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第1章★敵国潜入★

★閑話1★「ワタルと青薔薇」

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菫「しかし広いお城ですね。掃除が大変なんですけど」

ワタル「黙って掃除しろよ、女中」

菫「何してるんですか? 机とにらめっこして。書類作成も騎士団長の仕事に含まれるんですか?」

ワタル「おい、見るんじゃねえよ。国家機密もあるんだからな」

菫「ふうん……意外と読書家なんですね。本が沢山ありますね」

菫「あっ、この本絶版になった人界の神話学の本だ! 天邪鬼っていう鬼が書いたんですよ。すごーい。貸してくださいよ」

ワタル「うるせー! お前何でおれがいるときにおれの部屋を掃除しにきてるんだよ。さっさと出ていけ、ブサイク!」

菫「それそれ。わたしあなたにブサイクって言われると、なんだかドキドキしちゃう」

ワタル「ふー。お前は女中の粋を超えておれに近付き過ぎだ。てめーは大人しくコウキの愛人にでもなってろ」

菫「わたしあなたの愛人が良いな」

ワタル「はいはい、おれは愛人候補とか取ってねえよ。言っただろ、使い回しされてる女はいやだって」

菫「ピュアなんですね。かわいい」

ワタル「なんとでも言えよ。それに煩わしいんだよな。女はキャーキャー騒いでうるせーし」

菫「あっ、会報見ましたよ! ファンクラブまであるんですね。まるでアイドルですねえ」

ワタル「やめてほしいよな」

菫「この雑誌なんて、あなたの特集ページがいっぱいですよ。『白騎士様の今日のファッション』『彼女がいるのか』『好みの女性は?』『初体験はいつ?』だって。愛されていますねえ、天界国のお嬢さんたちに」

ワタル「そんなの見るなよ」

菫「あら、赤くなってますよ。可愛い」

ワタル「お、おい、くっつくな」

菫「それで、あなたの初体験はいつかしら?」

ワタル「あはははは! やめろ、くすぐったい! 何すんだてめえ! 突然服捲りあげるんじゃねえよ」

菫「いいじゃない。ちょっとくらい。あなたの逞しい裸を見てみたいな」

ワタル「狂ってんのかお前」

菫「腹筋割れてる?」

ワタル「あはははは! やめろって、気持ち悪い」

菫(うーん、青い薔薇の刻印、お腹回りにはなさそうだな……)

ワタル「てめー良い度胸じゃねーかよ。お前も脱げ。腰回りくすぐってやるから」

菫「やだエッチ」

ワタル「何とでも言え。おれはやられっぱなしが癇に障るだけだ。ほら、見せてみろ」

菫「ニヤニヤしちゃって、意地悪ですねえ、白騎士様は」

ワタル「お前だけには言われたくねえな!」

菫「あはは、やめてくすぐったい」

ワタル「はは、やめろと言われても無理な話だな」

菫「ごめんなさい、降参です! あはは」

ワタル「他愛もねえな。もっと骨あるかと思ってた」

菫(ワタルじゃないのかな、薔薇の刻印)

ガチャ

コウキ「ワタル、明日の邪神国遠征のことだけど……」

ワタル「ああ、どうする?」

コウキ「おいワタル……何で菫がお前の部屋にいるんだよ。しかも抱き合って」

ワタル「! 誤解だ。な、女中?」

菫「わたしこの部屋の掃除しにきたのですが、ふらついたところを白騎士様に支えてもらいました」

ワタル「……そうそうそう」

コウキ「邪神国遠征、ワタルと俺のどちらがリョウマに着いて行くか聞きに来たんだけど、俺が行くから」

ワタル「え、なんで。おれが行くよ」

コウキ「菫も邪神国遠征に行くんだよな?」

菫「はい、ルージュ様のご希望で」

コウキ「なら俺が行く。菫はワタルと一緒に行動させないから」

ワタル「いやいや……ヤキモチ妬かれてもな。仕事だぜ?」

コウキ「とにかく俺が行く。菫、行こう」

菫「あ、はい……」

菫(コウキも遠征に行くのか。ラッキー、刻印があるかリョウマ共々遠征中に確かめてやる)

☆終わり☆
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