女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【72】行動開始 〜ターゲット〜

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「いやですわ、伯爵ったらぁ」

晩餐時、サニーの世辞に男爵夫人は破顔した。


「いえ、本心ですよ。男爵夫人はお美しすぎる。まさに我々の花」

「こんな年増を褒めたって、なにも出てこないですわよ」

言葉ではそう言っても、男爵夫人ミシェルは嬉しそうで、まさに舞い上がっていた。


「皆さん、もう一杯ワインはいかが?」

酒が進む母に、ポーラは渋い顔になる。

母親が女の顔をしている姿は、心地好いものじゃない。


新しいワインを持ってくるように言われたメイドも通り過ぎる際、サニーの顔を見て頬を赤らめてるし。

以前はポーラがこの館のスターだったのに、サニーがその魅力を振りまくので、すっかり奪って代わられてしまった。



面白くないといった風のポーラに内心で苦笑いしつつ、サニーは周囲への笑顔を絶やさない。

マッキニー領に滞在して早くも一週間。

最初は警戒されていたが、主に女信徒達はサニーやユージン、エドに協力的で、上層部の信徒達も此方に興味を抱いているようだ。


此処からが腕の見せ所。

サニーはワインを運んできてくれた女信徒メイドに、パチンとウィンクしてみせる。

たったそれだけで、そのメイドの目がハートになった。

きっとベッドに誘えば喜んでついてくるだろう。


以前のサニーなら色とりどりの花のような女性達との夢の一夜を楽しんでいたが、今はそんな気が起きなかった。

実際にはどの女性もあいらしく魅力的なのだが、それをダニエルに知られた時の事が怖い。


鉄拳制裁のあと、泣き喚かれるんじゃないかな。

目を三角にして怒る彼女は堪らなくいとが泣かれるとサニーの心臓も張り裂けそうに痛む、自分は脳がヤられたに違いない。

これが人を好きになるということかと、しみじみとサニーはその初体験を満喫していた。



翌日、サニーは行動を開始した。

誰を味方にすればティアゴ・タロッチャの愛人に辿り着けるかは既にエドが調べてくれていたので、対象者がどんな女性か、何が好きで何が嫌いか、また弱みは何か、一週間ほど観察し攻略方法を練っていたのだ。


最初はただ視線を向けるだけで良い。

貴女ダーゲットに興味がありますと、一瞬のアイコンタクトで表す。


それを数日やったら、次は優しく微笑む。

”キミは働き者で誠実な女性なんだな”

”キミのその荒れた手を温め癒してあげたい”

と、目で訴えて。


言葉を交わすようになったら、ただひたすら彼女ターゲットの王子様になればいい。

彼女がどれだけ素晴らしい女性か説き、自尊心と承認欲求を満たし、苦しみに寄り添い、自分ならここから救い出せると囁く。

粗末な衣服、萎びた野菜と硬いパンばかりの貧しい食事、朝から晩まで続く労働から解放され、煌びやかな屋敷でドレスと宝石を身にまとい、なんでも手に入る、傅く側から傅かれる側になれると誘う。


そして最後の仕上げに愛を語る。

彼女の目を真っ直ぐ見つめ、荒れた両手を包んでやりながら、心底愛おしげに。

「私は本気だ。本気でキミを愛しているし、幸せにしたいと思っている。どうか私にキミの心をくれないか」と。

これで百発百中、頷かなかった女はいない。
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