完全幸福論

のどか

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第3章~あなたの愛に完全幸福します~

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満足そうに笑うリヒトの隣でセイラは真っ赤な顔で混乱していた。
頬の熱が冷める気配はない。
煩いくらいに脈打つ心臓の音が隣にいるリヒトにまで聞こえてしまいそうで気が気じゃなかった。

「リヒト」

珍しく鋭い声でノクトがリヒトを呼ぶ。
リヒトは困ったように眉をさげたが、すぐに真剣な顔をしてノクトを見つめ返す。

「ちゃんと決着をつけるよ」
「ならいい。報告はいつでもいいぞ」

ニヤリと意地悪く笑うノクトにリヒトは苦笑いを返す。
それをぼんやりと見つめながらセイラはなにがなんだかさっぱりと分からない頭で助けを求めるように片割れを見た。
視線を向けられたアルバは相変わらず無表情だったが、どことなく嬉しそうで更に訳が分からなくなる。
こういう時頼りになるステラは今日に限ってニナと一緒にお留守番だし、ルナはノクトの隣でふんわりと笑っているだけで何も言ってくれない。

「いいのか?ちい姫、混乱したまんまだぞ」
「うーん、ちゃんと終わらせてからじゃないとね」

呆れたジオの声に困ったようにリヒトが答える。
訳が分からなさ過ぎてもういっそ考えるのを放棄してやろうかとさえ思った。
自分の手を包んでいるリヒトの大きな手が離れてしまわなければ鬱陶しい視線たちも気にならないし、この訳が分からない状況もどうでもいい気がする。

「終わらせるも何も例の件ならもう終わったも同然じゃん」
「ジェロ!」
「こんなとこでよくやるよ。お前」

呆れた顔のジェロージアは胸に刺された赤いバラを抜いてくるりと弄ぶ。
未だに意味が分かっていなさそうなリヒトに仕入れてきた情報を渡してやった。

「王女は婚約者となる殿方に薔薇を渡されるって演出だったらしいぜ?」
「……なるほど。登場まで待ってたら強制的に婚約者にされちゃってたわけだ」

夜会までは残れ、ここにいる間は王女とのことを考えろと言っていた王と宰相を思い出す。

王女あいつのことは保険の俺がなんとかしてやるから妹君のフォローしてやれば?」
「保険も何もお前が正式な婚約者だろ。俺はお前のお遊びに巻き込まれただけ」
「きっかけは、だろ。というか弟君からの視線が超痛いんだけどなんで?」

俺なんかした??と顔を引き攣らせるジェロにアルバの頭を撫でながら自業自得だと冷めた視線を送ってやる。
ひどい!といつも通り鬱陶しい反応を返してきたジェロに小さく笑ってまだ混乱の中にいるセイラをちらりと見た。

「いい親友をもったじゃねぇか」
「……はじまるまでには帰れよ」

ニヤリと笑うノクトと既に疲れ果てた顔をするジオに苦笑いで頷いてセイラを連れ出すことにした。


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