元女神様と現世でreSweetライフ!!

美味しい肉まん

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八神さんちのクリスマスその4

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 ヒエの乾杯の音頭で始まった1日遅れのクリスマスパーティー? 俺と茉希ちゃんはジュース、ヒエとヤエはお酒だ……頼むから何事も起きませんように……
「師匠……気持ちは分かるけどさ、食べようよアタシら」
「そうだね、せっかくのオードブルだし」
 オードブルに箸を伸ばし茉希ちゃんと皿に分けて食べて見ると。
「うん! 美味しいね」
「やっぱ評判良いだけはあるね!」
「ちょっとサラダもポトフも食べてよね?」
「うん? 食べてるよ?」
 実際にヤエの作ったポトフは身体の芯から温まる。去年は何してたっけなぁ……
「ちょっと! アンタ! さっさと寄越しなさいよ!」
 人が物思いに耽っていると空き缶が飛んできた、コイツは……
「ヒエもう出来上がってんのか?」
「うっさいバーカ! まだまだ呑むわよ!」
「ごめんなさいアナタ! ヒエが」
「ヤエも付き合いが悪いわよ! 昔は一緒に呑んで……」
「ちょっとやめて! ヒエ!」
 ちょっとだけ興味があるな今のやり取り。
「おいヒエ様、昔は一緒に何だって?」
「ちょアナタ!?」
「アタシも気になるな」
「あっハハッは喰い付いた! 知りたい?」
「駄目!」
 ヤエが必死に拒んでいる余程何かやらかしたのか?
「昔ね、まだ人間と一緒に土地を興しているときにね……くくっ」
 あっこれ止まらないパターンの人だ、横目でヤエを見ると顔を伏せながら日本酒を呑み始めた。
「ヤエと私でさ祭事の時に呑み比べしたのね、アッヒャヒャ! そっそうしたら……」
 ゴスン!
「いだぃ!! 何すんの!」
「ヒエ~? 私は止めろって言ったわよね!」
 ヤエのゲンコツがヒエの頭に落ちた、元女神としてどうなんだろう今の2人は……面白そうなので茉希ちゃんと目を合わせて成り行きを黙って見る事にした。
「何よ! ちょっとじゃれ合って土地がズレて大洪水が起きただけの話をしようと……」
「止めて! 健の前で話さないで!」
 あ~この2人のじゃれ合ってってきっと、ろくな事じゃないな多分……
「大方、呑みすぎて最高にハイッって! やつになったんだな」
「だろうね、師匠唐揚げ食べる?」
「あっもらうよ」
「ちょっと! そこの2人!」
「「はい?」」
「聞きたいわよね!」
「聞かないわよね!」
 うわ~酔っぱらいが2人も生まれたよ絡んで来たよ。
「あのな……言いたくないけど別に聞かなくても良いんだ」
「ほっ……」
「なんでよ!」
「だってさ俺が死んで神の座に戻れば全部分かっちゃうんじゃない?」
「ブッへぇ!」
 ヤエが盛大に日本酒を噴き出した……そんなに俺に知られたくない事があるのかよ?
「あっそうか! でも茉希知りたくない?」
「アタシは別に良いや」
 軽くあしらわれたヒエがヤエと2人で呑み始めた。そう言えば……今のヤエとヒエは分からないんじゃないか?
「あのさ茉希ちゃん、あの事は話してないよね?」
「使徒になっちゃった事でしょ?」
「きっと驚くだろうね、師匠が死んだらアタシも居るんだから」
「だから黙っておこうか?」
「いや大丈夫だと思う、女神として戻れば記憶と意識が同期してアッサリ受け入れるんじゃない?」
「アタシはちょっとだけビックリさせたかったけどね」
 茉希ちゃんと話していると今度は2人がすすり泣く声が聴こえてきた。
「どうせ私達なんて、誰も崇めてくれないのよ」
「きっと健は身体だけが目当てだったのよ、私はこんなにも愛しているのに」
「師匠……面倒くさくなりそうだよ」
「だね」
 さてこれ以上面倒くさくなる前に渡すか、ほ~らプレゼントですよ~2人の目に入るように包をチラつかせる。
「それ!」
「あっ!」
「メソメソしてる人にはあげません! はい茉希ちゃん!」
「アタシから!? ありがとう!」
 さてヤエとヒエはどうだ? チラッと見ると潤んだ瞳で俺じゃなくて包を見つめている。おいおいさっき愛がどうとか言ってたのは誰だよ?
「ほらヤエ、ヒエ、1日遅れだけどメリークリスマスってか」
「「ありがとう!!」」
 3人共一斉に包装紙を破り捨てて中身を確認しようと開け始めた。ちょっとだけ悲しくなるな……
「茉希ちゃんには万年筆ね、出来るオンナ目指して頑張って!」
 もともと、どっちの茉希ちゃんにも万年筆をどうしても渡したかった、まぁ俺の勝手なイメージだけどさ……
「もしかして『お揃い』なのかな?」
 黙って右手の親指を立てると
「ありがとう師匠! 大事にするよ!!」
 そう言うとプレゼントを大事そうに箱に戻していた。
「ヒエには……って何だよその顔」
「だって……小さいし……何これ?」
 確かに箱は小さいけれどな、俺からのちゃんとした感謝の品物なんだよ。
「貸してみなよ箱」
「んっ!」
 箱から中身を取り出すとむくれた顔をしたヒエの手を取る。
「ちょっと何よ……」
 やっぱりな……酷いあかぎれだ……こんなにも綺麗な手を……しかも女神だぞ。
「ちょっとだけしみるかも……我慢してな」
 プレゼントは高級ハンドクリームだった、少しだけ手に取りヒエの手に塗って行く。
「ヒエ……痛かっただろ? 何時も洗い物してくれて」
「…………」
「そりゃ荒れるよな、綺麗な手をこんなにしてすまない」
「これでケアしてあげれば良くなると思うから、洗い物した後でちゃんと塗りなよ?」
「…………ぅん、ありがとう」
「本当に気が付かなくてごめんな、傷だらけにしちゃって」
「良いの……私に出来る事をしただけだから……大事にする」
「もったいぶるなよ? あかぎれの痛みは相当だろうから、使い切ったらまた買ってやるからな!」
「…………」
「さてとヤエ」
 ヤエの方を向くと憤怒の表情で俺を睨んでいた。
「別に良いですけど! ヒエも何よ! そんな顔して!」
 慌ててヒエが何か恥ずかしかったのか顔を伏せる。
「何もそこまで怒らなくても」
「怒ってないし!」
 まだ酒が残ってるのかな? ヤエの手から放り出された箱を拾い上げて戻すと。
「開けてくれないかなヤエ?」
「べっ別に……嫌じゃないから開ける……」
 箱の中身は……実は1番悩んだ、今更ヤエに貴金属をプレゼントしても意味が無い、どんなアクセサリーも仮にも元女神に似合う物は無かった……これはヒエも一緒だ、そして実は気になっていた物がある。台所にあるヤエのレシピノートだった、普通のA4ノート……
「どうかな? そのシステム手帳なら継ぎ足しで増やせるし……まぁデザインはその……気にいらなかったら」
「……やだ」
「え?」
「これで良い……レシピノート見ちゃったの?」
「いや、中は見てない……ただせっかく惣菜屋さんに勤めているんだから、職場でも家でも使えればって思ってさ」
「そっか……ありがとうアナタ、私もっと精進するわね」
 良かった~喜んでくれて、お酒も少し抜けたかな。
「ちゃんと使ってくれよ?」
「もちろん! 先ずは書き写さないとね!」
「いやいや、今までのノートも大切にしてね?」
「そうね……でも復習や新しいアイデアとか継ぎ足したかったから……」
「そっか、そんな使い方もあるか」
「まっまぁそういう訳なんで使ってくれ3人共!!」

「「「ありがとう!!!」」」



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