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伍堂愛
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「今なんて?」
勤めていた会社の上司から呆れたような声で聞き返された。
「すみません今週末で辞めさせてください」
無茶な話である、一応一般的には最低でも2週間前に会社を辞める事を話す訳だが……俺は今週末で辞めなければ行けない理由が出来てしまった。って言うかまだ何も始まっていないようで、始まってしまったのだから……全ては来週から新しく始まる。新しい勤務先がなし崩し的に決まってしまった。だから、まっそんなもんかな世の中って。
「八神さんもだいぶ慣れてきた所でしょ? どうしてもですか?」
「申し訳ないです……家の都合もありまして……そして決まってしまったので」
嘘では無い、確かに家の都合だ……誰のせい? 俺のせいだけどな!
「しょうがないですね……バックレて辞められるよりは良いですから……人事部に手続きを進めさせますね」
お辞儀をして
「ありがとうございます」
「じゃ八神さんIDカードと、ロッカーを綺麗にして今日中に返して下さい」
「はい!?」
「来週から新しい職場で働くんでしょう? 準備をしっかりして下さい、残りのシフトは今週末まで有給休暇にしてあげます」
有り難い話だよ本当に……ちゃんと話して良かった! ロッカーを片付けてIDカードと健康保険証を人事部に返却して会社を後にすると、電話を掛ける……数回の呼び出し音の後……
「もしもし伍堂ですけどぉ」
「寝てたんですか?」
「お昼休み」
帰って来た返答にため息をつくと
「来週から出勤出来ます」
「揉めた?」
「いえ気持ち良く追い出されましたよ」
「今何してる?」
「帰るところですよ、一応今週末迄の契約で終了して……」
「じゃあ今すぐ来て」
「普段着ですけど?」
「その方が都合良いから」
「わかりました」
短い通話だったが、相手は新しい職場の社長『伍堂愛さん』だった。さっさと行くとしようか……待たせて怒られたくないし。電車に乗りながら思い起こす、塚田さん曰く
「私の3倍は仕事が出来て、バイタリティーに溢れそれでいて……ある意味だらしない人です」
そう……俺の新しい仕事は、そんな伍堂社長が気持ち良く働ける様にアシストする事だった……
初めて出会った場所は面接の為に塚田さんと向かったとあるビルのテナントだった。そこは事務所とは、とても言えないような有り様で。そこで初めて出合い面接をして、俺の今迄の経歴を1つ残らず説明し、何が気に入ったのか即決で採用され即日勤務開始となった経緯がある。そして何か怖い、本能が訴えている怒らせたら……考えたくも無いが……
五泉に付くと真っ直ぐにビルに向かい玄関を開けると、また散らかっている……先日キレイにしたよな? 社長はソファーで昼寝中、そして酒臭い……開けられる窓を全て開けて。
「お疲れ様です社長! 来ましたよ!」
「ぅおう!? 八神君かぁ? って言うか寒い! なんで窓開いてるの!」
「社長が酒臭いからですよ……二日酔いじゃぁないですよね?」
「取引先を広げるためには一緒に酒を交わす事もやむなし! 頭痛いけど……」
「俺の常備薬の頭痛薬要りますか?」
「頂戴! イタタタ……寒ぃ……」
「水を持って来ますから、それに社長は女性なんですから気を付けてくださいよ?」
事務所のウォーターサーバーで水を汲み持って行くと。
「ありがとう八神君、御忠告は有り難いけど私はそんな安い女じゃないわ」
「でしょうね」
「私は空手に合気道……まぁ色々よ」
確かに美人さんではあるが……何処か残念感が否めない。俺が出会う女性は何処か残念な事が多い、でも何でこんなにも親近感を覚えるのだろう?
