94 / 161
【94】マッキニー領へ③ 〜執務官の爵位〜
しおりを挟む
否、ちょっとはその可能性あるなって思った。
だってサニーは高身長で堅強な肉体を持つ美丈夫だし。
しかし彼がアルフォンゾ・ハサニ・デヴォンシャー公爵と知られているならいざ知らず、ただの遊び人アグロン伯爵なら母のお眼鏡にはかからないだろうと高を括っていたのだ。
母は男臭い人より洗練された気品のある紳士が好きだ。
よってハルボーン中佐とサニーは候補から外れ、ワトソン少尉かクライン執務官が気に入られるだろうと予想していた。
中でも絶世の美青年・クライン執務官が最有力候補とばかり思ってた。
そういう意味ではアグロン伯爵として振舞っているサニーは優雅で気品があるけれど。
「んもーーーー、なんでクライン執務官は肩書きなしなの?なんでサニーの執事なのよ?クライン執務官が王室の重要ポストにいるってわかれば、母上はサニーじゃなくて執務官にいったはずなのにっ!」
ダニエルの愚痴が可笑しいのか、サニーはクスクス笑いっぱなしだ。
「仕方ないよ、労働者階級での潜入調査は必須だし」
「えーーー、どういう意味?」
「労働者階級は横の繋がりが強いんだ。つまり執事・メイド・庭師達から話が聞きたい場合、同じ職業のほうが心を許しくれやすいんだ」
「なるほど、だからクライン執務官は身分を隠しているのね。でもハルボーン中佐だって家人偽っているんでしょ?」
「そうだけど、ワイルド系のカイルと美少年系のユージンでバリエーションを増やしているんだよ。メイド達のお眼鏡から外れないようにね」
それならサニーはどんな立ち位置で潜入捜査してるのよ……とは尋ねないでおく。
聞かなくても、王子様系だとわかるからだ。
「ねぇ、今まで聞きたくても失礼になるかと思ってきけなかったんだけど……クライン執務官って爵位は?侯爵?伯爵?」
「ユージンは爵位持ちではないよ」
「えっ!!!」
驚きのあまりダニエルは立ち上がって、サニーの顔をマジマジとみた。
早朝の汽車であるため、車内に誰もいなくてよかった。
もし誰かいたら、きっと驚かせてしまっただろう。
それくらい大きな声だった。
「そうなのっ!?」
「うん」
「すごーーーいっ!一代で王太子殿下の第一執務官になるなんて、すごく賢いのね!!できる男だ」
「そうかもネ」
「私、クライン執務官を誤解してた。てっきり貴族出身のお坊ちゃんかと」
「俺はお坊ちゃんデスよ」
「苦労知らずかと思ってたけど、後ろ盾もなしに才能と努力だけで今の地位まで上りつめたなんてすごいなぁ……尊敬しちゃう」
目を輝かせてクライン執務官を褒め称えるダニエルには、サニーの目が徐々に険しくなるのに気がつかなかった。
「クライン執務官に会ったら、宮廷で昇進するコツを聞いてみよっと」
「執務官と騎士じゃ全然違うんじゃない」
「そうだけど、人間関係のコツとかあるかもしれな……なに?なんで怒ってるの?」
怒ってる馬みたいにサニーの目が逆三角になっている事に、漸くダニエルは気づいた。
ーーその後。
ナムチェ駅につくまでサニーのご機嫌をとらなきゃいけなくなったのは、言うまでもない。
だってサニーは高身長で堅強な肉体を持つ美丈夫だし。
しかし彼がアルフォンゾ・ハサニ・デヴォンシャー公爵と知られているならいざ知らず、ただの遊び人アグロン伯爵なら母のお眼鏡にはかからないだろうと高を括っていたのだ。
母は男臭い人より洗練された気品のある紳士が好きだ。
よってハルボーン中佐とサニーは候補から外れ、ワトソン少尉かクライン執務官が気に入られるだろうと予想していた。
中でも絶世の美青年・クライン執務官が最有力候補とばかり思ってた。
そういう意味ではアグロン伯爵として振舞っているサニーは優雅で気品があるけれど。
「んもーーーー、なんでクライン執務官は肩書きなしなの?なんでサニーの執事なのよ?クライン執務官が王室の重要ポストにいるってわかれば、母上はサニーじゃなくて執務官にいったはずなのにっ!」
ダニエルの愚痴が可笑しいのか、サニーはクスクス笑いっぱなしだ。
「仕方ないよ、労働者階級での潜入調査は必須だし」
「えーーー、どういう意味?」
「労働者階級は横の繋がりが強いんだ。つまり執事・メイド・庭師達から話が聞きたい場合、同じ職業のほうが心を許しくれやすいんだ」
「なるほど、だからクライン執務官は身分を隠しているのね。でもハルボーン中佐だって家人偽っているんでしょ?」
「そうだけど、ワイルド系のカイルと美少年系のユージンでバリエーションを増やしているんだよ。メイド達のお眼鏡から外れないようにね」
それならサニーはどんな立ち位置で潜入捜査してるのよ……とは尋ねないでおく。
聞かなくても、王子様系だとわかるからだ。
「ねぇ、今まで聞きたくても失礼になるかと思ってきけなかったんだけど……クライン執務官って爵位は?侯爵?伯爵?」
「ユージンは爵位持ちではないよ」
「えっ!!!」
驚きのあまりダニエルは立ち上がって、サニーの顔をマジマジとみた。
早朝の汽車であるため、車内に誰もいなくてよかった。
もし誰かいたら、きっと驚かせてしまっただろう。
それくらい大きな声だった。
「そうなのっ!?」
「うん」
「すごーーーいっ!一代で王太子殿下の第一執務官になるなんて、すごく賢いのね!!できる男だ」
「そうかもネ」
「私、クライン執務官を誤解してた。てっきり貴族出身のお坊ちゃんかと」
「俺はお坊ちゃんデスよ」
「苦労知らずかと思ってたけど、後ろ盾もなしに才能と努力だけで今の地位まで上りつめたなんてすごいなぁ……尊敬しちゃう」
目を輝かせてクライン執務官を褒め称えるダニエルには、サニーの目が徐々に険しくなるのに気がつかなかった。
「クライン執務官に会ったら、宮廷で昇進するコツを聞いてみよっと」
「執務官と騎士じゃ全然違うんじゃない」
「そうだけど、人間関係のコツとかあるかもしれな……なに?なんで怒ってるの?」
怒ってる馬みたいにサニーの目が逆三角になっている事に、漸くダニエルは気づいた。
ーーその後。
ナムチェ駅につくまでサニーのご機嫌をとらなきゃいけなくなったのは、言うまでもない。
2
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる