完全幸福論

のどか

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第2章~守るために強くなると誓いました~

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ノクトは不機嫌を隠そうともせずに眉を寄せながらこうべを垂れていた。
対峙するのは現在この国の頂点であるおとこで仕事でない限り顔を合わせたくない相手だ。
ギリギリのところで踏みとどまっているが今まで引き継がれてきたどの代よりも初代が後世に残した役目を果たさなければならない―――その確率が高い王だった。
ルナが攫われた時も宮仕えの者が何枚か噛んでいたし躾けが行きとどいていない裏の新しい勢力――それこそ『ノエル』のような新参者と組んで悪事を働く馬鹿どもがいる。
だからこそ事後処理に時間をとられたし、残党狩りにも手間取った。
なによりも殲滅したはずの『ノエル』がまた動き出すという情報や『偽りのラヴァンシーに気をつけろ』という意味が分からない情報もある。
それでも一応建前上ノクトは気だるそうに椅子に腰かけている男に頭を下げなければならない訳で、それがどんなに使えない頭の悪い男であってももしもの時に自由に動くためにはこの男の承諾がいる。
まだ『夜の闇』に与えられた権力を施行できる段階ではないからだ。

「……陛下、ひいては王女殿下の身の安全のためお許しいただきたく」
「うむ、この一件そなたに任せる。
 王女はこの国の次代を担う身ということを心得よ」
「御意」

ただひとつ、この男がマシなところは自分の才能のなさを理解していることだ。
ノクトはそう思いながら謁見の間を辞して、作戦会議をしているジオとリヒト、セイラたちの待つ控えの間へと足を進めた。

「ボス。どうやら大当たりみたいだよ」
「俺たちも舐められたもんだぜ。わざわざ予告状を送りつけてくるなんてな」

手渡されたメッセージカードには『黎明と夜闇が入り混じる時、時代は変わる。栄光を再びこの手に』と書かれていた。
同じものが届いたのか王の従者が慌てて駆けこんで来るしまつでノクトはそのカードをぐしゃりと握りつぶした。

「ルナ、お前はニナのそばから離れるな。
 あとは分かってるな……?」

それぞれがしっかりと頷いたのを確認してノクトは口角を釣り上げた。

今度こそ完全に叩き潰してやる。
背後で甘い蜜を啜っている狸どももそれを利用しようとしているハイエナどもも二度とこんな馬鹿な考えが浮かばないように徹底的に。


火ぶたは切られた。

この国の次代を担う王女のお披露目の場で「朝」と「夜」が入り混じり溶けあい滲み出す。

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