話していた。

 葵は、そんな楽しそうな2人を見て、今までに感じたことの無い感情が込み上げていた。

 「え?何このムカムカするような、少し悲しい?いや、寂しい?ような気持ちは・・・。べ、別に和真に対してはただの幼なじみで、恋愛対象だなんて思ってないんだから!・・・・・・。え?私今恋愛対象って言った?なんでそんなこと考えてんのよ!私のバカ!」

 葵は1人で自問自答と感じたことの無い感情とで動揺していた。そんな葵の感情等知ることも無く、和真と美空は楽しそうに話し込んでいた。

 「あ、そろそろお兄ちゃん帰るみたいだから私行くね?今日は急に連絡してごめんね?」

 美空は少しだけ頬を紅くしながら言った。その笑顔には少し寂しげな表情が混じっていた。走りさろうとする美空だったが、和真が咄嗟とっさに手首を掴んだ。咄嗟の事とはいえ何も考えずに掴んでしまった和真。美空はそんな和真のことを不思議そうに見つめていた。

 「どうしたのかな?」

 美空の言葉に勢い余って思わず和真が心の内を言ってしまった。

 「あ、あのさ・・・」

 和真が渋っていると、美空がその言葉を待たずして再び歩き始めた。

 「何も無いなら行くね?」

 その言葉に勇気を貰ったように和真が言った。

 「待って!」

 再び歩みを止める美空。

 「初恋なんだ。初めて会った海で、美空を初めて見た時からずっと好きだった。風になびく髪、太陽に照らされた笑顔も、何もかもが素敵で、一目見た時からずっと好きだった!俺と・・・俺と付き合って下さい。」

 その言葉を聞き、美空が今までに見せたことがないくらいの笑顔で応えた。

 「喜んで!」

 和真が思わぬ答えに驚きを隠せず固まっていると、美空は続けて和真に言った。

 「なんで固まってるの?てっきり私の気持ちバレてたのかと思ったよ?私もね、あの時からずっと好きだったの・・・一目惚れって言うのかな?和真がこうやって告白してくれたのすごく嬉しい。そういう意味でも、今日はこっちまで来てよかったかな。」

 美空が満面の笑みを和真に向けた。

 「それじゃ、私そろそろ行かないと・・・。それじゃね。」

 美空がそういうと和真に近づき頬っぺにキスをして、少し恥ずかしそうにしながら走っていった。その一部始終を遠くから見てしまった葵は、ショックのあまり次の日の学校を休んでしまった。
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