爆弾魔の日記

藤白 圭次郎

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駆ける爆弾魔

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「おい、聞いてなかったのか?」
この期に及んで無駄口をきく甲に付き合う気にもならずげんなりと、何をだ、とだけ答える。
相当まずい。
あのポイントが使えなくなっているということは、他もほとんど使えなくなっている可能性が高い。となると、売店が解体された場合の、最もそれは偶然売店が解体された場合の対策だが、その対策も使えない。
恐らく、相手は相当腕が立つ。
本体がないため修復も試せない。
「あの協力者は、爆弾がないって言ってたんだぞ。だったらさっさと他のところに行かねえとじゃねえのか?」
「違う、ないということは完全に解体できてないはずだ。それを見つけた方が早い」
「ほんと、仕事の時だけ強気になるよなぁ。普段あんななのに、さっきの協力者も言ってただろ、嫌なことの方が覚えてんだから、嫌なこと避けた方が賢明だぞ」
「もう避けられないから被害の少ない嫌なことを通れるよう努力してるんだよ」
「そういうものか」
会話の間にも乙は、スタジアムの各フロアを確認していく。
甲と違い体をうまく扱えないため、効率が悪い。
「おい代われ」
「お前が、がさつじゃなければすぐにでも代わっている」
「黙って代われ。緊急事態だ」
仕方ないと割り切る。
身体が、高速で前進していく。
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