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第2章~守るために強くなると誓いました~
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いつものようにリヒトが出かけた後、執務室でノクトとジオは難しい顔をしたままリヒトが残した言葉の意味を考えこんでいた。
リヒトにとって特別でずっと笑顔でいて欲しい人。
それは恋愛的な意味で好意を持っている相手ということではないのか。
更に言うなら自分の隣でなくても彼女が笑顔で幸せそうにしていてくれるならば満足だなんて恋を通り越して愛しているのではないか。
いや、でもあの口ぶりはそんな風ではなかったし……。
出口のない迷路に迷い込んだかのように悶々と考えこんでいるふたりを無気力な目がじいいいいっと見上げる。
「……なんだ」
「それはこっちのセリフ。2人そろって小難しい顔で何を考えてたの?」
「リヒトの意味深なセリフと大人しすぎるお前らの反応についてだ」
「兄さんの言葉については知らないけど、俺が大人しくしてるのは兄さんをとられる心配がないからだよ」
キッパリといいきったアルバにノクトとジオは目を瞬く。
そして真意を汲み取るように無気力無表情のアルバの顔をじっと見つめた。
「坊、それは一体どういうことだ?」
「たとえその人に好意があってもあの鈍感な兄さんが恋愛感情だって気付くわけない」
迷いなくいいきったアルバにふたりは表情を引き攣らせる。
否定したい。
リヒトのためにも自分たちのためにも。
だけどセイラとのやりとりや、仕事関係で参加した(させた)パーティの対応を見る限り否定できる要素が少なすぎる。
というかない。
「……それで結局お前は何しに来たんだ?」
「決まってる。誕生日プレゼントのおねだり」
「「……相変わらずちゃっかりしてやがるな」」
当然だという顔で言いきったアルバにふたりは呆れを通り越して脱力した。
アルバはシレっとした顔でポケットに突っ込まれた紙切れを乱雑に取り出すとこめかみを押さえて溜息を呑みこむノクトにハイと差し出す。
「ちょっと待て、お前こんなもん読んで理解できんのか?
つか誕生日プレゼントに古文書って……」
もはや言葉もないノクトのかわりに紙を覗きこんだジオが素っ頓狂な声をあげる。
それに応えずにアルバは無感動な瞳でじいっとノクトを見た。
「書庫にも図書館にもなかった。父さんなら取り寄せられるでしょ?」
「……そんなとこまで行動範囲を広げてやがったのか」
「じゃあお願いします。あ、セイラのプレゼントは自分たちで探ってね」
言いたいことだけ言ってさっさと出て行ったアルバにノクトとジオはソファーにドカリと身体を預けて大きく息を吐いた。
「ガキの成長っつーのは早ぇな」
「おう。反抗期が怖いぜ。
というかうちのステラに限っては絶対にない。来ないと俺は信じてる!!」
「言ってろ。馬鹿」
「それよりマジでちぃ姫のプレゼントはどうすんだ?」
「アイツのはもう決まってる」
「……後悔しそうだから聞かないでおくぜ」
「フン。てめぇこそ妙なモン渡せばあの暴れ馬はうるせぇぞ」
「わかってら。その為にニナとステラ連れて選びにいくんだからな」
「……休みが欲しけりゃ死ぬ気で仕事を片付けるんだな」
「おう。じゃあ、ボスもじゃじゃ馬2号に噛みつかれねぇプレゼント選べよ」
嬉々として仕事に向かった右腕の後ろ姿を眺めてその姿が完全に扉の向こう側へと消えるとノクトはゆっくりと瞼を降ろした。
渡すものは決まっている。
誕生日プレゼントにはふさわしくなくてもセイラには何よりも必要でふさわしいもの。
誰にどんな文句を言われようとそれについてのフォローはきっとルナがしてくれる。
言い聞かせるように心の中で呟いてノクトも自分の仕事を片付け始めた。
リヒトにとって特別でずっと笑顔でいて欲しい人。
それは恋愛的な意味で好意を持っている相手ということではないのか。
更に言うなら自分の隣でなくても彼女が笑顔で幸せそうにしていてくれるならば満足だなんて恋を通り越して愛しているのではないか。
いや、でもあの口ぶりはそんな風ではなかったし……。
出口のない迷路に迷い込んだかのように悶々と考えこんでいるふたりを無気力な目がじいいいいっと見上げる。
「……なんだ」
「それはこっちのセリフ。2人そろって小難しい顔で何を考えてたの?」
「リヒトの意味深なセリフと大人しすぎるお前らの反応についてだ」
「兄さんの言葉については知らないけど、俺が大人しくしてるのは兄さんをとられる心配がないからだよ」
キッパリといいきったアルバにノクトとジオは目を瞬く。
そして真意を汲み取るように無気力無表情のアルバの顔をじっと見つめた。
「坊、それは一体どういうことだ?」
「たとえその人に好意があってもあの鈍感な兄さんが恋愛感情だって気付くわけない」
迷いなくいいきったアルバにふたりは表情を引き攣らせる。
否定したい。
リヒトのためにも自分たちのためにも。
だけどセイラとのやりとりや、仕事関係で参加した(させた)パーティの対応を見る限り否定できる要素が少なすぎる。
というかない。
「……それで結局お前は何しに来たんだ?」
「決まってる。誕生日プレゼントのおねだり」
「「……相変わらずちゃっかりしてやがるな」」
当然だという顔で言いきったアルバにふたりは呆れを通り越して脱力した。
アルバはシレっとした顔でポケットに突っ込まれた紙切れを乱雑に取り出すとこめかみを押さえて溜息を呑みこむノクトにハイと差し出す。
「ちょっと待て、お前こんなもん読んで理解できんのか?
つか誕生日プレゼントに古文書って……」
もはや言葉もないノクトのかわりに紙を覗きこんだジオが素っ頓狂な声をあげる。
それに応えずにアルバは無感動な瞳でじいっとノクトを見た。
「書庫にも図書館にもなかった。父さんなら取り寄せられるでしょ?」
「……そんなとこまで行動範囲を広げてやがったのか」
「じゃあお願いします。あ、セイラのプレゼントは自分たちで探ってね」
言いたいことだけ言ってさっさと出て行ったアルバにノクトとジオはソファーにドカリと身体を預けて大きく息を吐いた。
「ガキの成長っつーのは早ぇな」
「おう。反抗期が怖いぜ。
というかうちのステラに限っては絶対にない。来ないと俺は信じてる!!」
「言ってろ。馬鹿」
「それよりマジでちぃ姫のプレゼントはどうすんだ?」
「アイツのはもう決まってる」
「……後悔しそうだから聞かないでおくぜ」
「フン。てめぇこそ妙なモン渡せばあの暴れ馬はうるせぇぞ」
「わかってら。その為にニナとステラ連れて選びにいくんだからな」
「……休みが欲しけりゃ死ぬ気で仕事を片付けるんだな」
「おう。じゃあ、ボスもじゃじゃ馬2号に噛みつかれねぇプレゼント選べよ」
嬉々として仕事に向かった右腕の後ろ姿を眺めてその姿が完全に扉の向こう側へと消えるとノクトはゆっくりと瞼を降ろした。
渡すものは決まっている。
誕生日プレゼントにはふさわしくなくてもセイラには何よりも必要でふさわしいもの。
誰にどんな文句を言われようとそれについてのフォローはきっとルナがしてくれる。
言い聞かせるように心の中で呟いてノクトも自分の仕事を片付け始めた。
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