幸福論

のどか

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~後日談・番外編~

正しいお正月の過ごし方

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心なしかゆったりとした空気が流れる屋敷でジオは正月休みを満喫していた。
あぁ、平和だ。
クリスマス以降ジオが休める時間がほとんどなかった。
年末の大掃除で片付けたあとからあとから姫のドジによって無残な姿に変えられたカップの後始末をさせられ、ボスと姫に期限ギリギリの書類を押し付けられたり閉店間近の店に菓子を買いに行かされたり、唯でさえ年越しの準備やらなんやらで忙しい年末の仕事に加えていつも以上にボス夫婦に振り回された数週間……。
せめてもの救いはリヒトが掃除やこまごまとした雑用を楽しそうに手伝ってくれたことだった。
あの瞬間、ジオは今までされた数々のイタズラをすべて忘れてリヒトが天使に見えた。
いや、ホントはちょくちょく姫よりリヒトの方が精神年齢が高いんじゃないかと思う時がある。
姫がリヒトの母親というより、リヒトが姫の兄貴という方がしっくりくる。
まぁ、過ぎたことはいい。せっかく年が明けたんだ。年末に死ぬ気で片付けたおかげで正月くらいはゆっくりできるはず。というか呼び出されても絶対動かねぇ……!!
ジオは固く心に誓って弛み切った表情でベッドに身を沈めた。

「センパイ!お正月だからってグータラしすぎですよ!!」
「なんだ。正月くらいゆっくりさせろ」

寝正月を決め込んで目を閉じた途端、勢いよく差し込まれた陽射しにジオは呻いた。
うっすらと開いた目に何とも言えない顔をするニナが映る。
布団を引っぺがそうとキャンキャン吠えながら頑張っているニナをしばらくぼんやり見つめていたが、いい加減限界がきたジオはぐいと細い手をひっぱりこんで、問答無用で腕の中に収めるとそのまま目を閉じた。

「お前も寝りゃあいいだろ。もうひと眠りしたら構ってやる」
「ちょ、センパイ!?」
「……」
「……起きたら構ってくださいね」

諦めたように腕の中でもぞもぞと自分の寝やすいように身体を動かしてすぅすぅと寝息を立て始めたニナにジオはゆっくりと瞼を押し上げた。
温もりを求めるように身体を寄せてあどげない顔で眠るニナをなんとも言えない顔で見る。
引っ張りこんだのは自分だし、抱き枕にしたのも自分だが、これはちょっと無防備すぎやしないか。
でも、まぁ、

「ここんとこ構ってやれなかったしなぁ。
 起きたらどっか連れてってやるか」

安心しきった顔で眠るニナにそっと口づけてジオはもう一度目を閉じた。




正しいお正月の過ごし方
(ぅん?なんかあったかい…?)
(目が覚めたか?)
(ななな!?いいいつから…!!)
(さぁな?それより出かけるぞ。)
(~~っ!!センパイのばかーーーっ!!)
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