「取り敢えず散らかっているのを片付けます」
「よくわかってるじゃない?」
「見れば分かりますよ……とにかく片付けます、終わったら起こしますよ」
「じゃあ静かにやって頂戴」
「無理ですね」
社長の意見を却下してさっさと片付けを始める。恨み言が聞こえてくるが、二日酔いする方が悪い。
「ふぅ! スッキリした!」
「頭痛いぃ……」
まだ薬は効いていないようだ、ならばと熱いブラックコーヒーを淹れてソファーの脇のテーブルに置く。
「ありがと八神君」
「今日の仕事は?」
「事務所の整理」
「なるほど……御期待には答えられましたか? 俺」
「完璧」
ソファーから起き上がってブラックコーヒーを飲む左手の薬指に指輪の跡があった……
「社長は結婚して?」
「何で?」
ヤッベ! 踏み込みすぎた、まだ4回ぐらいしか合ってないのに!
「いやぁ……指輪の跡が見えたもので……すいません」
「ムカシノハナシよ」
「俺もバツイチ何ですよ!」
「私はバツイチじゃない」
「へっ!?」
「愛した男に置いてかれた」
「そうなんですか……」
「そうよ、でも良く見てるね?」
そうなんだよなぁ……ん? 何か小声がき聞こえたがここは会社だ。
「もうプライベートは聞きません、すみませんでした」
「ふぅ、仕事始めようか! 八神君?」
「何ですか?」
「これ、会社のPR活動も含めて作った作業着とポロシャツ」
「絶望的にダサい……」
おっと! 口が滑って本音が漏れた。
「どう思おうが着てもらうよ? ズボンは何でも良いわ、任せる……どうせジーンズしかないでしょ」
「その代わり仕事着は出勤の時も帰る時も着て」
「それはちょっと……」
「とにかくこれ、サイズはXLで良かったわよね」
「着てみますね」
うん、丁度いいし余裕がある。デザインはアレだが……
「ピッタリです」
「だよね!」
「じゃアタ……じゃなかった私は営業に行ってくるから」
「社長が留守の間、俺がとる対応は?」
「取り敢えず今は折り返しでヨロシク、私に連絡する時はメールして、指示を送るから」
「商談中って事もありますしね、分かりました」
「じゃ行ってくるから」
「行ってらっしゃい」
二日酔いが抜けた様だ……社長が出掛けてから気付く、アレ?
何で今働かされてるの!?
勤めていた会社の上司から呆れたような声で聞き返された。
「すみません今週末で辞めさせてください」
無茶な話である、一応一般的には最低でも2週間前に会社を辞める事を話す訳だが……俺は今週末で辞めなければ行けない理由が出来てしまった。って言うかまだ何も始まっていないようで、始まってしまったのだから……全ては来週から新しく始まる。新しい勤務先がなし崩し的に決まってしまった。だから、まっそんなもんかな世の中って。
「八神さんもだいぶ慣れてきた所でしょ? どうしてもですか?」
「申し訳ないです……家の都合もありまして……そして決まってしまったので」
嘘では無い、確かに家の都合だ……誰のせい? 俺のせいだけどな!
「しょうがないですね……バックレて辞められるよりは良いですから……人事部に手続きを進めさせますね」
お辞儀をして
「ありがとうございます」
「じゃ八神さんIDカードと、ロッカーを綺麗にして今日中に返して下さい」
「はい!?」
「来週から新しい職場で働くんでしょう? 準備をしっかりして下さい、残りのシフトは今週末まで有給休暇にしてあげます」
有り難い話だよ本当に……ちゃんと話して良かった! ロッカーを片付けてIDカードと健康保険証を人事部に返却して会社を後にすると、電話を掛ける……数回の呼び出し音の後……
「もしもし伍堂ですけどぉ」
「寝てたんですか?」
「お昼休み」
帰って来た返答にため息をつくと
「来週から出勤出来ます」
「揉めた?」
「いえ気持ち良く追い出されましたよ」
「今何してる?」
「帰るところですよ、一応今週末迄の契約で終了して……」
「じゃあ今すぐ来て」
「普段着ですけど?」
「その方が都合良いから」
「わかりました」
短い通話だったが、相手は新しい職場の社長『伍堂愛さん』だった。さっさと行くとしようか……待たせて怒られたくないし。電車に乗りながら思い起こす、塚田さん曰く
