女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【94】マッキニー領へ③ 〜執務官の爵位〜

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否、ちょっとはその可能性あるなって思った。

だってサニーは高身長で堅強な肉体を持つ美丈夫だし。

しかし彼がアルフォンゾ・ハサニ・デヴォンシャー公爵と知られているならいざ知らず、ただの遊び人アグロン伯爵なら母のお眼鏡にはかからないだろうと高を括っていたのだ。


母は男臭い人より洗練された気品のある紳士が好きだ。

よってハルボーン中佐とサニーは候補から外れ、ワトソン少尉かクライン執務官が気に入られるだろうと予想していた。

中でも絶世の美青年・クライン執務官が最有力候補とばかり思ってた。

そういう意味ではアグロン伯爵として振舞っているサニーは優雅で気品があるけれど。



「んもーーーー、なんでクライン執務官は肩書きなしなの?なんでサニーの執事なのよ?クライン執務官が王室の重要ポストにいるってわかれば、母上はサニーじゃなくて執務官にいったはずなのにっ!」

ダニエルの愚痴が可笑しいのか、サニーはクスクス笑いっぱなしだ。


「仕方ないよ、労働者階級での潜入調査は必須だし」

「えーーー、どういう意味?」


「労働者階級は横の繋がりが強いんだ。つまり執事・メイド・庭師達から話が聞きたい場合、同じ職業のほうが心を許しくれやすいんだ」

「なるほど、だからクライン執務官は身分を隠しているのね。でもハルボーン中佐だって家人偽っているんでしょ?」


「そうだけど、ワイルド系のカイル中佐と美少年系のユージンでバリエーションを増やしているんだよ。メイド達のお眼鏡から外れないようにね」


それならサニーはどんな立ち位置で潜入捜査してるのよ……とは尋ねないでおく。

聞かなくても、王子様系だとわかるからだ。


「ねぇ、今まで聞きたくても失礼になるかと思ってきけなかったんだけど……クライン執務官って爵位は?侯爵?伯爵?」


「ユージンは爵位持ちではないよ」

「えっ!!!」


驚きのあまりダニエルは立ち上がって、サニーの顔をマジマジとみた。

早朝の汽車であるため、車内に誰もいなくてよかった。

もし誰かいたら、きっと驚かせてしまっただろう。

それくらい大きな声だった。


「そうなのっ!?」

「うん」


「すごーーーいっ!一代で王太子殿下の第一執務官になるなんて、すごく賢いのね!!できる男だ」

「そうかもネ」


「私、クライン執務官を誤解してた。てっきり貴族出身のお坊ちゃんかと」

「俺はお坊ちゃんデスよ」


「苦労知らずかと思ってたけど、後ろ盾もなしに才能と努力だけで今の地位まで上りつめたなんてすごいなぁ……尊敬しちゃう」

目を輝かせてクライン執務官を褒め称えるダニエルには、サニーの目が徐々に険しくなるのに気がつかなかった。


「クライン執務官に会ったら、宮廷で昇進するコツを聞いてみよっと」

「執務官と騎士じゃ全然違うんじゃない」


「そうだけど、人間関係のコツとかあるかもしれな……なに?なんで怒ってるの?」

怒ってる馬みたいにサニーの目が逆三角になっている事に、漸くダニエルは気づいた。


ーーその後。

ナムチェ駅につくまでサニーのご機嫌をとらなきゃいけなくなったのは、言うまでもない。
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