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第拾参章
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ここは、下界と言われる天界より地上の世界。ここに暮らす人間の命は、神々のゲームによって決定する。生も死も盤上で起こりうること全てが彼らにとっての人生のレールとなるのだ。
しかし、そんな世界のルールに疑問を抱く者がいた。その者こそがゼウスのコマである大山和真だ。
あれから2ヶ月が経ち、怪我も完治していた。幸いにもあれだけの事故にも関わらず、打撲とすり傷だけで済んだ。とても軽傷とは思えない程の傷だったらしく、あの後貧血で気を失ってしまったようだ。
あの後、俺は救急搬送され、病院で約1週間程入院していたらしい。その間葵が付き添ってくれていたようだ。
「ここ、どこだ?・・・いっ・・・って葵?そうか、ここ病院か。」
和真が独り言をつぶやくと、葵の背中をゆっくりさすった。
「葵・・・いつもありがとな」
和真がベッド横に付き添って眠っている葵の背中をさすりながら言った。すると、葵が目を覚まし、大きくけのびをした。パッと目を開くと和真と目が合った。今の自分の体勢が恥ずかしかったのか、頬を赤るませて慌てて体勢を整える。
「お、起きてたんだね」
葵が照れながら視線をベッドに移した。その姿を見て、和真も窓の景色の方に視線を移した。
「いつも、ありがとな・・・」
和真が葵に聞こえるか聞こえないか分からない大きさで言った。葵は和真の言葉を上手くききとることが出来ず「え?」と目を丸くしていた。
和真が1人学校に登校中に考えていた。それと同時に、和真はもうひとつ考えていた事があった。それは、和真が学校をサボったあの日、海を眺めていた時に現れた永野美空の笑顔だった。
あの時の笑顔を和真は忘れることができずにいた。
「また、海行こっかな・・・」
和真が独り言をつぶやくと、恥ずかしくなったのか周りをキョロキョロとしながら、誰もいないことに安堵した。それと同時に、和真には疑念があった。
(あの事故の時、俺と葵は本当は死んでいたんじゃないだろうか?あれを運命と言っていいのかは分からないけど、もしも運命なんてものが存在するのだとしたら、俺たちは運命に生かされたってことなのか?ってなに柄にもないこと言ってるんだ・・・。)
そんなことを考えながら和真が歩いていると、和真の通う学校が見えて来た。「ピコン」とスマホの通知音が鳴り、和真がスマホを取り出すと1件のLINEが届いていた。「今日学校が終わったら家来いよ^_^」とメッセージが入っていた。
学校が終わり、和真はLINEの主の元へ向かった。
「お!久しぶりだな~元気してたか?また大きくなったな!」
和真を笑顔で出迎えるLINEの主。しかし、和真が呆れたように返した。
「なにが久しぶりだよ・・・。つか大きくなったなって言うけど2年しか変わんねーじゃん。」
和真が素っ気なく返事をするとLINEの主が少し落ち込んだような笑顔で言った。
「相変わらず和真は冷てーなー。そんなことじゃ彼女もできないだろ?つか、2年はなげーよ!よく言うだろ?男子三日合わざれば刮目して見よ!ってな」
和真がため息をついて言った。
「相変わらずだな・・・優斗兄は・・・」
そう、彼はメーティスのコマである看護師の安達恵の彼氏、大倉優斗である。
優斗と和真は幼い頃からの近所の付き合いで2人は本当の兄弟のような関係だった。その関係は今も続いており、こうして2人が会うことも必然なのである。
「つかなんだよ急に呼び出して・・・彼女はいいのかよ?」
和真が尋ねると、優斗が笑顔で答えた。
「いいんだよ!俺と恵はラブラブだからな!まぁ、お前を呼んだのは他の理由なんだけどな・・・」
そういうと、今まで笑顔だった優斗の顔が真剣な表情に変わった。
「まぁ、立ち話も何だし中入れよ」
和真は優斗の誘いで家の中へ入っていった。数年前からギャンブルにのめり込んでしまった父親大倉大輔は家を留守にすることが多く、家の中も散らかってはいるが適度に整理された跡が見える。恐らく優斗が片付けているのだろう。そんな家庭環境の中、優斗1人で悩んでいたのだが、背負いきれなくなり和真を呼んだのだった。
「親父さんどうしちゃったんだよ?2年前はこんなじゃなかっただろ?それに、おばさんもいないみたいだけど・・・」
和真は話しながら自分が言ってはいけないことを聞いているのだろうと悟った。和真の予想は的中していた。
「親父が変わったのは1年前、母さんが死んでからだ。親父にとって母さんは心の支えだったんだな・・・。仕事のストレスを吐き出すところがなくなってギャンブルに手を出し始めたんだ。母さんはいつも親父の話を黙って聞いていたのを思い出すよ・・・。それからは地獄だった。金遣いが荒くなり、家計のことは俺も働かなくちゃやりくりできなくなり、親父も負けて帰った日には・・・和真も見ただろ?物にあたって家は滅茶苦茶・・・。俺がいつも片付けてる状態だ。」
そういうと少し悲しそうな笑顔を和真に向ける。
「俺さ、思うんだ・・・。この世界は腐ってる!常に権力者がいて序列ができていて、神様がもしもいるならどうしてこんなくだらねー世界を創ったんだよ!どうして俺たち家族はこんな風にならなくちゃならないんだ!」
和真は黙って優斗の話を聞いていた。その時、和真の脳裏に自分の考えであって全く別の感情が湧き上がってきていた。
「優斗兄、俺も同じこと思うよ。人間なんてクソみたいな生き物だってな。環境汚染、世界紛争、人間同士の差別、どうしてこれほどまでに下らない存在を生み出したんだろうってな。」
優斗が突然雰囲気が変わった和真に思わず「何言ってんだよ・・・」と動揺した顔で尋ねる。
その言葉に正気を取り戻した和真。
「あれ?俺、何言って・・・。」
和真は自分でも何を言っているのか分からない様子だった。
和真の身になにが起こったのか・・・。
しかし、そんな世界のルールに疑問を抱く者がいた。その者こそがゼウスのコマである大山和真だ。
あれから2ヶ月が経ち、怪我も完治していた。幸いにもあれだけの事故にも関わらず、打撲とすり傷だけで済んだ。とても軽傷とは思えない程の傷だったらしく、あの後貧血で気を失ってしまったようだ。
あの後、俺は救急搬送され、病院で約1週間程入院していたらしい。その間葵が付き添ってくれていたようだ。
「ここ、どこだ?・・・いっ・・・って葵?そうか、ここ病院か。」
和真が独り言をつぶやくと、葵の背中をゆっくりさすった。
「葵・・・いつもありがとな」
和真がベッド横に付き添って眠っている葵の背中をさすりながら言った。すると、葵が目を覚まし、大きくけのびをした。パッと目を開くと和真と目が合った。今の自分の体勢が恥ずかしかったのか、頬を赤るませて慌てて体勢を整える。
「お、起きてたんだね」
葵が照れながら視線をベッドに移した。その姿を見て、和真も窓の景色の方に視線を移した。
「いつも、ありがとな・・・」
和真が葵に聞こえるか聞こえないか分からない大きさで言った。葵は和真の言葉を上手くききとることが出来ず「え?」と目を丸くしていた。
和真が1人学校に登校中に考えていた。それと同時に、和真はもうひとつ考えていた事があった。それは、和真が学校をサボったあの日、海を眺めていた時に現れた永野美空の笑顔だった。
あの時の笑顔を和真は忘れることができずにいた。
「また、海行こっかな・・・」
和真が独り言をつぶやくと、恥ずかしくなったのか周りをキョロキョロとしながら、誰もいないことに安堵した。それと同時に、和真には疑念があった。
(あの事故の時、俺と葵は本当は死んでいたんじゃないだろうか?あれを運命と言っていいのかは分からないけど、もしも運命なんてものが存在するのだとしたら、俺たちは運命に生かされたってことなのか?ってなに柄にもないこと言ってるんだ・・・。)
