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第3章★心を操る秘薬開発★

★閑話5★「氷の魔物討伐記念飲み会」

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カルラ「リョウマおめでと~」

菫「おめでと~」

リョウマ「ど、どうした2人して」

カルラ「氷の魔物討伐記念にささやかなパーティーしよう」

リョウマ「パーティー? 3人しかいないが……」

菫「コウキ様はまだ動けませんからね……」

カルラ「たまには少人数の飲み会も楽しいぞ」

リョウマ「そうか」

菫「はい、魔人大好き『水竜殺し』です」

リョウマ「こ、この酒は!神界の泉から湧き出るという幻の!」

菫「どうぞ、飲んで下さい」

カルラ「どうしたの、こんな良い酒」

菫「以前献上品で頂いたのを持ってきました。わたしも飲もうかな」

カルラ「菫、何歳だっけ? 14歳はいってるよな?」

※魔界では14歳からお酒が飲めます。

菫「18ですよ」

カルラ「もう18歳か……早いものだなあ」

リョウマ「14には見えないだろう、どう見ても」

カルラ「まあ……そうなんだけどさ。大きくなったんだなあと思って」

リョウマ「ククッ、親戚のおじさんみたいなことを言うな」

菫「カルラ様はいくつなんですか?」

カルラ「えっ……と、19歳」

リョウマ「は? お前そんなに若いのか? 俺より年上ではないのか?」

カルラ「リョウマはいくつなの」

リョウマ「25」

カルラ「えっ! 結構年上だな……」

リョウマ「でもお前確か……」

カルラ「年齢サバ読んでました、すみません」

菫「え、どういうこと?」

カルラ「橙騎士団に就職活動してるとき、履歴書で年齢とか国籍嘘つきました。28歳、天界国ユグドの村出身と書きました!」

菫「そんなにサバを……」

リョウマ「何故年齢まで?」

カルラ「あまり若いと落とされると思って。橙騎士団は研究職だから、年齢が上がるほど信頼を得やすいのかな、と」

菫「色々考えちゃったんですね」

リョウマ「俺がこいつの面接官だったんだ」

菫「え、面白いですね」

カルラ「リョウマ怖かった……威圧感ある目でずっと俺を見てるし」

リョウマ「お前は胡散くさかった。前髪長いし眼鏡で視線は見えないし、オドオドしてるし」

カルラ「俺が言うのもあれだけど、良く落とさなかったね」

リョウマ「まあ天倭戦争後で、壊滅した橙騎士団を立て直さないといけなかったから、ここだけの話、来たものは余程でないと落とさなかった」

カルラ「そうだったんだ」

リョウマ「あとは単純に、おまえは筆記試験がずば抜けていた。恐らく歴代2位だ」

カルラ「微妙じゃん……」

菫「歴代でしょ? すごいですよ、カルラ様」

リョウマ「今年1位の奴がお前を抜いたが、それまではカルラが歴代1位の成績だった」

カルラ「今年抜かれちゃったのかあ」

リョウマ「ああ。確か黒騎士団希望のヤツだったな。鬼の面をかぶったおかしなヤツだった。カルラに何となく似たおかしさがある」

菫(太一様だ!)

カルラ「鬼の仮面……?」

菫「でも、それで騎士団長にまでなるなんて、すごいですね」

カルラ(アンタに復讐する一心だったからな……)

リョウマ「なぜ倭国民のくせに敵国の騎士団に志願した?」

カルラ「あの頃は……倭国王族が憎くて。専属侍女の妹を身代わりにして菫がいち早く逃げ出したと思ってた。逃げた王族にこの手で復讐したかった。だから敵国騎士団に志願した」

リョウマ(うっ、思ったより重い……動機重……)

カルラ「リョウマ?」

リョウマ「い、いや。妹のことは残念だった。だが菫も……王女だから色々しがらみがあったのだろう。好きで一番に逃げるような女ではない。きっと事情があったんだ」

菫「ふふ、リョウマ様必死。かわいい」

リョウマ「は⁉ お前、一応俺はフォローして……」

カルラ「はは。俺の勘違いだったんだ。菫はちゃんと妹を連れて逃げてくれていたんだ」

リョウマ「では、生きて……?」

カルラ「うん、生きてた。元気にしてるよ」

リョウマ「そうか、良かったな。菫様、さすがです」

菫「倭国民は全員保護したいのですが、カルラ様保護されてくれないの。リョウマ様、何か言って下さい」

リョウマ「お前安心して保護されてろよ。俺が菫様をお護りするから大丈夫だぞ」

カルラ「俺が騎士団長でいたら竜神女王様の情報が入るかも……」

リョウマ「フッ、それは俺も立場は同じだぞ、ボウヤ」

カルラ(くっ、自分が年上だとわかった途端……)

菫「今からでもどうですか?」

カルラ「イヤです。リョウマは天界国側の魔人です。いつ菫様を裏切るかわかりません」

リョウマ「フッ、俺は菫様に忠誠を誓った仲だぞ。菫様になにかあれば俺は迷わず彼女を助けに行く所存だ」

カルラ「お、俺なんて菫の……その……」

菫(えっ? 言わないよね?)

カルラ「菫の……王室エピソードをいっぱい知ってる。アンタが知らない菫様を沢山知ってる……」

リョウマ「ククッ、ガキだなお前。年上だと思っていたから落ち着いて見えたが、こうやって見るとまだまだ青い」

カルラ「う……」

リョウマ「菫様、こちらへ」

菫「?」

リョウマ「カルラがまだ俺を信用できないそうです。俺があなたに忠誠を誓ったと見せつけましょう。まずはあなたの手の甲へ騎士から誓いの口づけを」

菫「!」

カルラ「!」

カルラ「わかったよ~、リョウマ、もういいよ。菫様は俺たち倭国の宝なんだから返してくれ」

リョウマ「ははは、お前こういうヤツだったんだな! 面白い!」

カルラ「……」

菫「からかわれたのよ」

カルラ「くそ……」

リョウマ「研究ばかりでつまらないヤツだと思っていたが、人並みの感情はあるんだな」

カルラ「リョウマはなんか俺に意地悪になった……」

リョウマ「安心しろ、俺は既婚者だからな。菫様に忠誠は誓えど、肌を愛でたりはできない。お前は独身だろう? 頑張れ頑張れ」

カルラ「な、な、なに、言って……」

菫「内緒話ですか? わたしの悪口でも言っていますね?」

リョウマ「いえ。俺が菫様のことをどれだけ愛しているか伝えたところです」

菫「あら、それならわたしも聞きたかったわ」

リョウマ「カルラに負けないと思いますよ、俺のあなたに対する愛は」

菫「それ、独身のとき聞きたかったな」

カルラ「俺も、その……あなたが……」

カルラ(バカか俺は。人前で言えるわけないだろう……困らせるだけだ)

カルラ「なんでもないです……」

リョウマ(た、楽しい……! カルラ、煽ると乗ってくるタイプなのか……!)

菫「なに? 皆さんもう酔ってるの?」

リョウマ「ククッ。菫様、酔ったせいにして抱きしめても良いですか?」

菫「だ……」

カルラ「リョウマより俺の方が酔っ払ってると思います。菫、お体お借りします……」

菫「……リョウマ様? 煽らないであげて下さい……」

リョウマ「ククッ、ダメだ、面白い……カルラ、適当なときに姫様を開放してやれよ」

カルラ「……またからかわれましたか、俺」

菫「……そうね」

☆終わり☆
    
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