「私の3倍は仕事が出来て、バイタリティーに溢れそれでいて……ある意味だらしない人です」
そう……俺の新しい仕事は、そんな伍堂社長が気持ち良く働ける様にアシストする事だった……
初めて出会った場所は面接の為に塚田さんと向かったとあるビルのテナントだった。そこは事務所とは、とても言えないような有り様で。そこで初めて出合い面接をして、俺の今迄の経歴を1つ残らず説明し、何が気に入ったのか即決で採用され即日勤務開始となった経緯がある。そして何か怖い、本能が訴えている怒らせたら……考えたくも無いが……
五泉に付くと真っ直ぐにビルに向かい玄関を開けると、また散らかっている……先日キレイにしたよな? 社長はソファーで昼寝中、そして酒臭い……開けられる窓を全て開けて。
「お疲れ様です社長! 来ましたよ!」
「ぅおう!? 八神君かぁ? って言うか寒い! なんで窓開いてるの!」
「社長が酒臭いからですよ……二日酔いじゃぁないですよね?」
「取引先を広げるためには一緒に酒を交わす事もやむなし! 頭痛いけど……」
「俺の常備薬の頭痛薬要りますか?」
「頂戴! イタタタ……寒ぃ……」
「水を持って来ますから、それに社長は女性なんですから気を付けてくださいよ?」
事務所のウォーターサーバーで水を汲み持って行くと。
「ありがとう八神君、御忠告は有り難いけど私はそんな安い女じゃないわ」
「でしょうね」
「私は空手に合気道……まぁ色々よ」
確かに美人さんではあるが……何処か残念感が否めない。俺が出会う女性は何処か残念な事が多い、でも何でこんなにも親近感を覚えるのだろう?
「取り敢えず散らかっているのを片付けます」
「よくわかってるじゃない?」
「見れば分かりますよ……とにかく片付けます、終わったら起こしますよ」
「じゃあ静かにやって頂戴」
「無理ですね」
社長の意見を却下してさっさと片付けを始める。恨み言が聞こえてくるが、二日酔いする方が悪い。
「ふぅ! スッキリした!」
「頭痛いぃ……」
まだ薬は効いていないようだ、ならばと熱いブラックコーヒーを淹れてソファーの脇のテーブルに置く。
「ありがと八神君」
「今日の仕事は?」
「事務所の整理」
「なるほど……御期待には答えられましたか? 俺」
「完璧」
ソファーから起き上がってブラックコーヒーを飲む左手の薬指に指輪の跡があった……
「社長は結婚して?」
「何で?」
ヤッベ! 踏み込みすぎた、まだ4回ぐらいしか合ってないのに!
「いやぁ……指輪の跡が見えたもので……すいません」
「ムカシノハナシよ」
「俺もバツイチ何ですよ!」
「私はバツイチじゃない」
「へっ!?」
「愛した男に置いてかれた」
「そうなんですか……」
「そうよ、でも良く見てるね?」
そうなんだよなぁ……ん? 何か小声がき聞こえたがここは会社だ。
「もうプライベートは聞きません、すみませんでした」
「ふぅ、仕事始めようか! 八神君?」
「何ですか?」
「これ、会社のPR活動も含めて作った作業着とポロシャツ」
「絶望的にダサい……」
おっと! 口が滑って本音が漏れた。
「どう思おうが着てもらうよ? ズボンは何でも良いわ、任せる……どうせジーンズしかないでしょ」
「その代わり仕事着は出勤の時も帰る時も着て」
「それはちょっと……」
「とにかくこれ、サイズはXLで良かったわよね」
「着てみますね」
うん、丁度いいし余裕がある。デザインはアレだが……
「ピッタリです」
「だよね!」
「じゃアタ……じゃなかった私は営業に行ってくるから」
「社長が留守の間、俺がとる対応は?」
「取り敢えず今は折り返しでヨロシク、私に連絡する時はメールして、指示を送るから」
「商談中って事もありますしね、分かりました」
「じゃ行ってくるから」
「行ってらっしゃい」
二日酔いが抜けた様だ……社長が出掛けてから気付く、アレ?
何で今働かされてるの!?
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