そんなことを考えながら和真が歩いていると、和真の通う学校が見えて来た。「ピコン」とスマホの通知音が鳴り、和真がスマホを取り出すと1件のLINEが届いていた。「今日学校が終わったら家来いよ^_^」とメッセージが入っていた。
学校が終わり、和真はLINEの主の元へ向かった。
「お!久しぶりだな~元気してたか?また大きくなったな!」
和真を笑顔で出迎えるLINEの主。しかし、和真が呆れたように返した。
「なにが久しぶりだよ・・・。つか大きくなったなって言うけど2年しか変わんねーじゃん。」
和真が素っ気なく返事をするとLINEの主が少し落ち込んだような笑顔で言った。
「相変わらず和真は冷てーなー。そんなことじゃ彼女もできないだろ?つか、2年はなげーよ!よく言うだろ?男子三日合わざれば刮目して見よ!ってな」
和真がため息をついて言った。
「相変わらずだな・・・優斗兄は・・・」
そう、彼はメーティスのコマである看護師の安達恵の彼氏、大倉優斗である。
優斗と和真は幼い頃からの近所の付き合いで2人は本当の兄弟のような関係だった。その関係は今も続いており、こうして2人が会うことも必然なのである。
「つかなんだよ急に呼び出して・・・彼女はいいのかよ?」
和真が尋ねると、優斗が笑顔で答えた。
「いいんだよ!俺と恵はラブラブだからな!まぁ、お前を呼んだのは他の理由なんだけどな・・・」
そういうと、今まで笑顔だった優斗の顔が真剣な表情に変わった。
「まぁ、立ち話も何だし中入れよ」
和真は優斗の誘いで家の中へ入っていった。数年前からギャンブルにのめり込んでしまった父親大倉大輔は家を留守にすることが多く、家の中も散らかってはいるが適度に整理された跡が見える。恐らく優斗が片付けているのだろう。そんな家庭環境の中、優斗1人で悩んでいたのだが、背負いきれなくなり和真を呼んだのだった。
「親父さんどうしちゃったんだよ?2年前はこんなじゃなかっただろ?それに、おばさんもいないみたいだけど・・・」
和真は話しながら自分が言ってはいけないことを聞いているのだろうと悟った。和真の予想は的中していた。
「親父が変わったのは1年前、母さんが死んでからだ。親父にとって母さんは心の支えだったんだな・・・。仕事のストレスを吐き出すところがなくなってギャンブルに手を出し始めたんだ。母さんはいつも親父の話を黙って聞いていたのを思い出すよ・・・。それからは地獄だった。金遣いが荒くなり、家計のことは俺も働かなくちゃやりくりできなくなり、親父も負けて帰った日には・・・和真も見ただろ?物にあたって家は滅茶苦茶・・・。俺がいつも片付けてる状態だ。」
そういうと少し悲しそうな笑顔を和真に向ける。
「俺さ、思うんだ・・・。この世界は腐ってる!常に権力者がいて序列ができていて、神様がもしもいるならどうしてこんなくだらねー世界を創ったんだよ!どうして俺たち家族はこんな風にならなくちゃならないんだ!」
和真は黙って優斗の話を聞いていた。その時、和真の脳裏に自分の考えであって全く別の感情が湧き上がってきていた。
「優斗兄、俺も同じこと思うよ。人間なんてクソみたいな生き物だってな。環境汚染、世界紛争、人間同士の差別、どうしてこれほどまでに下らない存在を生み出したんだろうってな。」
優斗が突然雰囲気が変わった和真に思わず「何言ってんだよ・・・」と動揺した顔で尋ねる。
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「あれ?俺、何言って・・・。」
和真は自分でも何を言っているのか分からない様子だった。
和真の身になにが起こったのか・・・。
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